窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

希少なお酒がずらり-たちきや(神戸・三宮)

2019年11月12日 | ワイン・日本酒・ビール


  今回の神戸の締めくくりは、日本酒バー「たちきや」へ。業界でいつもお世話になっている方の先輩が営まれている、日本酒にこだわったお店ということで以前から伺ってはいたのですが、この度ようやくお邪魔することができました。



  カウンターのみの純和風なお店。カウンターや棚には珍しい限定日本酒がずらりと並んでおり、それだけで楽しみになります。

  まずは冷奴をお供に地元兵庫県のお酒から。加古川市に唯一残る、創業140年の酒蔵、岡本本家の純米吟醸SEITEN生原酒(冒頭写真)。近ごろはさっぱりとしてキレのある純米酒が好みですが、それなりに食べ飲んだ後でもあるので、ややインパクトのあるお酒の方が良いというのもありました。そういう意味では、すっきりとした中にも、微妙に乳酸系の爽やかさを感じるこのお酒は飲みやすかったです。



  続いて、角右衛門ひやおろし特別純米酒。秋田、木村酒造のお酒。秋のお酒のイメージがあるひやおろし。以前ブログでもお話ししましたように、ひやおろしは出荷前の二度目の火入れ(加熱殺菌)をしないことから「冷や卸し」と呼ばれているのだそうですが、こちらも角右衛門特別純米酒を、春に一度瓶燗火入れしてひと夏熟成させたものです。低温で熟成させたため、フレッシュ感のある飲みやすい仕上がりになっています。



  三杯目は愛媛、中条本店の城川郷純米原酒。ここへきてまろやかでお米の甘みがしっかりとつづくお酒に。



  岡山県備前地区の原料米「雄町」を使用した、龍勢ひやおろし雄町特別純米(藤井酒造)。聞きそびれてしまいましたが、こちらのお店は旧店名を「備前たちきや」といったことから、地元と関係あるのでしょうか?こちらはしっかりとしたお米の旨味が感じられる、厚みのあるお酒です。



  最後は、再び兵庫県に戻り、江井ヶ島酒造の日本魂(やまとだましい)純米無濾過生原酒みずもと仕込み。みずもと(水酛)についても以前ブログでお話ししましたが、生米と蒸米を水につけて乳酸菌を増殖させ、その水を仕込み水として利用して酒母を作る、復刻した古来の仕込み法を言います。水酛は全国でも珍しく、米由来の旨味、甘み、酸味も雑というのではなく、何というか本来の日本酒といった自然感がありました。

  またゆっくり、じっくりとお邪魔したいと思います。

たちきや



兵庫県神戸市中央区北長狭通2-9-4 西島ビル 1F



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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魅力的な夏酒がずらり-京のおばんざい 真理福(銀座)

2019年08月31日 | ワイン・日本酒・ビール


  いつもお世話になっている、京都を愛してやまないブランド・コンサルタントの山本秀行先生よりご紹介いただいた、銀座6丁目にある京都のおばんざいのお店、「真理福」へ行ってきました。「おばんざい」自体、元は京都の一般家庭のお惣菜を意味する言葉なので、おばんざいのお店ですね。女将さんは祇園の京舞井上流ご出身の方です。

  この日(8月28日)は既に食事を済ませた後でしたので、お店お任せの夏に合うお酒が中心でした。冒頭の写真は、九条ネギのおひたし。



  右から、枝豆、自家製らっきょ、自家製坦々、鱧の卵です。



  お酒は冷凍した竹筒に注いで出てきます。このため、注いだ直後の1杯目よりもしばらく置いた2杯目の方が、お酒が冷えています。



  順々に行きましょう。初めは、佐賀県の「天吹 純米大吟醸 バナナ酵母 生」。名前の通り、バナナ酵母を使った珍しい日本酒です。口元に杯を近づけると、バナナの香りが漂ってきます。その香りと日本酒の甘みが合わさると、トロピカルフルーツのようなまろやかな味わいがします。



  続いて秋田県の「山本 ドキドキ 純米吟醸」。先ほどとは一転して、爽やかな酸味の切れのある夏向きのお酒です。この酸味は、リンゴ酸を多く生み出す酵母に由来するらしい。アルコール度数が14度と低く、すいすいと呑めてしまいます。



  同じ山本の「サンシャインイエロー 山廃 純米吟醸」。こちらも爽やかな乳酸系の味わい、夏の冷酒に合うお酒です。



  奈良県の「花巴 完熟 山廃純米 無濾過生原酒」。今度はアルコール度数が21度もあり、力強いお酒。しかし、飲んだ後はすっきりとキレがあり、後に引きずりません。



  こちらも秋田県の「吟醸原酒 かち割りまんさく」。その名の通り、氷で割っていただきました。アルコール度数が19度と高め、辛口の原酒は、氷で割っても水っぽくなることなく、美味しく呑めます。かき氷屋さんの暖簾を思わせるラベルが夏らしいですよね。



  山形県の「栄光冨士 SURVIVAL 純米大吟醸無濾過生原酒」。山形県の幻の酒米「玉苗」使用した限定酒だそうです。フルーティで味わい深く、飲み疲れしません。ラベルも横浜DeNAベイスターズがイベント試合“Star Night”で着用するユニフォームのようです。



  最後は、宮城県の「日高見 天竺 純米吟醸 愛山 瓶囲い 一回火入れ」。こちらも幻の酒米と言われる「愛山」を使用しています。会話が弾み、もう少し飲みたいということで頼んだお酒は、まろやかで甘みがありつつも爽やか。

  お酒は飲む順番で良い起承転結になるかどうかが、全体としてこの日呑んで良かったかどうかのカギになると個人的には思っています。その意味では、本当に美味しいだけでなく、美味しく呑める順番で勧めていただけたと感謝しています。


真理福(まりふく)


東京都中央区銀座6丁目8-6



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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恒例の地ビールフェスト甲府で暑気払い

2019年08月03日 | ワイン・日本酒・ビール


  昨年より30日も遅れ、二日前ようやく梅雨明け宣言が出た関東甲信越地方。そして梅雨が明けるなり各地で軒並み35度を超える猛暑が到来しました。



  車の温度計も甲府に入るなり、40度を計測。



  少し遅いお昼は、山梨の夏の名物「おざら」(ざるほうとう)にしました。

  さて、弊社山梨営業所は、毎年甲府駅前「よっちゃばれ広場」で開催される「地ビールフェスト甲府」に合わせて暑気払いを開催しています。昨年は所用で参加できなかったため、僕は2年ぶりの参加となります。



  今年も山梨とその周辺の地ビールが大集合、早速行きましょう。初めの1杯は、「富士桜高原麦酒」の「60thプレミアムピルスナー」。ドイツのカスケードホップを使用した、苦みが強めのビール。惜しむらくは時間が早かったためか、この暑さでの最初の一杯としては冷えが足りなかったことです。アロマを楽しむため、敢えて冷やしすぎないようにしていたのかもしれません。



  今年は毎年人気の「ピーチヴァイツェン」がなく、代わりに「ゆずヴァイツェン」が登場。1日20ℓのタンク3本限定です。小麦麦芽を50%以上使った、ドイツの伝統的ビール、ヴァイツェンにゆずの皮を漬け込んだものらしいです。最初に口に含んだ時、ほんのりと柑橘系の香りがします。まさに夏のビール。最初のプレミアムピルスナーが苦めのビールだったので、こちらを先にしておけばより香りが楽しめたかもしれません。



  おつまみは、「八ヶ岳スモーク」のスモーク全部盛り(チキン、ベーコン、ソーセージ)。中でも厚切りのスモークベーコンは圧巻。



  続いて、「所沢ビール」のIPA、「キャノンボール」。IPA(インディア・ペールエール)は、イギリスの伝統的なペールエールの一種。一説によるとインドで保存をきかせるためにホップを大目にし、アルコール度数も高めにしたのがIPAなのだとか。このキャノンボールも6.5度あります。一気に流し込むというより、苦みと香りを楽しむビール。



  一緒にいた社員が頼んだものですが、「梅干しSmokin’」。鬼グルミの木でモルトを自家燻製したスモークビールなのだそうです。しかもそこに梅干しが入っているという。ただ酸性の飲料であるビールにアルカリ性の梅干しを混ぜてしまった(つまり、果肉を潰してかき混ぜてしまった)結果、中和されて何の飲みものか分からなくなってしまいました。



  飲み疲れの一休みに。ベルギービールの輸入販売を行っている「小西酒造」より、「リーフマンス オン・ザ・ロック」。チェリーを18か月漬け込み熟成させたというフルーツ・ビール。



  最後は、「ヴェデット エクストラホワイト」。ベルギーのホワイトビール(小麦を多く使ったビール。グルテンを多く含むため、泡立ちが良く、さわやかな酸味が特徴)で、原料にコリアンダーとオレンジピールが使われています。このため、すっきりとした口当たりと爽やかな香り、酸味で飲みやすく、アルコール度数も4.7度と低め。最後にはちょうど良いビールでした。

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日本酒、だって夏じゃない-花津月(山下町)

2019年06月14日 | ワイン・日本酒・ビール


  梅雨入りする少し前まで、横浜は暑い日が続いていました。そんな時、お酒の好きな仲間たちの誘いを受け、山下町の「花津月」に初めてお邪魔しました。
 
  もともと夏酒を楽しむという趣旨ではあったのですが、改めてみれば本当によく飲んだと思います。女将さんに選んでいただいたお酒は限定酒が多く、いつもあるという訳ではないようです。お料理もそれぞれのお酒に合うような順番になっており、とても楽しい時間を過ごすことができました。



  何という名前なのか分かりませんが、初めて見る容器です。牛の乳のような形をしていますが、底にグラスを当てるとお酒が注げるしくみ。

  最初は、静岡の「開運 涼々 特別純米」。夏らしいすっきりとした飲み口に柔らかな酸味、ふくよかな米の旨味があって飲みやすいお酒です。



  このお酒に合わせて出てきたのが、茗荷ときゅうりを添えた豆腐だったのですが、お腹が空いていたのでお酒が来る前に食べてしまいました。



  続いて秋田の「ゆきの美人 純米吟醸 愛山麹」。こちらもすっきりしているのですが、よりしっかりとしたコクがありました。



  「ああ、ニシンが食べたいな」と思ったら、ちゃんとあるじゃないですか!因みに、次のお酒であれば左の鶏です。



  次は、奈良の「梅乃宿 生酛直汲み 高島雄町 純米吟醸 無濾過生原酒」。高島雄町は岡山県ですが、これは原料米に雄町米を使用していることによります。最初の二杯より、さらにすっきりとしている気がしました。



  見るからに夏らしいお酒が続きます。”Drunken Whale”、言うまでもなく高知の酔鯨のことですが、「Ginrei Summer Drunken Whale 限定品 夏酒」です。クジラの尾をあしらったラベルに緑のボトルが、いかにも夏を想起させます。そしてお酒もさっぱりとキレがあり飲みやすく、まさにクジラが大海原を泳ぐがごとく、すいすいと行けてしまいます。



  そう、これがまさに和食、煮物に合います。



  石川の「天狗舞 超辛純米」、夏季限定のお酒。キレがありながらも、再びお酒は厚みを増してきたというか、力強くなってきました。



  以前、東神奈川の「ほっこり酒処 千」で開催された鶴齢試飲会については、このブログでご紹介しました。またこの「鶴齢 純米超辛口 美山錦60%」は、品川の「だるま鮨」で飲んだことがあります。確かこの時は今以上に蒸し暑かった記憶が。旨味がしっかりあり力強く、それでいて青りんごや乳酸飲料を思わせるような爽やかさもある、まさに夏向け。



  続いて、「龍力 菖蒲渓 生酛特別純米」。実家から歩いて10分とかからない、地元の有名な酒屋さん「横浜君嶋屋」さんの限定品らしいです。菖蒲渓は、上質の山田錦を産出する兵庫県の小分谷(しょうぶだに)に由来するらしい。



  しっかりした日本酒が続いたので、ここで天ぷらが出てきました。



  福島の「飛露喜 特別純米 生詰」。そろそろ酔いも進んで力負けしつつあるころ。



  ホタルイカの酢味噌和えでしばし休憩。



  またすっきり系に戻り、見た目も涼しげな「みむろ杉 夏純 山田錦」。真夏の心地よい清流のような、爽やかなお酒。



  こちらも浴衣で夕涼みをしているような、夏らしいラベルですね。地元神奈川、「丹沢山 低アルコール純米生原酒 金魚ラベル」。ラベルの裏側には金魚が描かれており、お酒の中を泳ぐ金魚が描かれている、楽しいお酒。同じように、イルカが泳ぐ「雪の松島 特別純米酒」は、以前「アカツキノクラ」でご紹介しました。



  日本酒と言えば、蕎麦です。これで締めかと思えば、



  さらにもう一杯。福井、「黒龍 吟十八号 吟醸生貯蔵酒」。最後はフルーティながらもフレッシュな飲みやすく、ゆっくり味わえるお酒で終わりました。

  それにしてもよく飲みました…。

花津月



神奈川県横浜市中区山下町74−6 ロクマルビル 1F



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鶴齢の試飲会に行ってきました

2019年03月11日 | ワイン・日本酒・ビール


  3月7日、新潟・青木酒造さんの「鶴齢」試飲会へ行ってきました。試飲会場は東神奈川の「ほっこり酒処 千」です。

  新潟県南魚沼市にある青木酒造さんの創業は1717年。新潟県で三番目に古い酒蔵だそうです。生産するお酒の約6割は新潟県内で消費されるそうですので、県外に流通する量はあまり多くないお酒と言えます。

 今回試飲したのは、次の6本です。



・鶴齢 純米大吟醸 槽搾り
・鶴齢 純米吟醸
・鶴齢 特別純米 越淡麗 生原酒
・鶴齢 特別純米 山田錦 生原酒
・鶴齢のにごりさけ
・雪男 純米酒



  初めに「鶴齢 純米大吟醸 槽搾り」から。純米大吟醸のもろみを伝統的な槽(ふね)で搾り、原酒を瓶詰めした本数限定のお酒です。槽搾りというのは、酒袋と呼ばれる袋にもろみを入れ、上からゆっくりと圧力をかけて搾る方法です。以前、富山の「吉乃友酒造」さんを見学した時に見た気がします。機械による圧搾に比べ、圧力が弱いので能率は悪いですが、雑味の少ないお酒になると言われています。

  山田錦37%精米、アルコール度数16%、日本酒度-9.5、酸度1.6。口に含むと、これぞ米の中の米という、お米の甘みと旨味が凝縮された、大変美味しいお酒です。その割に確かに余計な雑味がなく、飲み口が良いのですいすいと飲めてしまいます。料理と別にしてお酒単体で楽しみたいお酒。恐らく、あっという間に無くなってしまうでしょう。



  次は一転してスッキリとした飲み口の「鶴齢 純米吟醸」。越淡麗55%精米、アルコール度数15%、日本酒度+2.0、酸度1.4。越淡麗は、山田錦と五百万石の交配から生まれた、新潟の酒米だそうです。スッキリとしながらもお米のふくよかな甘みがあり、魚沼の柔らかな雪解け水を連想させます。因みに仕込み水ですが、魚沼の雪解け水はミネラルが豊富と言われ、去年行った「上善如水」の試飲会で飲んだ白瀧酒造さんの仕込み水はやや硬い感じがしました。しかし、今回は非常に軟らかい印象を受けました。実際、青木酒造さんの仕込み水は軟水だそうです。青木酒造さんと白瀧酒造さんは距離にして13㎞ほどしか離れていないのですが、結構違うものなのでしょうか。



  三杯目は「鶴齢 特別純米 越淡麗 生原酒」。越淡麗55%精米、アルコール度数17%、日本酒度+3.0、酸度1.6。料理に合わせて飲むなら、今回の中で一番好きなお酒。力強い米の旨味、控えめな甘さ、ややアルコールを強く感じます。鴨のロースト、焼き鳥、塩気のある食べ物に合わせたいです。雪深い魚沼では保存のため味付けの濃い食文化が育ったのだそうです。その土地の食に合うようにできている、日本酒でなくても言えることですが、そこがお酒の神秘的なところであり魅力でもあります。



  四杯目は「鶴齢 特別純米 山田錦 生原酒」。山田錦55%精米、アルコール度数17%、日本酒度+3.0、酸度1.8。全体として厚みはありますが、控えめな甘さとキレ、アルコールを感じます。先ほどのお酒の後ということもあって、何となく若々しさというかギャップを感じてしまうのですが、山田錦が晩稲の品種であるということも関係しているようです。



  「鶴齢のにごりさけ」。山田錦60%精米、アルコール度数17%、日本酒度-3.0、酸度1.8。見た目と違い、すっきりとしたキレのあるやや辛口。軽く発泡しており、酸味も感じます。飲みやすいです。



  最後は「雪男 純米酒」。美山錦60%精米、アルコール度数15%、日本酒度+7.0、酸度1.5。これまでのお酒とは大きく違う、しっかりとした辛口。清水のようで、最後だけに余計ギャップを大きく感じました。テーブルでも好みの分かれたお酒でした。

ほっこり酒処 千



神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1-8-11



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上善は水の如し-The Jozen吟醸BAR

2018年09月27日 | ワイン・日本酒・ビール


  9月26日、銀座で開催された、日本酒「上善如水」で有名な白瀧酒造さんのイベント「The Jozen吟醸BAR」に参加してきました。



  白瀧酒造さんの日本酒5種類の試飲の他、酒粕などを活かした数々の化粧品の紹介などがありました。

  「上善如水」の歴史は比較的新しく、1991年の発売だそうです。その名の通り、当時の日本酒にはなかった「水のようなすっきりとした味わい」をウリに登場したそうです。もちろん、「上善如水」の銘柄は『老子』の有名な言葉「上善は水の如し」に由来すると思います。水は高きから低きに流れ、地形や器の形に逆らわず、しかも万物に恵みを与えることから、古代中国思想で最高の善の例えとしてよく使われます。例えば有名な『孫子』にも、

「積水を千仞の谿に決するが若きは形なり」(形篇)
「水の疾くして石を漂わすに至る者は勢なり」(勢篇)
「夫れ兵の形は水に象る。水の行くは、高きを避けて下きに趨く。兵の勝つは、実を避けて虚を撃つ。故に水は地に因りて行くを制し、兵は敵に因りて勝ちを制す」(虚実篇)

など、理想の軍のあり方を表す例えとして水が多用されています。水は、人間行動の理想を準えたものと言えるでしょう。




  閑話休題。今回試飲したのは、以下の5銘柄とカクテル(モヒート)です。

・上善如水 スパークリング
・上善如水 純米吟醸
・上善如水 純米吟醸 ひやおろし
・湊屋藤助 純米大吟醸
・上善如水 純米



  まず、ウェルカムドリンクでスパークリングを頂きましたが、乳酸飲料を思わせる芳醇な香りの甘口スパークリングで、非常に飲みやすかったです。何かこれを飲んでいるだけで肌がきれいになりそうな気がしてきます。

  次に、「上善如水 純米吟醸」。華やかな香りの後はまさに水の如きすっきりとした味わい。因みにチェイサーで仕込み水が供されていましたが、思いのほかミネラル感のある水でした。

  続いて赤い瓶がまさに秋を思わせる、「上善如水 純米吟醸 ひやおろし」。こちらは逆にしっかりとした米のうまみがあり、ぐっと厚みが増します。なお、試飲とは別にこの両者の飲み比べもありました。因みに、この季節になるとよく見かける「ひやおろし」ですが、出荷前の二度目の火入れ(加熱殺菌)をしないことから「冷や卸し」と呼ばれているのだそうです。日本酒本来の旨味を味わえるという特徴があるそうですが、まさにそんな感じです。

  「湊屋藤助 純米大吟醸」。白瀧酒造創業者、湊屋藤助の名前を冠したお酒。先ほどの「純米吟醸ひやおろし」よりすっきりと飲めるまとまりの良いお酒でした。

  さらに「上善如水 純米」。個人的には一番の好みでした。薄く黄色がかった色合い、どっしりとした米の旨味と甘みが感じられ、ほのかに柑橘系を思わせる香りがします。これだけはショットグラスに氷を入れたロックで供されたのですが、分かる気がします。これだけ力感に違いがあると、飲む順番もこれで良かったなと思います。



  最後は「上善如水 純米吟醸」をベースにしたモヒートを頂きました。すっきりとした味わいの「上善如水 純米吟醸」ですから、ペパーミントとの相性が良く、非常に良い香りがしました。新しい発見です。



  酒粕を使ったデザートもありました。



  途中の日本酒講座中で出てきた日本酒クイズに、幸運にもただ一人正解し、「上善如水 純米吟醸」と「上善如水 純米吟醸 ひやおろし」のセットを頂いてしまいました!



  銀座のど真ん中にもかかわらず、非常に良心的な会費。しかし盛りだくさんの内容で、楽しい時間を過ごさせていただきました。お誘いいただきありがとうございました!また、白瀧酒造の皆様もありがとうございました!

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橋本の老舗居酒屋、扇屋

2018年09月26日 | ワイン・日本酒・ビール


  この1年、毎月通っていながら駅構内から出たことのなかった橋本。地元相模原の友人に誘われ、初めて駅前の老舗居酒屋「扇屋」へ行ってきました。



  小さなお店ですが、ずらりと並んだ日本酒の一升瓶。壁にはお品書きが所狭しと掲げられ、見ているだけでも楽しくなります。三連休頭の土曜日にもかかわらず、夕方6時を過ぎるとお客さんが続々と入ってきて、人気店であることを窺わせました。これを大将一人で切り盛りされるのですから、前日の金曜などはさぞ大変だっただろうと思います。



  さて、初めはお刺身盛り合わせから。見た目から素材の良さが分かります。実はその前に枝豆を頼んだのですが、「季節が終わったのでない」とのことでした。つまり冷凍ものではないということで、そんなところからも大将のこだわりが垣間見えます。

  なお冒頭の写真は、イワシの梅煮。そうでなくても大好きなイワシの梅煮ですが、丸々とはちきれんばかりに太ったイワシはふっくらと柔らかく、甘酸っぱい梅肉との相性抜群でした。



  何か写真撮り忘れもある気がするのですが、お酒行きましょう。だいぶ涼しくなったとはいえ、まだ蒸し暑さの残る季節。さらに料理との相性も考え、切れの良い辛口でまとめました。初めは会津の「ゆり 純米吟醸」(鶴乃江酒造)。全国新酒鑑評会で都道府県別6年連続日本一に輝く福島のお酒。実は、昨年のトランプ大統領来日時の夕食会で出されたのが、この「ゆり」だそうです。すっきりとした中にも芳醇な、上品な味わいのお酒でした。



  一緒にいた友人がよほどアスパラが好きだったのでしょう。気がつけば三種類も頼んでいました。左から、ゆでアスパラ、アスパラ・ベーコンバター、アスパラ・ベーコン巻き。



  煮汁ではなく、豚の脂の甘みが活きた角煮。これも美味しかったです。



  初めて食べたのですが、鮭の白子の天ぷら。



  大人気の馬刺し三種。赤身、たてがみ、シャトーブリアン。馬にもシャトーブリアンってあるんですね。



  続いてのお酒は、広島の「賀茂金秀 秋のたより」(金光酒造)。こちらは先ほどよりまろやかですが、やはりすっきりとして飲みやすいです。



  揚げ出し豆腐。周囲がグルテンで覆われていない、表面のパリッとした食感が活きた一品。肉食べるよりこういう方が嬉しい年齢になってきました。



  写真に並んでいる中から、宮城「墨廼江 特別純米酒」(墨廼江酒造)。今回の中では一番のお気に入り。キレの良さにほのかなシトラス系の香りを感じる爽やかなお酒です。程よい米のうまみもあり。続いて、「奈良萬 純米酒 ひやおろし」(夢心酒造)。奈良萬ですが、福島のお酒です。まさにこの季節にぴったりのお酒が続きました。



  日頃偉いと思うのは、冒頭のイワシと梅の組み合わせを考えた人と、金目鯛の煮付けを考えた人。何でこんなに美味しいんでしょうね…



  最後は、山口「雁木 冷おろし 純米吟醸」(八百新酒造)。こちらもまろやかで程よいうまみのあるお酒。徐々にキレ系から旨味系にシフトしていけたのは、大将のお導きか?



  鴨つくね。

  いや、良いお店を教えていただきました。ありがとうございます!

扇屋 橋本駅前店



神奈川県相模原市緑区橋本3-15-17 HKビル1F



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夏酒特集-アカツキノクラ(横浜駅西口)

2018年07月13日 | ワイン・日本酒・ビール


  全国津々浦々のお酒を自分で棚から選んでテイスティングのように楽しめる、立ち飲み居酒屋(椅子もあります)「アカツキノクラ」をご紹介いただき、夏のお酒を求めて行ってきました。



  姉妹店で居酒屋スタイルの「酒とったり」と繋がっており、ちょっとしたつまみを除く料理の方はそちらから運ばれてくるようです。立ち飲み居酒屋とはいっても、ビルの二階にあり冷房が効き、店内はお洒落な造りで女性も気兼ねなく楽しめるのではないかと思います。



  店に入ると、壁の一面が棚になっており、全国から集まった数々のお酒がずらりと並んでいます。それぞれのお酒の上下には、様々な色の升が置いてあり、この升をカウンターに持って行くと、お酒を注いでもらうことができます。升の色によって値段が異なるようです。支払いはテーブル番号に応じて加算されるので、最後にまとめて清算する形式です。



  最初の一杯は、鳥取県福羅酒造の「山陰東郷 炭酸割専用原酒」。「最初の一杯にお勧め」というPOPを素直に受け取って選びました。見れば、猪口の中に氷が入っています。アルコール度数19度とやや高めの甘口で、「炭酸割専用」とあるだけで発泡しているわけではありません。氷のためか薄まってしまいましたが、軽く乳酸飲料のような爽やかな酸味が感じられ、抵抗なく一気に飲めてしまうので、確かに最初の乾杯には良いかも言しれません。



  続いて、ラベルのセミが一際目を引く、福岡県株式会社みいの寿の「三井の寿 夏純吟 Cicala」。祖母の故郷、甘木の蔵元さんです。” Cicala”は文字通り、イタリア語でセミのこと。アルコール度数15%、こちらも爽やかな酸味があり、キリっとしてまさに夏向け。



  切り絵花火のデザインラベルが、まさに夏のお酒であることを暗示する、愛媛県成龍酒造の「伊予賀儀屋 清涼純米 花火」。こちらは程よい甘みとコクが感じられ、たまたまですが、飲む順番としては良かったと思います。今回の中では一番、コメを感じられるお酒でした。



  名前は「雪の松島」でも夏に合う、さっぱりとした辛口のお酒、宮城県大和蔵酒造の「雪の松島 特別純米酒」。少し緩んだ口の中を再び引き締め、夏に戻してくれます。因みに、ラベルの裏にはイルカが描かれており、薄い青の瓶を裏に回すと、水族館のイルカが泳いでいるように見えます。



  最後は、この日一番の辛口、石川県車多酒造の「天狗舞 超辛純米」。夏限定品らしいです。最後にマッチョな、これぞ辛口というお酒になりました。自分の中では非常に好きなタイプのお酒です。

アカツキノクラ



神奈川県横浜市西区南幸1-10-16 2階



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麻布十番店にも行ってきました-Le Bar à Vin 52 AZABU TOKYO

2017年10月24日 | ワイン・日本酒・ビール


  過去、このブログでも関内店恵比寿店をご紹介しました、成城石井がプロデュースするワインバル” Le Bar à Vin 52 AZABU TOKYO”の麻布十番店に行ってきました。これまではワインバルでありながらワインについてほとんど触れませんでしたので、今回はそちらを中心に書きたいと思います(料理については関内店と恵比寿店の記事をご覧ください)。

  恐らく小売価格にして1,000円から2,000円位の価格帯と思われるカジュアルなワインながら、結構しっかりとした味わいのワインがこれまた飲食店としてはリーズナブルな価格で楽しむことができます。本来重いワインの好きな僕ですが、今回は食事を邪魔しないミディアムボディのワインを中心に選びました。

  初めは冒頭の写真、エピスリー・ボヌール・ボルドー・ブラン。すっきりとした飲み口ながら、そこそこしっかりした果実味と酸味があり、最初の一杯としては適したワインだと思いました。



  続いてラ・ディブ・ ブラン・コート・デュ・ローヌ2010。先ほどのワインよりやや重い感じがしますが、タンニンが少なくドライ。ややオイリーな印象を受けます。さらにすっきりとしているので、先ほどのワインと順序が逆でも良かったかもしれません。



  赤に切り替え。シャトー・ラ・ヴェリエール・ボルドー・シューペリュール2010。カベルネ・ソーヴィニョンとメルローのブレンド。しっかりとした赤紫色をしていますが、タンニンはそれほどでもありません。優しい果実味、アルコール度数14%でキレがあるので肉料理の合間に適したワインかと思います。



  最後はド・ラ・クロワ・サン・ジャック・ブルゴーニュ・ピノ・ノワール。ブルゴーニュ地方最北端の産地ジョワニーの三ツ星レストラン、ラ・コート・サン・ジャックのハウスワインだそうです。

  ジョワニーはローマ時代から続くワインの銘醸地でしたが、19世紀後半に西ヨーロッパを襲ったフィロキセラ(ブドウアブラムシ)によって大被害を受けました。ラ・コート・サン・ジャックでは、かつての銘醸地ジョワニーの復興に力を入れているそうです。

  先ほどのワインと比べると、明るいルビー色をしており、やはり柔らかなタンニンと果実味の飲みやすいワイン。ワインとしては物足りないですが、肉料理に合わせすいすいと飲むことができます。

  なお、写真の背景に漫画家の久住昌之氏によく似た人物が映っていますが、20年来の友人です。

Le Bar à Vin 52 AZABU TOKYO 麻布十番店

東京都港区麻布十番2-2-10



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初めてのジョージアワイン

2017年08月26日 | ワイン・日本酒・ビール


Facebookで知人の投稿に触発され、初めてジョージア・ワインを買ってみました。ジョージア、以前はグルジアと呼ばれていましたが、2015年に日本での呼称がジョージアに変更されています。

  日本人にとってあまり馴染みのない国かも知れませんが、日本で知られたジョージア出身者としては、旧ソ連のスターリン、シュワルナゼ外相、そして最近では大相撲の黒海、臥牙丸、栃ノ心などが挙げられるでしょうか。以前、当ブログの「GALA-モンゴル料理専門店」で少し触れましたが、ジョージアも13世紀に長くモンゴルの支配を受けたため、郷土料理に「ヒンカリ」と呼ばれる小籠包があります。

  西は黒海、東はカスピ海に挟まれたジョージアは、古代から地中海地域とペルシャ地域を結ぶ交通の要衝として栄えました。ギリシャ神話にはイオールコス王のアイソーンがジョージア人の先祖であるコルキス人の王アイエーテースの所有する秘宝金羊毛を奪いに行く物語が登場しますが、これは古代のジョージアがいかに豊かであったかを象徴的に物語っています。

  そんな悠久の歴史をもつジョージアですが、実は世界最古のワイン生産地であり、8000年も前からワインが作られているそうです。また、ブドウそのものの発祥の地とも言われているそうです。今でもジョージアにはサペラヴィ種、ムツヴァネ種、ルカツィテリ種など多くの固有品種が栽培されています。

  また、ジョージアワインの大きな特徴は、「クヴェヴリ」と呼ばれる古代からの製法を受け継いでいることです。クヴェヴリは、「アンフォラ」と呼ばれる蜜蝋でコーティングされた陶の壺を地中に埋め、その中でブドウを丸ごと搾って発酵させる醸造法です。この醸造法がジョージアワインの味と香りを特徴づけており、クヴェヴリは2013年、和食と共に世界無形文化遺産に登録されています。

  さて、そんな気になるジョージアワインの中から選んだのが、「ベシーニ クヴェヴリ スペシャル・リザーブ 2015年」。固有品種のルカツィテリ(白ブドウ)を使用していますが、前述のようにブドウの皮も果実も種も丸ごと搾って発酵させるために、普通の白ワインよりはるかに色の濃い、オレンジがかったワインとなります。そのために、赤・白・ロゼと区別してオレンジワインと呼ぶこともあるようです。

  外観は新鮮なリンゴジュースのような淡いオレンジ色。冷やし過ぎたためか香りが開かず、わずかにシトラス系の香りがしました。しっかりとしたコクがありますが、非常にドライで辛口、白ワインとは思えないほど強いタンニンを感じます。アルコール度数は13%。10分ほどおくとかすかな果実味と甘みが出てきますが、このやや古ぼけた感じの熟成感は単体で飲むよりも軽くソテーした肉や魚料理に合わせたいところです。まだ全部飲んではないので、少し時間をおいた味の変化もみてみたいと思います。

  初めて触れたジョージアワインの世界。これからも機会があれば少しずつ覚えていきたいところです。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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