浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】柳広司『二度読んだ本を三度読む』(岩波新書)

2021-05-29 23:02:54 | 

 柳広司は、数え切れないほどの本を読んできたのだろう。読んでいて、それがわかる。読書は、人間の精神に大いなる栄養を与える。栄養をたっぷりと呑み込んだ精神は、批判的知性となって輝く。

 最初に読んだ柳の『アンブレイカブル』も、批判的知性をもったエンターテインメントの小説であった。そのルーツを探るべく読んだのが、この本である。

 知的刺激に充ちた本である。この本は、本について書いている。いや本を読んで何を思い考えたかを記している。同じ本でも、人によってその思いや考えは異なる。しかし他人がその本をどう読んで、何を思い考えたかはとても参考になる。

 本書に取り上げられたのは、『月と六ペンス』『それから』『怪談』『シャーロック・ホームズの冒険』『ガリヴァー旅行記』『山月記』『カラマーゾフの兄弟』『細雪』『紙屋町さくらホテル』『夜間飛行』『動物農場』『ろまん燈籠』『龍馬が行く』『スローカーブを、もう一球』『ソクラテスの弁明』『兎の眼』『キング・リア』『イギリス人の患者』である。

 私が読んだ本も読まなかった本も挙げられている。もちろん知らなかった本もある。挙げられたなかで私がもっとも深い思考を喚起されたのは、『カラマーゾフの兄弟』である。ただし余談だが、米川正夫訳で、その訳は重々しく、ドストエフスキーの原文とは距離があると米原まりさんがどこかで書いていたので、米原さんの指摘を反映させた訳本を読みたいと思う。

 紹介された本に関わりながら、柳の批判的知性がみごとに発揮されている。先に紹介したオリンピックへの言及は、スポーツ小説『スローカーブを、もう一球』に関わってのものである。

 それぞれについて書かれたものは知的刺激に充ちたものであるが、私にとっては『ソクラテスの弁明』、『兎の眼』などに関わっての柳の思いがもっとも感銘を受けた。

 私もかなりの本を持ち、これ以上本を増やさないようにしたいと思っているので図書館から借りた。しかし借りた本は書き込みが出来ない。この本は書き込みをしたい内容を持っている。買えばよかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ「後遺症」

2021-05-29 22:35:16 | コロナ

 新型コロナウイルスに感染したひとが、治ったとされたあともいろいろな症状が続いている。

 たとえば・・・

かかるまで大きな事と考えず…「コロナ後遺症」に悩む日々 感染から4カ月の男性「本当に辛い目に遭うよ」

 日本では、こういう状態を「後遺症」と呼んでいるが、海外では long COVID という。

新型コロナウイルスがもつ症状そのものだから、がその理由である。

#longCOVIDの大部分は後遺症ではない

https://twitter.com/kuramochijin/status/1398457861647204353

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナウイルスは「進化」している!

2021-05-29 22:25:15 | コロナ

 ゼロ・コロナをめざす戦略を立てることが喫緊の課題である。with corona ではウィルスの「進化」に対応できなくなる。

インド型と英国型のハイブリッド変異株、ベトナムで発見

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の検疫はザル

2021-05-29 22:13:37 | 政治

 政府、厚労省など、まったく何もしていない。

 岡山県知事の批判に関するこのコメントを読んで欲しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

迷走する五輪組織委員会

2021-05-29 22:13:37 | コロナ

「開催中の中止」にまで言及した迷走の五輪組織委 パートナー企業は驚愕

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これがあるべき姿

2021-05-29 22:06:02 | コロナ

 なぜか日本政府は、Olympic関係者には毎日PCR検査をさせるという。厚労省の医系技官など「感染症ムラ」の方々は、広汎なPCR検査は不要であり、また有害であるかのような発言をしていた。ダブルスタンダードである。

 しかし、無症状の感染者が他人にウィルスを感染させていることが分かっている以上、無症状感染者を把捉して隔離しないと、パンデミックはなくならない。

 だから多くの国ではPCR検査を広汎に行っている。

週2回の無償ウイルス検査、英イングランドの全市民に提供へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IOCの本質

2021-05-29 21:40:04 | 社会

 アスリートたちに危険を冒させて、病気になったりしたら「自己責任」、しかし俺たちはカネ儲けを続けるぞ。

IOC 五輪選手らに“コロナで死亡は自己責任”同意書義務付け、唐突ぶりに不満噴出

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柳広司のOlympic批判

2021-05-29 12:54:48 | 

 柳広司の『アンブレイカブル』を読み、今まで柳を知らなかったことを恥じた。そこで柳の『太平洋食堂』を読みつつ、岩波新書の『二度読んだ本を三度読む』を読んでいたら、東京Olympicに関わる個所を発見した。この本は2019年4月に刊行されている(岩波書店の『図書』で2017年10月から2019年2月まで連載)。2年以上前の記述であるが、新鮮である。2020東京オリンピックの問題点がきちんと記されている。

 忘れてはならない。

 柳の批判的知性に、私は感服している。その個所を紹介しよう。長いが我慢して欲しい。

************************************************************

 お祭(サーカス)は民衆にとっては政治を忘れるためのものであるが、権力者にとってそれは政治のための好機である。

 という有名な定理があって、オリンピック(=お祭り)が権力者に政治利用されるのは、いわば当然の帰結であった。

 勘違いされては困るが、スポーツ=オリンピックではない。

・・・・スポーツは本来、選手個々人のものだ。たとえ団体競技においても、その本質は変わらない。個人に還元されるべきスポーツの大会に国家単位で選手を派遣し、メダルを競わせる時点で、オリンピックは「国家主義」「国家発揚」の政治的意図を必然的に体現してしまっている。

 かつてオリンピックは「アマチュアスポーツの祭典」と呼ばれた。アマチュアリズム村長を高らかに謳い、スポーツでわずかでも金銭を受け取った事実が判明すると選手名簿から除名、メダルを剥奪されるという徹底ぶりだった。 180度方針が転換したのは、 1984年のロサンゼルス大会からだ。大手スポンサーを率いれ、莫大な放映権料を設定することで、オリンピックは一転“もうかる商売”へと変貌した。資本主義という悪魔に魂を売った代償は、スポーツのショービジネス化と、なし崩し的なプロ選手の参加である。

 オリンピック開催地を巡って多額の使途不明金が飛び交い、 IOC役員はスポンサーの金で世界中を豪華に旅してまわるようになった。各国政治家にとってもオリンピックは国民の税金を堂々と私物化する体(てい)の良い名目となり、政界や財界の面々がハゲタカのごとく群がった。

 2013年、ブエノスアイレスで行われたIOC総会において、日本の首相は臆面もなく「汚染水は完全にブロックされている」と、事故現場で懸命に作業を続けている人々を唖然とさせる嘘をつき、流暢なフランス語をあやつる女性タレントが「お・も・て・な・し」を約束して、2020年の開催地は東京に決まった。国際オリンピック委員会連中がどんな「お・も・て・な・し」を期待してやってくるのか考えただけで寒気がする。帰国後、首相の嘘は取り巻きや財界から賞賛され、以後彼は嘘をつけば褒められると勘違いするようになった。

 当初東京大会は「復興五輪」と呼ばれていた。東北や九州地方で起きた地震被害、さらには原発事故からの復興だという。

 開催決定後、オリンピック関連施設の工事が国策となった。人材も資材も東京に集中、資材費人件費が高騰し、東北や九州では不幸が妨げられている。オリンピック関連の大規模工事は震災で焼け太りしたゼネコン各社に割り振られ、平然と談合が行われている有り様だ。

 東京大会開催決定翌日、国営放送(NHK)は無論、民放テレビ各局、さらには大手新聞4紙がこぞって公式スポンサーに名乗りを挙げ、「東京オリンピック2020」への異議申し立ては事実上封殺された。「決まったからにはやるしかない」と、まるで「始めたからには勝つしかない」と国民を鼓舞した先の戦争時と同じことをマスコミをまた繰り返している。

 昨今はさすがに「復興五輪」は無理があるらしく、広告代理店を中心にアスリート・ファースト」などと、何語なのかさえ不明な言葉が広まっている。もしくは広めようとしている。

 すでに発表された東京オリンピック2020の日程は、 7月24日から8月9日。

 近年急激に温暖化が進み、気候が東南アジア化してる日本・東京で、猛暑の8月、真っ昼間に激しいスポーツを行う?マラソンコースも発表されたが、それによれば「午前7時のスタートでもコースの8割が暑さ指数(というものがあるらしい)で厳重警戒レベルを超える」という話だ。

 どこがアスリート・ファーストなのか?

 ちなみに1964年の東京オリンピック開会式は10月10日。「まるで世界中の青空を東京に持ってきてしまったような素晴らし秋日和です」と思わず発したスポンサーの言葉が図らずも東京による地方簒奪の状況を暴露した事実はともかく、スポーツをするには悪くない季節だ。(中略)

 良く知られている通り、8月の競技日程はアメリカを中心とするテレビ各局の都合である。10月では秋の番組編成に支障を来す。オリンピックは番組端境期の夏にこそふさわしい。ー

 選手の都合ではない。明らかに莫大な放映権料を支払うスポンサーの都合だ。が、「スポンサー・ファースト」というフレーズは、なぜかなかなか広まらない。

 かつて「参加することに意義がある」と謳われたオリンピックの精神はどこへやら、メディアは「勝てば官軍」、メダルを取った者たちだけに群がり、ほめそやす。メダルを取らなかった者は、たとえ世界第四位であっても“お呼びでない”という非情さだ。勝利至上主義、それもオリンピックがもたらした害悪である。

(中略)

 今やオリンピックは選手を商品化し、搾取する、資本主義最悪の見本市と化した。

(中略)  

 選手よりスポンサーの顔色を窺うオリンピックなど本当に開催すべきなのか、私たちはいま一度足を止めて考え直すべきであろう。

 あのエンブレムは、オリンピックの喪章としてもいけると思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IOCのカネ儲けのために・・

2021-05-29 12:54:48 | 社会

Athlete First  といいながら、これだもんね。選手に危険を冒させて、自分たちはカネ儲けに走るという構図。

コロナ被害は選手らの自己責任 IOC、五輪参加同意書に明記

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする