都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「山口晃展」 三越日本橋本店ギャラリー 11/27
三越日本橋本店新館7階ギャラリー
「山口晃展」
11/22~27(会期終了)
日本橋の三越で開催されていた、山口晃氏の個展です。三越のギャラリーで、いわゆる現代アートの展覧会が開かれるのは珍しいように思いますが、彼が昨年の「日本橋三越本店100周年」の広告を手がけたと聞けば、さもありなんと言えるでしょう。一度まとめて作品を拝見したかった方だったので、とても良い機会となりました。
まずは三越を題材とした三枚の作品です。日本橋が時空を超えて、江戸時代から現在までの全ての賑わいと、さらにその先にある空想世界へと飛び立ちます。精緻に表現された三越の全容。そして細部の細部までに描かき尽くされた人々の様子。さらには首都高を跨ぐダイナミックな日本橋の姿。三越の上には小さな市電が、まるで動く歩道のような軌道の上にのって走っています。ともかく飽きない。小さくなった自分を絵の中に放り込んで、あちこちへと歩き回ってみたくなる作品です。
「芝大塔建立圖」も圧巻でした。芝大塔(=東京タワー)の建設される様子が、大和絵風に描かれています。それにしても完成した東京タワーの滑稽な姿。東京のモニュメントではありながらも、大凡美しい建物とは思えないタワーですが、そこに純和風の屋根や建造物がくっ付くことで、その存在が半ば茶化されています。また大塔は信仰の対象として存在し、何と「開眼式」も開催されていました。僧侶たちに囲まれたタワーの姿。実に滑稽です。
「ダクト圖」を見た時、一瞬エッシャーの作品を思い出しました。ダクトが昭和風の家が立ち並ぶ住宅密集地を、くねくねと這うように設置されています。ゴチャゴチャとした家々と、あちこちに分岐するダクト。ダクトの上にて寝ている人が描かれていたり、はたまたダクトにて流しそうめんをしている人がいたりと、相変わらずの遊び心も満点です。
「東京圖-六本木」は、六本木ヒルズ森タワーが、まるで軍事要塞のような姿で描かれています。ヒルズの上に立つ二本のクレーンは、まるで刀と刀がぶつかり合っているかのようです。また、ヒルズを囲む市街地も、どこか武士の兜や刀を思わせるような造形にて象られています。このような日本の武士のイメージは、他の作品にも見られますが、先ほどの三越も含めた、建物がまるで要塞のように見えることと合わせて、画面にて「戦い」を連想させるのも、山口晃氏の作品の興味深いところです。
会場の一番最後にて展示されていた、「火河圖」と「水河圖」も見応えがあります。この二点では、特に「火河圖」の方が魅力的です。精密に描写されたメタリックなものと炎の動きの融合。そこから生み出される迫力には圧倒されました。
描くことへの強い執着心すら感じた展覧会です。是非今度も氏の作品を見続けていきたいと思いました。
「山口晃展」
11/22~27(会期終了)
日本橋の三越で開催されていた、山口晃氏の個展です。三越のギャラリーで、いわゆる現代アートの展覧会が開かれるのは珍しいように思いますが、彼が昨年の「日本橋三越本店100周年」の広告を手がけたと聞けば、さもありなんと言えるでしょう。一度まとめて作品を拝見したかった方だったので、とても良い機会となりました。
まずは三越を題材とした三枚の作品です。日本橋が時空を超えて、江戸時代から現在までの全ての賑わいと、さらにその先にある空想世界へと飛び立ちます。精緻に表現された三越の全容。そして細部の細部までに描かき尽くされた人々の様子。さらには首都高を跨ぐダイナミックな日本橋の姿。三越の上には小さな市電が、まるで動く歩道のような軌道の上にのって走っています。ともかく飽きない。小さくなった自分を絵の中に放り込んで、あちこちへと歩き回ってみたくなる作品です。
「芝大塔建立圖」も圧巻でした。芝大塔(=東京タワー)の建設される様子が、大和絵風に描かれています。それにしても完成した東京タワーの滑稽な姿。東京のモニュメントではありながらも、大凡美しい建物とは思えないタワーですが、そこに純和風の屋根や建造物がくっ付くことで、その存在が半ば茶化されています。また大塔は信仰の対象として存在し、何と「開眼式」も開催されていました。僧侶たちに囲まれたタワーの姿。実に滑稽です。
「ダクト圖」を見た時、一瞬エッシャーの作品を思い出しました。ダクトが昭和風の家が立ち並ぶ住宅密集地を、くねくねと這うように設置されています。ゴチャゴチャとした家々と、あちこちに分岐するダクト。ダクトの上にて寝ている人が描かれていたり、はたまたダクトにて流しそうめんをしている人がいたりと、相変わらずの遊び心も満点です。
「東京圖-六本木」は、六本木ヒルズ森タワーが、まるで軍事要塞のような姿で描かれています。ヒルズの上に立つ二本のクレーンは、まるで刀と刀がぶつかり合っているかのようです。また、ヒルズを囲む市街地も、どこか武士の兜や刀を思わせるような造形にて象られています。このような日本の武士のイメージは、他の作品にも見られますが、先ほどの三越も含めた、建物がまるで要塞のように見えることと合わせて、画面にて「戦い」を連想させるのも、山口晃氏の作品の興味深いところです。
会場の一番最後にて展示されていた、「火河圖」と「水河圖」も見応えがあります。この二点では、特に「火河圖」の方が魅力的です。精密に描写されたメタリックなものと炎の動きの融合。そこから生み出される迫力には圧倒されました。
描くことへの強い執着心すら感じた展覧会です。是非今度も氏の作品を見続けていきたいと思いました。
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