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東京都交響楽団 「ブルックナー:交響曲第9番」他 4/17

東京都交響楽団第625回定期演奏会Aシリーズ

ベルク 管弦楽のための3つの小品
ブルックナー 交響曲第9番

指揮 ジェイムズ・デプリースト
演奏 東京都交響楽団

2006/4/17 19:00 東京文化会館4階

デプリースト&都響のコンビにはこれまで2回ほど接し、ともに優れた演奏で非常に良い印象があったのですが、今回のコンサートだけはいただけませんでした。ブルックナーの未完の大曲、交響曲第9番が演奏された都響の定期演奏会です。



デプリーストのアプローチは、弦のカンタービレを主導にしながら旋律を伸びやかになぞって、恰幅の広い、自然な呼吸感による美しいブルックナーを目指します。第1楽章の冒頭の主題は比較的サラッと流して、その直後に入る弦をうねるようにしっかりと響かせていく。コントラバスを中心とした低弦をやや強めに、さらには浮遊感のある木管をオーケストラから飛び上がらせるように吹かせて強く印象付ける。テンポはあくまでも中庸です。第1楽章のコーダこそやや加速して明確な頂点を築かせるものの、第3楽章の終結部ではひたすらゆっくりと、静かに、まさに消え入るように丁寧に音を紡ぎます。マーラーでも聴かせてくれたデプリースト独特のソフトタッチの音響が、何かと険しく、また神々しくもなるブルックナーの音楽においても追求されていく。特に第3楽章における爽やかな歌心には驚かされました。「生からの別れ」(月刊都響より。)と言うよりも、むしろ「生への賛美」でしょうか。これほど神秘的にならない、むしろ愉悦感すら感じさせる第3楽章も珍しいと思います。

さて、初めにも今回のコンサートはいただけないと書きましたが、この日の都響はあまりにも状態が良くありません。ともかく全体として散漫です。弦こそ厚みのある響きにてデプリーストの棒に喰らいついていたのかと思いますが、金管、特にトランペット群の響きが無機質過ぎます。金管のコーラルが全く表情を持たずに、ただとてもつもない大音量にて、非常に硬質な響きで演奏されること。または金管群が弦と調和することなく、ただひたすらに自己主張していく様子。元々文化会館はそんなに豊かな残響を持つホールではありませんが、こんな美しくない、また無表情な都響を聴いたのは、大変失礼ながらここ数年では金聖響さんの指揮されたマーラの第5交響曲以来です。都響は好きなオーケストラである上に、デプリーストにも良い印象を持っていたので、ともかくもこの日の演奏は非常に残念でした。(12日のブル2の方は良い評判を耳にしていたので尚更です。)

一曲目のベルクの方も、もっと整理された、デプリーストならでは見通しの良い演奏になるかと思いきや、どこかモヤモヤとした煮え切らない音楽になっていました。演奏者の方には失礼極まりない感想になってしまいましたが、また次回に期待したいと思います。いつも以上の駄文失礼しました。
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