国際交流基金フォーラム 「Have We Met?」 1/22

国際交流基金フォーラム(港区赤坂)
「Have We Met?-見知らぬ君へ」
2004/12/11~2005/1/30

こんにちは。

久しぶりに国際交流基金フォーラムへ行ってきました。開催していた展覧会は、2003年にやっていた「アウト・ザ・ウィンドウ」の後継企画である「Have We Met?-見知らぬ君へ」です。内容を一言で表せば、アジアの若いアーティストによる創造の饗宴、となるでしょうか。興味深いものから「何だこれ!」的なものまで、肩の力を抜いて楽しんできました。

まず、会場入り口では、小さな小さなやかんたちがお出迎えしてくれます。ここで「やかん?何でそんなものが美術館に…。」と思ってはいけません。よ~くそのやかんを見てみると…、何とまあ、可愛い格好をしているではありませんか。この作品、つまりポーンタウィーサック・リムサクンの「The Dinosaurs」は、馬の脚と尾を持った小さなやかんが、たくさん床に置かれたものです。そしてそれらは全て電池で動く仕掛けとなっていて、尾のスイッチをONにすると、あるものは猛々しく、そしてあるものは弱々しくちょろちょろと動きます。これを試さない手はありません。やかんのスイッチを入れているうちに、いつの間にか童心へと帰ります。芸術性云々を問題視するまでもない、遊び心に溢れた愉しい作品だと思いました。

そのすぐ横には、静止画像とも動画とれる摩訶不思議な映像の作品(ウィット・ピムカンチャナポンの「Still Animations」)があります。何かを一生懸命にしようとしている三人の人間。が、何故か全然先へ進みません…。行為が時間に遮られている、とも言えるでしょうか。目新しさこそありませんが、時間を止められたようにして動けなくなっている人間を見ると、滑稽で思わずニヤッと笑ってしまいます。

私が一番面白いと思った作品は、キラン・スッピアの「While the Mouth is Still Full」というビデオアートです。これは、西洋人と思われる男性とインド人が食事をするシーンが数分間映っている作品ですが、その二人の会話に耳を傾けて下さい。(もちろん字幕もあります。)確かにくだらない会話が展開しているように思うかもしれません。しかしそこには、とても含蓄のあるメッセージが込められているのです。とても短い作品で、終わり方が少々呆気無さ過ぎるきらいもありましたが、足を止めてしばし画面に見入る価値があります。

他には、小さな飛行機がダイニングを舞う、さわひらきのビデオアートや、空気とともに降り積もる紙が時の経過を告げてくれる小林洋子の「時積層」が印象に残りました。また、透明な手がガラスからにゅっと突き出しているルディ・マントファニの「The Angel of Sky」や、実物と虚像の境界を美しく提示していた名和晃平の「PixCell」は、とてもセンスの良い作品だと思います。

「芸術とは何か?」と大上段に構えて見ると、少々苦々しく感じてしまうような作品もあると思います。しかし、もっと肩の力を抜いて作品と接すれば、何かが少しずつ見えてきそうです。「感性を少しだけくすぐられた。」そんな風に言っても良い展覧会でした。作品数も、以前の企画と比べてかなり絞ったらしく、私にはちょうど良く感じました。会期末が近づいていますが、なかなかおすすめです。
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