浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

西郷隆盛とフィラリア

2016-03-21 21:47:27 | 近現代史
 『科学』という、岩波書店が発行している雑誌がある。購読しているわけではないが、浜松市の図書館からひと月遅れで毎号借りて読んでいる。というのも、この雑誌福島原発事故に関して鋭い説得力ある論考を継続して掲載しているからだ。

 さて、その昨年12月号に、「吸血昆虫と寄生虫病」という論文が掲載されていた。蚊などによる吸血昆虫による感染症に関するものだが、そこに西郷隆盛がリンパ性フィラリア症に罹っていたということが書かれていた。

 何種類かの糸状虫が蚊を媒介にして人体に入りこむ、そしてその糸状虫が成虫となってミクロフィラリアという子虫を生み出す、ミクロフィラリアがリンパ管に移動、その後リンパ管がつまり、皮膚が硬く厚くなって象の足のようになるので「象皮病」といわれる症状をもつようになる。

 男性には特有の症状が出現する。リンパ液が陰嚢にたまって異常に腫れ上がるという。それを「陰嚢水腫」というのだそうだが、西郷隆盛がその「陰嚢水腫」を患ってたというのだ。

 西郷が、奄美大島や徳之島、沖永良部島に遠島処分を受けていたことは知られているが、おそらくその時に糸状虫をもった蚊に刺されたのだろう。西南戦争が始まった頃、西郷の陰嚢は腫れ上がり、馬に乗ることもできなかったそうだ。

 西郷は、鹿児島の城山の洞窟で最期を迎える。別府晋介に介錯させ、首はどこかへと運ばれ埋められた。政府軍は、戦闘終了後、首のない死体を発見したが、西郷のそれであると確認できたのは、「陰嚢水腫」だった。

 すでに日本では、リンパ症フィラリア症は根絶され、「陰嚢水腫」はない。戦後初期までは、沖縄や九州では感染者がいたという。


 
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