都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「飯田竜太 - 永遠なる同等物」 TSCA
TSCA Kashiwa(千葉県柏市若葉町3-3)
「飯田竜太- ewiges equivalent 永遠なる同等物 - 」
11/8-12/13
千葉・柏の一角に神秘的な『本の滝』が出現しました。紙や本を素材として用い、彫刻などの手法で作品を制作している(画廊HPより引用)、飯田竜太のインスタレーション個展です。TSCAで開催中の「飯田竜太 - 永遠なる同等物」へ行ってきました。
ともかく圧巻なのは、入口すぐ、一階フロアで展開されている「Falling like water」でしょう。高さはゆうに2メートルを超える位置から、解体された古本の『しずく』が垂れ下がり、それがまるで滝のような筋を描いて地上へと流れ出ています。一つ一つ切り刻まれ、そして繋がった紙の感触はリズミカルであり、またしなやかです。轟々といった水の音までが聞こえるかのようでした。
二階へあがると、持っていた形より解き放たれ、まさに変幻自在、多様な姿を見せた本がずらりと待ち構えています。壁一面に抽象画を描くかのように文庫が並ぶ「book wall」、そして同じく文庫の内部が削り取られ、棒の上に突き刺さる「annual ring」と、素材としての本からオブジェとしてのそれへと変化したインスタレーションが繰り広げられていました。また本の解体は単に形だけにとどまりません。その表面にも注目です。断裁されることで文字が歪み、判読不能の一種の紋様と化して、形とともに持ち合わせていた意味からも解放されています。時に円を描くように線が走り、さらには峡谷のように複雑な凹凸を見せる表面は、隠し持っていた本の新たな魅力を眼前に引き出しました。
展示室最奥部、新聞紙を用いた「NP Books」も見逃せません。キャプション等に記されたコンセプトはやや哲学的ですが、出来上がった作品群はシンプルな美感をたたえています。
今月12日までの開催です。
「飯田竜太- ewiges equivalent 永遠なる同等物 - 」
11/8-12/13
千葉・柏の一角に神秘的な『本の滝』が出現しました。紙や本を素材として用い、彫刻などの手法で作品を制作している(画廊HPより引用)、飯田竜太のインスタレーション個展です。TSCAで開催中の「飯田竜太 - 永遠なる同等物」へ行ってきました。
ともかく圧巻なのは、入口すぐ、一階フロアで展開されている「Falling like water」でしょう。高さはゆうに2メートルを超える位置から、解体された古本の『しずく』が垂れ下がり、それがまるで滝のような筋を描いて地上へと流れ出ています。一つ一つ切り刻まれ、そして繋がった紙の感触はリズミカルであり、またしなやかです。轟々といった水の音までが聞こえるかのようでした。
二階へあがると、持っていた形より解き放たれ、まさに変幻自在、多様な姿を見せた本がずらりと待ち構えています。壁一面に抽象画を描くかのように文庫が並ぶ「book wall」、そして同じく文庫の内部が削り取られ、棒の上に突き刺さる「annual ring」と、素材としての本からオブジェとしてのそれへと変化したインスタレーションが繰り広げられていました。また本の解体は単に形だけにとどまりません。その表面にも注目です。断裁されることで文字が歪み、判読不能の一種の紋様と化して、形とともに持ち合わせていた意味からも解放されています。時に円を描くように線が走り、さらには峡谷のように複雑な凹凸を見せる表面は、隠し持っていた本の新たな魅力を眼前に引き出しました。
展示室最奥部、新聞紙を用いた「NP Books」も見逃せません。キャプション等に記されたコンセプトはやや哲学的ですが、出来上がった作品群はシンプルな美感をたたえています。
今月12日までの開催です。
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「大谷有花展 - フェイバリット!」 高橋コレクション
高橋コレクション 白金(港区白金3-1-15 2階)
「大谷有花展 - フェイバリット!」
10/4-12/13
同画廊の広々としたスペースにも見合った大作中心の個展です。高橋コレクションで開催中の「大谷有花 - フェイバリット!」へ行ってきました。
大谷有花と言えば、上記DM作にもあるような『キミドリ』が特徴的ですが、今回はそれら以外にも、色やモチーフに趣の異なった作品がいくつか展示されています。小さな家が連なり、いつの間にか崩れるかのように飛び交う「ピクニック」や、同じく家が一棟だけボツンと、虚空を思わせる白い空間に建った「最初の家族」などは、静けさとともに物悲しささえ連想させる刹那的な作品と言えるのではないでしょうか。キャプションによれば、今展示はいわゆる「9.11」に由来しているとのことでしたが、率直なところ、例えば今年春に六本木のMomoで見た個展の世界観に惹かれる私にとって、いささかとどまってしまうような部分があるのも事実でした。
とは言え、お馴染みのキミドリ色が画面を支配し、童話を思わせる独特の緩やかな空間を描いたペインティングももちろん登場しています。大谷の多様な画風を伺い知れる展覧会なのかもしれません。
今月13日までの開催です。
「大谷有花展 - フェイバリット!」
10/4-12/13
同画廊の広々としたスペースにも見合った大作中心の個展です。高橋コレクションで開催中の「大谷有花 - フェイバリット!」へ行ってきました。
大谷有花と言えば、上記DM作にもあるような『キミドリ』が特徴的ですが、今回はそれら以外にも、色やモチーフに趣の異なった作品がいくつか展示されています。小さな家が連なり、いつの間にか崩れるかのように飛び交う「ピクニック」や、同じく家が一棟だけボツンと、虚空を思わせる白い空間に建った「最初の家族」などは、静けさとともに物悲しささえ連想させる刹那的な作品と言えるのではないでしょうか。キャプションによれば、今展示はいわゆる「9.11」に由来しているとのことでしたが、率直なところ、例えば今年春に六本木のMomoで見た個展の世界観に惹かれる私にとって、いささかとどまってしまうような部分があるのも事実でした。
とは言え、お馴染みのキミドリ色が画面を支配し、童話を思わせる独特の緩やかな空間を描いたペインティングももちろん登場しています。大谷の多様な画風を伺い知れる展覧会なのかもしれません。
今月13日までの開催です。
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