都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
新国立劇場 2004/2005シーズン 「マクベス」
新国立劇場 2004/2005シーズン
ヴェルディ「マクベス」
指揮 リッカルド・フリッツァ
演出 野田秀樹
キャスト
マクベス カルロス・アルヴァレス
マクベス夫人 ゲオルギーナ・ルカーチ
バンクォー 大澤 建
マクダフ 水口 聡
マルコム 内山信吾
侍女 渡辺敦子
医師 片山将司
マクベスの従者 大森一英
刺客 篠木純一
伝令 塩入功司
第一の亡霊 友清 崇
第二の亡霊 高原由樹
第三の亡霊 直野容子
合唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京交響楽団
2005/1/20 18:30 新国立劇場オペラ劇場 4階3列
昨日は新国立劇場で「マクベス」を聴いてきました。昨年の四月に行われたプロダクションの再演です。(その時は縁あって二回ほど聴きました。)
この日の主役は、間違いなく指揮のリッカルド・フリッツァです。失礼ながら、全く存じ上げない方だったのですが、「これぞヴェルディ!」と言えるような、エネルギッシュで切れ味の良い音楽を聴かせてくれました。しかもただ熱いだけでなく、第4幕の戦いのシーンなど、やや音楽が複層的になってくる部分まで、しっかりと神経が行き届いていたのも見事です。また体にイタリアオペラ特有のリズムが染み込んでいるのでしょうか、リズム感がとても自然で心地よいのにも驚かされました。そして何と言っても一番素晴らしいのは合唱の扱いでしょう。「マクベス」には多くの合唱が登場しますが、彼の指揮にかかるとそれが実に生き生きとしてくるのです。前回公演のマルティネスの指揮では全く味わえなかった合唱の妙味が、今回はしっかりと堪能出来ました。魔女や難民の合唱があれほど情感に溢れたものだったとは…。リッカルド・フリッツア、是非また新国立劇場に登場して欲しいです。
東響も好調でした。フリッツアの棒に良く反応していたと思います。弦こそ、やや力強さと艶やかさに欠ける気がしましたが、管セクションを中心に大健闘。立派につとめを果たしていたと思います。もしかしたら、私が新国立劇場で聴いた東響の演奏の中では、最も素晴らしい出来だったかもしれません。もちろん、前回、東フィルが演奏した時より、ずっと楽しんで聴くことが出来ました。
歌手の一番はアルヴァレスでしょうか。初日は体調不良で出演をキャンセルしています。決して本調子ではなかったでしょう。ですがやはり貫禄の歌唱です。特に休憩を挟んだ後半は良く、第4幕のアリアもバッチリ決まっていました。一方、夫人役のルカーチは、前回聴いた時も思いましたが、かなり「絶叫型」です。声量こそ抜群で、ホールいっぱいに声が響き渡りますが、細かい部分は少々荒っぽく聴こえます。尻上がりに調子を上げていたものの、もしかしたらやや一本調子だったかもしれません。ただ、夫人役としての役割は果たせていたと思います。「ブラボー」も飛んでいました。その他は、侍女の渡辺敦子さんが良かったと思います。夫人の様子に心を悩ませる人物像を上手く表現していました。また聴いてみたいです。
演出は野田秀樹です。当然ながら、前回公演と同内容ですが、もしかしたら若干の手直しがあったかもしれません。魔女を骸骨の亡霊に見立てて、彼女らが「マクベス」のストーリーを掘り下げていきます。私は前回同様に楽しんで見ることが出来ましたが、やはり好き嫌いが分かれてきそうです。と言うのも、演出がとても「説明的」なのです。骸骨たちがまるでストーリーの解説をするように、常に舞台を動き回ります。劇進行とは別にもう一つの寸劇をやっている、とも言えるでしょうか。これには少々気が障る方もおられると思います。どうでしょうか。
再演が早すぎたのか、あまり人気のプロダクションではないのか、平日公演と言うことを考えても、会場は空席が目立ちました。私は当日券狙いで行きましたが、お昼の段階で確認してみたら、ランク8も含めて、ほぼ全券種が売れ残っています。しかし指揮のフリッツアを聴くだけでも、この公演を聴く価値は十分にあります。これはおすすめしたいです。
ヴェルディ「マクベス」
指揮 リッカルド・フリッツァ
演出 野田秀樹
キャスト
マクベス カルロス・アルヴァレス
マクベス夫人 ゲオルギーナ・ルカーチ
バンクォー 大澤 建
マクダフ 水口 聡
マルコム 内山信吾
侍女 渡辺敦子
医師 片山将司
マクベスの従者 大森一英
刺客 篠木純一
伝令 塩入功司
第一の亡霊 友清 崇
第二の亡霊 高原由樹
第三の亡霊 直野容子
合唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京交響楽団
2005/1/20 18:30 新国立劇場オペラ劇場 4階3列
昨日は新国立劇場で「マクベス」を聴いてきました。昨年の四月に行われたプロダクションの再演です。(その時は縁あって二回ほど聴きました。)
この日の主役は、間違いなく指揮のリッカルド・フリッツァです。失礼ながら、全く存じ上げない方だったのですが、「これぞヴェルディ!」と言えるような、エネルギッシュで切れ味の良い音楽を聴かせてくれました。しかもただ熱いだけでなく、第4幕の戦いのシーンなど、やや音楽が複層的になってくる部分まで、しっかりと神経が行き届いていたのも見事です。また体にイタリアオペラ特有のリズムが染み込んでいるのでしょうか、リズム感がとても自然で心地よいのにも驚かされました。そして何と言っても一番素晴らしいのは合唱の扱いでしょう。「マクベス」には多くの合唱が登場しますが、彼の指揮にかかるとそれが実に生き生きとしてくるのです。前回公演のマルティネスの指揮では全く味わえなかった合唱の妙味が、今回はしっかりと堪能出来ました。魔女や難民の合唱があれほど情感に溢れたものだったとは…。リッカルド・フリッツア、是非また新国立劇場に登場して欲しいです。
東響も好調でした。フリッツアの棒に良く反応していたと思います。弦こそ、やや力強さと艶やかさに欠ける気がしましたが、管セクションを中心に大健闘。立派につとめを果たしていたと思います。もしかしたら、私が新国立劇場で聴いた東響の演奏の中では、最も素晴らしい出来だったかもしれません。もちろん、前回、東フィルが演奏した時より、ずっと楽しんで聴くことが出来ました。
歌手の一番はアルヴァレスでしょうか。初日は体調不良で出演をキャンセルしています。決して本調子ではなかったでしょう。ですがやはり貫禄の歌唱です。特に休憩を挟んだ後半は良く、第4幕のアリアもバッチリ決まっていました。一方、夫人役のルカーチは、前回聴いた時も思いましたが、かなり「絶叫型」です。声量こそ抜群で、ホールいっぱいに声が響き渡りますが、細かい部分は少々荒っぽく聴こえます。尻上がりに調子を上げていたものの、もしかしたらやや一本調子だったかもしれません。ただ、夫人役としての役割は果たせていたと思います。「ブラボー」も飛んでいました。その他は、侍女の渡辺敦子さんが良かったと思います。夫人の様子に心を悩ませる人物像を上手く表現していました。また聴いてみたいです。
演出は野田秀樹です。当然ながら、前回公演と同内容ですが、もしかしたら若干の手直しがあったかもしれません。魔女を骸骨の亡霊に見立てて、彼女らが「マクベス」のストーリーを掘り下げていきます。私は前回同様に楽しんで見ることが出来ましたが、やはり好き嫌いが分かれてきそうです。と言うのも、演出がとても「説明的」なのです。骸骨たちがまるでストーリーの解説をするように、常に舞台を動き回ります。劇進行とは別にもう一つの寸劇をやっている、とも言えるでしょうか。これには少々気が障る方もおられると思います。どうでしょうか。
再演が早すぎたのか、あまり人気のプロダクションではないのか、平日公演と言うことを考えても、会場は空席が目立ちました。私は当日券狙いで行きましたが、お昼の段階で確認してみたら、ランク8も含めて、ほぼ全券種が売れ残っています。しかし指揮のフリッツアを聴くだけでも、この公演を聴く価値は十分にあります。これはおすすめしたいです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )