浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

破壊と再生

2013-05-18 06:25:22 | 日記
 古河市兵衛・古河鉱業が経営していた足尾銅山は、見事なまでにすべてを破壊していった。自然、景観、そして人びとの生活。だが、古河鉱業は、破壊し尽くしたまま、その再生を図ろうとはしなかった。

 ボクたちは、亜硫酸ガスによって抹殺された樹木を再生させるための事業に、少しだけ協力した。植林である。1本500円を支払い、2本ずつ植えた。多くのボランティアによって植えられた幼木があった。この幼木はこの山腹を再生していくのだろうか。



 ボクたちが植林した反対側の山腹の頂上付近に、奇妙な工事の跡を見た。古河鉱業が破壊し尽くした自然を、日本政府が再生させようとしているのだという。



 これだけの事業で35億円だという。おそらく棚のようなところに植林していくのだろうが、足尾付近のはげ山は一帯に広がっている。いったいどれほどの税金が投入されるのだろうか。

 樹木が枯れ、その樹木が支えていた土壌が流出し、足尾の周辺は岩肌が露出している。日本のグランドキャニオンだなどということも言われているそうだ。



 こうした岩肌では、言うまでもないことだが、樹木は再生しない。岩肌を削り、土を補給し、そして植林するという事業が延々と続けられていく。

 だが、ボクは本当にそれで再生するのだろうかと疑問をもった。植林されたところで山崩れが起きていた。



 また植林されていないところでは、山崩れの惨状が広がっていた。



 ここまで破壊された自然の再生を、自然は望まないのではないか。破壊の跡を、永遠に、傲慢な人間どもに示し続けようとしているのだ。

 「ミルガヨイ、オマエタチガ、ハカイシタノダ」

 ボクは、今までに、大井川の上流の山間部で、大規模な崩落をいくつも見てきた。人間が林道を建設したところから崩落が始まり、緑があちらこちらで寸断されていた。

 自然の再生は、可能なのか。自然は、人間の生半可の再生なんか受け入れないのではないか。

 文明のあり方が問われている、そう思った。
コメント
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