浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】松尾貴史『違和感ワンダーランド』(毎日新聞出版)

2022-04-24 09:03:02 | 

 新聞の書評を読んで購入した。新聞に連載した文を一冊にまとめたものだ。内容は政治批評が主になっている。

 一日一日があっという間に過ぎていく。その一日一日に、いろいろなことが起こり、それについて考え、怒り、哀しむ、そして笑う。だがそれらは、時の経過に伴って記憶の彼方に消えていく。

 政治に関わることども、ほとんどが理不尽で許せないことだが、それすらも忘れていく。

 この本を読みながら、こういうこもあった、そういうこともあったと思い出しながら、そのことが起きたときの怒りを思い出す。

 本書は、ある意味で備忘録のようなものだ。

 しかしよくままあ、こんな悪いことばかりが政治の世界にはびこっているなあと、あらためて思う。

 政治も社会もよくはならない、という気持ちが今は強い。こんなはずではなかった、もっと良い未来があると思っていた。しかし・・・・

 私は、一昨日、ある人に、期待するからがっかりするんだ、だから期待しないことが大切だ。期待していなければ、ちょっと良いことが起きたらそれだけで嬉しくなるから、と。

 農作業をしているときがいちばんよい。なぜなら考えないから。考えるのは、どこに何を植えようか、ここは耕さなければならないとか、そういうことだけだ。ある意味で、その時間は、"空"になる。

 本書は、だから、政界の悪事を思い出すためにある。捨てないでもっていようと思う。

 

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「獣に失礼」

2022-04-24 09:03:02 | 国際

 昨日の『東京新聞』の「こちら特報部」のコラムに師岡カリーマさんが、「人のすること」を書いていた。

 ロシア軍の軍事侵攻は、ウクライナに多大な被害を与えている。プーチン政権の蛮行には心から怒りを覚える。

 そうしたロシアに対してウクライナの人びとが怒りや憎しみを持つのは当然である。ウクライナ人が「ロシアは人間じゃない」、「奴らは獣だ」というそうした気持ちは理解できるとして、師岡さんは「でも毎日のようにそれをそのまま放送する各国メディアには、やや異和感を覚える」と書く。

 プーチン政権、ロシア軍はロシアそのものではない。師岡さんは、ホロコーストを行ったナチスドイツにはベートーヴェンやゲーテがいた、として、パレスチナ人を迫害しているユダヤ人、原爆を投下したアメリカ、日本もアジアで「非道を働いた」と指摘する。

 要するに、プーチン政権やロシア軍、ロシア国家とロシアのふつうの人々ときちんと区別しようと言っているのだ。

 そして「人じゃない」ということばに、「こういうことは人しかしない。獣と言っては獣に失礼だ」と書く。その通りである。人間だけがこうした殺戮と破壊を行う。人間も動物であるから、人間はもっとも下等な動物なのである。

 そして師岡さんは、こう記す。

 戦争やそれに準ずる憎しみは、人間から信じがたい狂気と暴力性を引き出す。だから戦争はもう絶対に起こしてはならないのだ。

 ほんとうにその通りである。ロシアによるウクライナ侵攻に、日本の政治家は小躍りして叫びまわっている。「核共有論」、「敵基地攻撃論」・・・・・・すべて戦争をあおり立てる言説である。これらを唱える者どもは戦争には行かない。戦争に行くのは、いつでも「下々の者」なのだ。彼らはみずからが安全地帯にあるからこそ、こうした勇ましい発言をするのだ。

 こうした人間が責任をとったことはあるか。ない!

 無責任な発言に同調するのではなく、しっかりと平和な世界をつくるためにどうすべきかを考えるべきだ。絶対に、絶対に戦争をしてはならない。たとえウクライナのように軍備を持っていても、殺戮と破壊は避けることができないのだ。だから、絶対に、絶対に戦争は起こしてはならない。起こらないように、徹底的に外交で平和を追求すべきである。

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