窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

山に登れば次の山が見えるー第143回YMS

2022年10月13日 | YMS情報


 YMSはこの10月で丸12年を迎え、13年目に入りました。これまで講師をしていただいた108名の皆さま、ご参加いただいたのべ2,569名の皆さまに心より御礼申し上げます。そして去る10月12日、スマートレンタルスペースbelle関内601にて第143回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催いたしました。



 今回の講師は、ローカルパワーエンジン株式会社代表取締役、曽根田太郎様。「主力サービスのピボットと社名変更に至る道のり~地方創生の現状と私たちが目指す地域活性化~」と題してお話しいただきました。

 お話しは今日の事業内容に至る経緯から始まりました。曾根田さんは初め会計系コンサルティング会社に就職され、その後大手不動産ポータルサイト運営会社で新築分譲戸建事業会社向け営業をご経験。さらに、不動産・住宅業界のネット集客のコンサルティング会社で経験を積まれました。2015年に現在の会社の前身となる株式会社追客力を設立、ネット反響の歩留まりを向上させる追客支援ツールの提供を始められました。

 変化のきっかけは、たまたま同時期に親の介護のため退職された女性、介護職を辞め事務職に転職された妹さん、そして奥様のお仕事についてと、3人の女性の転機に遭遇するにあたり、男女の所得格差を痛感されたこと。さらには、大手マーケティング・オートメーションサービスが次々と市場参入する中で、当初は画期的だった追客支援ツールにも陰りが見えていたことから、「このままでいいのか?」という問題意識を持たれたことにあったそうです。

 そこでこれまでの経験からご自身の強みを見直した結果、WEBマーケティングと不動産・住宅業界に対する造詣、ニュースレターの継続力の三つが浮かび上がってきたそうです。これら強みを鍵とすれば、錠である不動産・住宅業界には、全てではないにせよ当時コツコツと積み上げていく地味な仕事が苦手、WEBにはあまり強くない、売上至上主義という特徴がありました。この鍵と錠を掛け合わせた結果、コツコツとした積み上げ型仕事の代行、顧客第一主義の見える化と浸透、女性のスキルアップおよび所得向上支援という可能性が開きました。そうして誕生したのが今日のテーマである「地方創生」に連なる、地元密着型の不動産・住宅会社に代わって地元の魅力を紹介する記事を作成・発信する「地元紹介丸投げパック」です。ここでは地元の女性ライターがブログ形式(一部Instagramも活用)で情報を発信していきます。このサービスの良いところは、クライアントは集客、顧客フォロー、地域活性の姿勢を打ち出したブランディングにつながり、ライターは収入とスキルアップに加えて、地元愛の向上にも寄与し、閲覧者はお店の集客や定住者の増加、おなじく地元愛の向上などが期待できるという点です。

 そしてこれが本日のテーマに繋がる二つ目のきっかけは、3年前、ある人から「これは『地域活性化』そのものではないか?」と言われたことだそうです。ちょうど、2014年に発足した第二次安倍内閣が、東京一極集中の是正、地方の人口減少阻止、日本全体の活力向上を目的とした「地方創生」を政策の柱の一つとして掲げ、数年が経過した頃でした。

 さて、その目玉政策の一つである地方創生ですが、既にさまざまな失敗事例が明るみになっていました。自治体主導の地方創生事業の典型は箱モノづくり、イベント開催、第六次産業化推進、ふるさと納税促進などですが、計画がずさんであったり、効果が限定的か一過性のものであったり、ノウハウがないためコンサルに丸投げであったり、上手くいかない要因は様々です。また、地方創生を掲げる民間企業も数多くありますが、補助金ビジネス化している面も否めません。

 一方で成功している事例もあります。成功事例の特徴をまとめると次のようなことが浮かび上がってきました。

1.民間主導の場合が多いこと
2.地元のリーダーが推進役を担っていること
3.地域独自の資源を活用していること

 一言で言えば、地元の人間が当事者となり自らを活かしているということです。

 それならば、地元のリソースを結び付け地域活性化するために「地元紹介丸投げパック」が活かせるのではないか?そこから、社名を現在のローカルパワーエンジン株式会社に変更するに至りました。今年4月のことです。新しい会社のロゴは、地元企業、地域住民を結び付け地域活性する意味を象徴しています。つまり、地元紹介丸投げパックを媒介にして、地域内発的に新事業創生、既存事業活性、雇用創出へとつなげていこうというモデルです。さらに最近では、自社で培った採用ノウハウを活かし、採用オウンドメディア運用代行へとサービスを広げています。

 今回のお話をまとめると、全ては「このままでいいのか…」という問題意識から始まりました。その上で、自らの強みとそれを活かせる市場について、広く深く洞察していきます。そしてやるべきことが見えたなら、不確実な要素が残っていても動くこと。「山を登ると次の山が見える」とおっしゃっていましたが、最初は行く先が見えていなくても一歩を踏み出すということです。こうしたことは、いかなる業種に身をおく者であっても当てはまるのではないかと思いました。


 
 我々YMSも12年で143回を数え、紹介のリレーで繋いできた講師だけでも108名になります。この蓄積をまだまだ活かしきっていないように思います。そこで、あらためて12年前の設立趣旨を振り返ってみましょう。

<YMSの価値観>

 1859年に開港する前、横浜はわずか100軒足らずの小さな漁村に過ぎませんでした。しかし、それから150年を経て、現在では350万都市にまで成長しています。その原動力をわたしたちは、横浜が未知なる世界に進んで飛び込む自立心と好奇心をもち、常に流れ込んでくる新しい文化や人に対して心を開きつつも、地域に人一倍の愛着を持ってつながりを大切にする気風をもった人々が集い、和洋折衷した独自の文化を創造してきたことにあったのではないかと考えています。

 わたしたちは、20年の長きにわたって閉塞感漂うわが国を再び前向きにするものこそ、この横浜が育んだ気風であると考え、こうした気風をもつ人を出自によることなく”濱っ子”と呼び、特に事業活動に携わる”濱っ子”を”濱っ子マネージャー”と呼ぶことにしました。

 ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー(YMS)は、”濱っ子マネージャー”が集い、切磋琢磨できる場を提供することで、”濱っ子”の気風を広め、社会に貢献することを目指します。

<YMSの活動内容>

・YMSは、”濱っ子マネージャー”や”濱っ子マネージャー”を志す人が低負担で、頻繁に交流できる「活力ある場」を提供します。
・YMSは、”濱っ子経営”注)を学ぶ勉強会を主催します。参加者は各々の嗜好に応じ、参加を自発的に選択することができます。
・YMSは、これら交流の場や勉強会を参加者の主体性によってつくりあげます。

注)”濱っ子経営”とは、上記の価値観に基づき、社会の活性化を志す経営のことです。

過去のセミナーレポートはこちら

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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