アンナ・ポリトコフスカヤの原題「Putin`S Russia」には、Putinを理解する様々な事例が記されている。
しかし、ソ連=ロシアには、有能なリーダーはいなかった。アンナはこう記している。
ブレジネフは嫌悪すべき人間だった。アンドロポフは少なくとも見せかけは民主的だったが、残忍だった。チェルネンコは間抜けで、ゴルバチョフはロシア人に毛嫌いされた。エリツィンはやることがでたらめで、往々にして人びとを混乱に陥れた。こうして神様が現れた。(367)
神様とは、もちろんPutinである。
腐りきった社会では人は己の安らぎ、平和、穏やかさを追求し、そのつけを他人の生命で払おうがなんだろうが気にも留めない。「ノルド・オスト」事件の悲劇から逃れようとし、真実より国家の嘘八百を信じる。(326~7)
「ノルド・オスト」事件とは、チェチェンのゲリラが劇場を占拠した事件である。人質として多くの人がいたが、プーチン政権は毒ガスを使用して強行突入し、ゲリラはもちろん、多くの人質を殺した。プーチン政権は、ふつうの人々がそのようにして殺されることを何とも思わない。
なぜなら「国家の利益は個人の利益より優先されるべきである」というPutinの思想が貫徹しているからだ。「国家の利益」とは、しかし、プーチンとその取り巻き、軍、治安機関、そしてオリガルヒの利益を守ることだ。
プーチンは偶然のいたずらで絶大な権力を持つに至ったが、それを乱用してロシアにとって破滅的となる傾向もたらすのだ。私がプーチンを嫌いなのは、彼が人びとを嫌っているからだ。彼は私たちを蔑んでいる。私たちは彼の目的のための手段、偉業を成し遂げて権力を維持するための手段であり、それ以外の何ものでもない。だから私たちをどう扱おうと、どう弄ぼうと、必要とあらば破滅に追いやろうと勝手だと思っている。彼にとって私たちは人間ではないが、偶然の成り行きでヒエラルキーの頂点に上り詰めた彼自身は、今日、皇帝であり神様なのだ。(384)
現在のロシアは、贈収賄にまみれ腐臭を放つ国家であり、その頂点にプーチンがいる。権力維持のためには、なんでもするという「皇帝」である。ロシア国民が、彼を「皇帝」の地位につけたということこそ、現在のウクライナ侵攻の原因である。
なお、日本の国内事情、贈収賄がまかり通る利権まみれの政治的腐敗と、経団連など経済界の利益擁護のためにのみ政治を行う・・・・まさにロシアの状況と相似的であることを知った。その規模が、ロシアは質的にも量的にも日本を凌駕している。
ロシアには、住みたくない!