浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

安倍をどう見ているか

2013-05-10 20:49:54 | 日記
 最近新聞などで報道された、アメリカ連邦議会の報告書を入手した。

http://www.fas.org/sgp/crs/index.html

 このサイトに Japan-U.S.Relations:Issues for Congressがある。

 それを読んでいくと、「安倍と歴史問題」という項目がある。その最初の部分を訳してみた。


 2006年から2007年、首相としての期間、安倍はナショナリスティックな主張、防衛と安全の問題をより強化する主張で知られていた。安倍の見解のいくつか(たとえば集団的自衛に日本が参加することを可能にする日本の平和憲法の解釈の変更)は、日本との軍事協力を求める米当局からは歓迎された。

 しかしながら、他面で、安倍は、帝国日本の侵略とアジア人の犠牲についての体験を拒絶するという、日本の歴史に関する修正主義的な視点を主張している。彼は、日本は植民地支配や戦争大国として不当にも批判されていると主張するグループのメンバーである。日本会議のようなグループによって擁護されている見解のなかには、日本が西側の植民地権力から東アジアを解放したことは賞賛されるべきであるとか、1946年から48年の東京戦争犯罪法廷は不法であるとか、帝国日本の軍隊による1937年の南京虐殺はおおげさであり、またでっちあげである、がある。

 このような歴史問題は、第二次大戦中の日本による占領と戦争状態を憤慨している近隣諸国、特に中国や韓国と日本との関係に長期の影響を与えている。それは安倍内閣の閣僚選びにも反映している。安倍はナショナリストとして知られている政治家を選び、なかにはウルトラナショナリストもいる。


 その後には、靖国神社の参拝問題、そして「従軍慰安婦comfort woman問題」(クリントン前国務長官は、それをsex-slavesとすべきだとした)と続く。

 この報告書は、安倍の主張や行動を評価しているのではない。きわめて批判的に書いている。

 先の安倍の訪米は、ワシントンではあまり歓迎されなかったという情報もある。歓迎したのは、ジャパンハンドラーと呼ばれる一群の人びとであった。

 アメリカは、全面的に安倍を支持するわけではない。もちろんTPPなど、アメリカの国益を擁護する行動には拍手するのだろうが、安倍の右翼的なスタンスについては警戒していることがよくわかる。

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一緒にやりませんか

2013-05-10 17:29:46 | 日記
 ボクは最近、以下のような文を書いた。マイナーな某紙に掲載されたものだ。「国境を越えた連帯、そしてTPP」というテーマで書いた。


連帯しない「労働者」 

 「万国の労働者よ、団結せよ!」は、昔よく聞かれたことばだ。だが今では、死語に近い。だいたい「労働者」ということばも色あせ、誇りを持って「オレは労働者だ!」と語る人も少なくなった。生産現場で、仲間たちと汗を流しながら働く、そういう経験が、労働者としての自覚と連帯をつくりだしてきた。「労働者」としての意識が、連帯の証しとしての労働組合を結成させ、経営者との間で賃金や労働時間などをめぐって闘い、「人間らしい生活」を保障させてきた。そしてそこに国境を越えた連帯も生み出されていた。

 だが今、「労働者」としての意識は萎縮し、それとは逆に「消費者」としての意識が肥大化している。資本の攻撃により、「労働者」の賃金が下げられ、健康保険料なども上がって可処分所得が大幅に減っているなか、「安い」製品を求め、100円ショップに通い、ユニクロの折り込み広告に見入る。消費者としての意識は高くならざるを得ない。

 その「安い」製品の背後には、猛烈な低賃金で働かされている貧しい「労働者」(中国やミャンマーなど。もちろん国内にも)がいるのだが、それが見えなくなっている。

 「労働者」は、「消費者」意識に曇らされ、そうした国内外の「労働者」を、連帯すべき仲間と見ることがなくなっている。「万国の労働者」は連帯(団結)しないのである。


TPPの本質

 このほど安倍政権は、TPP(Trans-Pacific Partnership)参加を表明した。ここでTPPの説明はしないが、これが本格的に始動すると、アメリカを中心とするグローバルな活動をする「資本家」(大企業、金融機関)が、日本国民の富(物質的なものだけではなく、自然景観、制度までも)をむさぼり始めるだろう。特にアメリカの「資本家」は、今までも世界各地にバブルをつくりだしては崩壊させ、国内ではサブプライムローンを推進し、人々の生活を破壊しながら収奪を繰り返してきた。今度は、そのターゲットが日本となったのだ。アメリカの「資本家」は、円安をつくりだし、株価をあげてきた(今日本株に投資しているのは外国人投資家である)。アメリカに忠実な安倍政権を成立させるためだ。


資本家は連帯する

 TPP参加は、日本の「資本家」も求めている。「TPP交渉への早期参加を求める国民会議」には、経団連はじめ財界の諸団体が結集している。おそらくアメリカの「資本家」とも情報を交換していることだろう。「資本家」は、国境を越えて連帯しているのである。

「資本家」は、利潤の極大化を求める。欲望には際限はないのである。その欲望をかなえるべく、国家(政府)を従属させ、国境を越えて、貧困をつくりだしていく。資本主義は今、その野蛮な本性をさらけ出しているのである。



 支配層は、思想信条をこえて、みずからの利害の一致を前提に、より多くの儲けを求めて連帯する。「万国の投資家は団結する」のである。

 ところが、労働者をはじめ、支配される人びとは常に分断状態だ。いわゆる革新政党同士も同じ。だいたい革新政党なるものも、今や弱小勢力でその抵抗力はきわめて弱体化している。にもかかわらず、「一緒にやりましょう」とはならない。ボクは、前々から思っているのだが、革新政党はじめ運動団体は、運動で勝利を得ようとは思っていない。自己満足的に、とにかく運動すればいいと思っている。どのレベルでも同様に、同じ目的を持っていても、それぞれの組織がそれぞれ独自に動いて、運動を終えて「総括」をして、「一定の前進があった」などとポジティヴな評価をして終わり。それが延々と続いてきて、今の状態だ。

 特にその傾向は日本共産党に強い。共産党は、集会を開けば一定程度の人数が集まるので、それだけで満足して、党員や明確な支持者以外相手にしない。広げようとしないのだ。下記のブログにもあるように、きちんとした政治勢力と共闘することはしない。なぜなら自分たちの方針が貫かれなくなる可能性があるからだ。共産党は、いかなる運動でも常に主導権を握りたがるのである。

 過去に共産党と一緒に運動をした経験から、ボクは以上のように断じざるを得ない。少しは変わったのかなと思ったが、そうではないようだ。

http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10




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