アメリカ合州国に関して話すことにしたので、蔵書の中からアメリカ合州国に関する本を引っ張り出して読みはじめている。
その中の一冊がこれである。本多には『アメリカ合州国』という本もあるが、これはそれを取材してから30数年後に再訪して書いたもので、今でも販売されているかどうかはわからない。この本は、2003年発売である。
本多は、黒人、インディアン、アメリカ兵と結婚した日本人女性などを取材する。「どの国にせよ、本質や正体は被抑圧者のなかに象徴的にあらわれる」(11頁)からだ。
たいへん読みやすく、また内容的にも豊かで、購入したときに読んではいるのだが、すべて新鮮に思えた。本多が『アメリカ合州国』(1970年刊)を書いた頃と比べて、黒人差別はなくなっていないが、かなり緩和されているようだ。といっても、今から20年も前の状況だ。今はどうなっているのだろうか。
具体的な記述が多いが、アメリカ合州国は本質的には、建国以来変わってはいない。「アメリカ合州国の歴史が、ワシントン初代大統領のときから現在まで一貫して侵略・陰謀・詐欺・虐殺の連続だったこと」(192頁)は自明の事実だからだ。
そして、「今やアメリカ合州国は、最強の軍事・経済・科学を握った上に言語帝国主義まで加えて、地球の生物史30数億年来「最悪の帝国」として君臨するに至った。地球上の「どんな紛争」にも介入なり捏造なりして支配してゆく。」(223頁)
これは大統領が、バイデンであろうとトランプであろうと変わらない。大統領が替わるとどうなるか・・・などと識者は語るが、しかしアメリカ合州国の本質は変わらない。インディアンをだまし、虐殺し、虐げてきた歴史を、アメリカ合州国は、世界中で繰り返し行ってきた。
アメリカ合州国とはいかなる国家であるか、日本人はきちんと認識しなければならない。
本書は、20年ほど前のものだが、読む価値はおおいにある。