「現象からの新しいかたち展 -再構築芸術へのいざない- 鈴木太朗」 和田画廊 4/16

和田画廊(中央区八重洲2-9-8 近和ビル302)
和田画廊グループ展 現象からの新しいかたち展 -再構築芸術へのいざない- 鈴木太朗」
4/11-16(会期終了)

「現象からの新しいかたち」。はたまた「再構築芸術」。これらの言葉からは何やら難解で、頭が疲れてしまいそうなイメージすら浮かびますが、見てみるとこれほど楽しめるインスタレーションもそうありません。3週連続で和田画廊にて開催されているグループ展です。

暗室にたくさん吊るされているまるで竹とんぼのような奇妙な物体。それが地上30センチほどの高さにて何十個も佇んでいる。上部からは仄かなライト。パッと見ると、竹とんぼの集団がまるでお花畑のように広がっているようにも感じられます。これは一体…?謎めいています。

と言うことで、謎なものには近づいて見るのが一番でしょう。恐る恐るその竹とんぼに近づいていくと…、突如バタバタ、ガザガサとプロペラを廻しながら一斉に上へと逃げていくではありませんか。しかも自分が近づいたところだけの竹とんぼが動いて、後は全く知らんぷり。ちょっかいを出すように手をかざしてみると、やはりその回りだけ上へ逃げてしまいます。思わず後ずさりしてしまう、全く予想だにしない展開。これがまさに竹とんぼの動きによって、自分の周囲の大気の動きを視覚化した、言い換えれば「普段目にしているはずなのに気付かない自然現象の美しさを芸術作品に再構築」(画廊HPより引用。)した、再構築芸術と言うわけなのです。(作品名は「大気のかたち」)

作家の鈴木太朗さんによれば、この作品にはまだ不満がいくつもあるとのことですが、人から逃げ出す(もちろんその竹とんぼの中へ入って行くことも出来ます!)竹とんぼのようなものの動きは、どこか虫が散っていくようでもあり、(天井にそれがガンガン当るのも、あたかも虫がここから出してくれと言っているかのようです。)また風で舞う枯れ葉をかき分けているかのようです。センサーと基盤によるメカニックな基礎構造と、実際の作品のアナクロな味わい。(竹とんぼはケント紙と真鍮の錘で出来ています。)それが奇妙にマッチしている。楽しめました。

この回は既に終了してしまいましたが、グループ展は30日まで続きます。これはおすすめしたいです。(アップした画像は、今回展示されたものとは別の「風のかたち」という作品です。)

 4/11-16 鈴木太朗(終了)
 4/18-23 小松宏誠
 4/25-30 安藤孝浩

*日曜日もオープンしています。(「展力 Recommend & Review」掲載。)
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