都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「戸谷成雄 『ミニマルバロック』」 シュウゴアーツ 4/1
シュウゴアーツ(江東区清澄1-3-2 5F)
「戸谷成雄 『ミニマルバロック』」
3/18-4/28
「ミニマルバロック」と名付けられた戸谷成雄の新作展覧会です。戸谷と言えば、まずは刻み込みで覆われた木の柱を思い出しますが、今回はそれを含めた木の塊の作品が数点展示されています。戸谷の創作の今に触れられる展覧会でした。
まずは展示室正面の壁面に展示されている彫刻作品「双影根2 黄河」(2006)です。木彫と言っても、戸谷の作品はチェーンソーによって切り刻んだ痕跡を見せるもの。まるで襞のような削り跡が、生々しく群生するかのように寄り添っています。そして木棺のように整然と象られた白箱。それが襞に対峙するかのように連続している。素材に組み合わされたアクリルと灰は、木から生気を奪うのでしょうか。生々しい襞の形には見合わないような静謐な質感が漂っています。その味わいもまた見事でした。
「双影根」の前に展示されている球形の作品「双影塊」(2006)も見応えがあります。ゴツゴツと荒々しく刻まれた木の球。ここには「双影根」における襞のような紋様はあまりありません。特に上部の造形は非常に直線的。まるで高層ビルが林立しているかのように象られています。とある惑星の、知的生命体が滅亡した後の都市の廃墟。そんなイメージも浮かんできました。
球体にて生命の痕跡を表現したのが「双影塊」とするなら、それをまさに大地のように横へと広げたのが、入口付近の床へ直に置かれている「三影体」(2006)でしょう。神の業によって刻まれた山々と渓谷。「双影根」で見せた襞がさらに広がりを見せながら横たわっている。視点を落として作品を見ていくと、今にもその大地に吸い込まれてしまいそうになります。龍や炎のようにも見える襞が、こうして地に這わすことで全く異なった造形に見えてくるのも興味深いところです。
奥の小部屋にはお馴染みの木柱の作品「斜影柱」(2006)や、あまり他では見かけないようなドローイングも展示されています。そちらも必見です。
今月28日までの開催です。今回出向いた清澄のギャラリーの中では最も見応えがありました。おすすめします。
「戸谷成雄 『ミニマルバロック』」
3/18-4/28
「ミニマルバロック」と名付けられた戸谷成雄の新作展覧会です。戸谷と言えば、まずは刻み込みで覆われた木の柱を思い出しますが、今回はそれを含めた木の塊の作品が数点展示されています。戸谷の創作の今に触れられる展覧会でした。
まずは展示室正面の壁面に展示されている彫刻作品「双影根2 黄河」(2006)です。木彫と言っても、戸谷の作品はチェーンソーによって切り刻んだ痕跡を見せるもの。まるで襞のような削り跡が、生々しく群生するかのように寄り添っています。そして木棺のように整然と象られた白箱。それが襞に対峙するかのように連続している。素材に組み合わされたアクリルと灰は、木から生気を奪うのでしょうか。生々しい襞の形には見合わないような静謐な質感が漂っています。その味わいもまた見事でした。
「双影根」の前に展示されている球形の作品「双影塊」(2006)も見応えがあります。ゴツゴツと荒々しく刻まれた木の球。ここには「双影根」における襞のような紋様はあまりありません。特に上部の造形は非常に直線的。まるで高層ビルが林立しているかのように象られています。とある惑星の、知的生命体が滅亡した後の都市の廃墟。そんなイメージも浮かんできました。
球体にて生命の痕跡を表現したのが「双影塊」とするなら、それをまさに大地のように横へと広げたのが、入口付近の床へ直に置かれている「三影体」(2006)でしょう。神の業によって刻まれた山々と渓谷。「双影根」で見せた襞がさらに広がりを見せながら横たわっている。視点を落として作品を見ていくと、今にもその大地に吸い込まれてしまいそうになります。龍や炎のようにも見える襞が、こうして地に這わすことで全く異なった造形に見えてくるのも興味深いところです。
奥の小部屋にはお馴染みの木柱の作品「斜影柱」(2006)や、あまり他では見かけないようなドローイングも展示されています。そちらも必見です。
今月28日までの開催です。今回出向いた清澄のギャラリーの中では最も見応えがありました。おすすめします。
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