ネットでニュースの検索をしていたら、こんな動画を発見した。
【特集】「独自入手」存在しないとされた『17年前のいじめ調査文書』成人した被害者本人も認める詳細記録...「ない」と一貫主張の神戸市教委は?
ひどい!というしかない。当時学校ではイジメ(イジメではなく、犯罪行為である)を認めていたが、教育委員会かどこかから「なかったこととする」という「指令」があったようで、学校は一転して「イジメ」を否認するようになった。17年前のことであるが、この問題は未解決のまま存続している。
教育委員会は教員の「出世コース」である。教育委員会を出た後、ほとんどは学校の管理職になる。「出世コース」には、失敗や事件はあってはならないのである。だから「なかったことにする」ということになるのだ。
人間は、職場などでみずからのポジションを上昇させたいと思ったときに堕落していく。
昨日図書館から借りだして一気に読んでしまった。素晴らしい内容で、いろいろなことを教えてもらった。
私は、サヘル・ローズさんについては、まったくその存在自体知らなかった。彼女は、イランの貧しい家庭で育った。しかしイラクによる空爆で家族をなくしてしまった。救援に来た医療スタッフとボランティアの若い女性が灰燼となったところから、たった一人の少女を救い出した。彼女は孤児院に入った。しかしそのうち、自分自身を救い出した若い女性の養女となる。彼女は裕福な家庭の生まれであったが、親からは勘当状態となった。フィアンセが日本にいたことから来日。しかしそのフィアンセからは追い出され、ホームレスとなった。そこから、給食のおばさんらの善意に支えられて、貧しいながら生き抜いてきた。中学校では壮絶なイジメに遭い、高校(都立園芸高校)では楽しい日々を過ごしながら、しかし貧しさからは解放されなかった。そのうちラジオの仕事などが入り、生活は徐々によくなっていった。
サヘル・ローズさんもすごいけれども、その母親がすごい。ひたすらサヘル・ローズさんのために生きるその姿に神々しさを感じた。
本書にこういう記述があった。
私が経験した戦争とは、実際に周りの人が目のまえで死んでいくという現実です。国同士の争いは関係ない、つまり私たちにとっての戦争とは、あらゆるものが破壊され、殺すか殺されるか・・・
私はイラク軍の空爆によって家族を失いましたが、そのことでイラク人を憎いと思ったことはありません。たしかに愛する人を殺されれば憎いと思うのは当然。しかし憎悪の感情はきわめて個人的なものであって、怒りの矛先を直接関係のない人々に向けるべきではないのです。ところが戦争は、国同士の争いを個人的な憎しみに転化します。
たとえばニューヨークで起きた同時多発テロはとても悲惨でやりきれない出来事でした。家族や愛する人を奪われた方たちの気持は、私には痛いほどよく分かります。しかし憎むべきはテロリストであって、アラブ人がイスラム圏の人たちではない。
私がつらいのはイスラム圏の出身というだけで世界から白い目で見られたり、ひどいときは テロリスト扱いを受けるという事実。
結局、戦争で傷つくのは市民なのだから、その私たちがいがみ合えば、さらに傷口を広げることになります。それは憎しみの歪んだ結末と言うほかない。だからこそ、私たちは 過去の悲惨な体験を分かち合い、おたがいに乗り越え、ちからを合わせていかなければならない・・・
そのようなことを日本の若い人たちにも感じてもらいたい。私の体験を知った人がいつか自分たちの子どもに戦争の真の悲惨さを伝え、さらにその子どもたちが語り継ぐことで、やがて平和な世界が訪れると、私は信じています。
みずからの体験にもとづく、貴重なことばである。
この本の存在を教えてくれた高世仁さんに感謝、である。