11月28日、空気を読むを科学する研究所の講座で、危険行動検知(基礎)のトレーニングを受講しました。
危険行動検知トレーニングとは、暴力やテロなどの危険行為を起こす兆候を表情から検知するトレーニングのことです。C.ダーウィンは『連合的習慣の原理』(1872)の中で、表情は身体に行動を事前に教えることで、人に行動の準備をさせる働きがあると述べています。また、表情分析のパイオニアであるP.エクマンは、危険行動の予兆は表情から読み取ることができると主張しました。エクマン博士をモデルにした2009年のTVドラマ『ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る』でも群衆の中から危険表情を察知する場面が登場します。しかし、具体的にどのような表情から読み取れるのかを明らかにしなかったため、それに対する反論もあるようです。
一方、このところ当ブログでも取り上げている、表情分析の第一人者D.マツモトは、2014年の論文の中で、実際に暴行を受けた警察官や大学生が、偶然の一致やステレオタイプに拠るのではなく、暴行の直前の表情について共通した表情を記憶していたことを明らかにしました。今回受けた危険行動を目論む個人を特定するためのトレーニングは、以前ご紹介したMiXトレーニングと同様、マツモト博士のHumintellが提供しているアプリケーション(D3 Basic)を使用しました。
基礎編は以下のような構成になっています。
事前テスト:静止画像20枚
練習セクション:静止画像40枚
事後テスト:静止画像20枚
各画像について、それが危険表情かそうでないかを1秒で判断します。
危険表情には、抑制された怒りの表情と、衝動的な怒りの表情とがあり、それぞれ特徴が異なります。また、画像には怒りの表情の他、怒りと混同しやすい軽蔑や嫌悪表情、笑みなどとの混合表情も含まれています。完全な危険表情(もはや手遅れ)と衝動的な危険表情の予兆との境界線、さらに抑制された危険表情の境界線を判断するのが難しいと思いました。同アプリにはさらにAdvancedバージョンもあります。
MiXと同様、事後テストで一定のスコアを超えると、認定証がもらえます。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした