都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「岡村桂三郎展」 神奈川県立近代美術館 鎌倉
神奈川県立近代美術館 鎌倉(神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53)
「岡村桂三郎展」
9/13-11/24
鎌倉八幡宮境内に古代の奇獣たちが召還されました。鳥や象などのモチーフを元に、独自のパネル素材を使って迫力あるインスタレーションを繰り広げます。現代日本画界の旗手(ちらしより。)、岡村桂三郎の個展へ行ってきました。
やや手狭な同美術館との相性も悪くありません。巨大でかつ、近づけば何やら蒸せるような匂いを感じるほどに濃密な木製パネル画は、展示室の両側を埋め尽くす衝立てのようにして隙なく立ち並んでいました。折り重なるパネル表面には、鱗状になって形を象る線が殆ど乱雑なほど無数に走り、その上をくすんだ岩絵具が重々しい物質感を生み出しながら塗り固められています。モチーフは主に空想上の鳥や獣たちです。牙を剥き出しにした象が何面にも合わさって一つの奇獣(一身四頭象)へと化け、また宗達の白象図ならぬ力感漲った象(眼象)が鼻を振り上げて見る者を威嚇します。ここは人の立ち入ることの許されない神聖な動物たちの闘技場です。血のように滴り落ちる顔料、そして傷跡のような線描が、有無を言わさない緊張感を生み出していました。平家池は彼らの水飲み場なのでしょう。思わず、息をひそめて襲われないよう、その場から逃げ出したくなるほどでした。
当然ながら図版はあくまでも平面ですが、実際の作品は壁面というよりも屏風です。獣たちの体躯は立体的に浮き上がる一方、確固としたイメージは半ば錯綜するように揺らぎ続けます。少し離れた場所からでは捉えきれない全貌は、近づいて初めて眼前に現れる凝りに凝ったテクスチャーでようやく開けてきました。埋もれていた動物の眼は、その奥底から鋭い光を発しているわけです。
埼玉県美のグループ展で鮮烈な印象を受けて以来、ようやく本格的な個展を見ることが出来ました。観光客で賑わう鎌倉の喧噪も、この空間では完全に消し去られています。
今月24日までの開催です。
「岡村桂三郎展」
9/13-11/24
鎌倉八幡宮境内に古代の奇獣たちが召還されました。鳥や象などのモチーフを元に、独自のパネル素材を使って迫力あるインスタレーションを繰り広げます。現代日本画界の旗手(ちらしより。)、岡村桂三郎の個展へ行ってきました。
やや手狭な同美術館との相性も悪くありません。巨大でかつ、近づけば何やら蒸せるような匂いを感じるほどに濃密な木製パネル画は、展示室の両側を埋め尽くす衝立てのようにして隙なく立ち並んでいました。折り重なるパネル表面には、鱗状になって形を象る線が殆ど乱雑なほど無数に走り、その上をくすんだ岩絵具が重々しい物質感を生み出しながら塗り固められています。モチーフは主に空想上の鳥や獣たちです。牙を剥き出しにした象が何面にも合わさって一つの奇獣(一身四頭象)へと化け、また宗達の白象図ならぬ力感漲った象(眼象)が鼻を振り上げて見る者を威嚇します。ここは人の立ち入ることの許されない神聖な動物たちの闘技場です。血のように滴り落ちる顔料、そして傷跡のような線描が、有無を言わさない緊張感を生み出していました。平家池は彼らの水飲み場なのでしょう。思わず、息をひそめて襲われないよう、その場から逃げ出したくなるほどでした。
当然ながら図版はあくまでも平面ですが、実際の作品は壁面というよりも屏風です。獣たちの体躯は立体的に浮き上がる一方、確固としたイメージは半ば錯綜するように揺らぎ続けます。少し離れた場所からでは捉えきれない全貌は、近づいて初めて眼前に現れる凝りに凝ったテクスチャーでようやく開けてきました。埋もれていた動物の眼は、その奥底から鋭い光を発しているわけです。
埼玉県美のグループ展で鮮烈な印象を受けて以来、ようやく本格的な個展を見ることが出来ました。観光客で賑わう鎌倉の喧噪も、この空間では完全に消し去られています。
今月24日までの開催です。
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