「第4回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展」 ニューオータニ美術館

ニューオータニ美術館千代田区紀尾井町4-1
「第3回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展」
11/1-12/14



21世紀の美術界を担う気鋭の日本画家を表彰します。(ちらしより引用)ニューオータニ美術館で開催中の「第4回 日経日本画大賞展」へ行ってきました。

2年に一度の展覧会です。今回は以下の入選作家、計14名の作品が紹介されています。

岩田壮平「花泥棒」
岩永てるみ「La vue d’Orsay」
植田一穂「夏の花」
及川聡子「視」
岡村桂三郎「獅子08-1」*大賞
奥村美佳「いざない」
斉藤典彦「彼の丘」
園家誠二「うつろい-1」
瀧下和之「龍虎図屏風」
武田州左「光の采・672」
長沢明「イエローエッジ」
フジイフランソワ「鶏頭蟷螂図」
間島秀徳「Kinesis No.316 hydrometeor」
町田久美「来客」



やはりまず圧巻なのは、つい先日の鎌倉の個展でも鮮烈だった岡村桂三郎の大作、「獅子08-01」ではないでしょうか。彼の濃密な木製パネル、屏風仕立ての奇獣画は、それぞれに異なった方向を指し示す他の作品の中においても、あたかも来場者を噛み砕いてしまうかのような空恐ろしいエネルギーに満ちあふれていました。左右に対称、天地のひっくり返った空間にて向き合う獅子たちは、パネルや爛れた絵具の質感も相まってか、静謐ながらも荒々しい闘争の情景を生み出しています。大賞の貫禄は十分でした。



岡村と比べるにはスケール感において分が悪いものの、作品自体の魅力は決して劣るものではない長沢明の「イエローエッジ」も是非挙げておきたい一枚です。彼の作品は2年前、ちょうどこの展示で初めて見知りましたが、肩を張り、牙の合間から唾液を垂らして立つ様子は、まさに獲物を見定めて今にも飛びかかろうとする猛獣のようでした。また茶褐色や黄色を生かした画肌の感触は、工芸的な様相も感じられます。近代日本画で失われていった事物の重みは、今こうした画家たちによって引き戻されているのかもしれません。



その他では、ポップな画題に伝統的な日本画の技法を織り交ぜる岩田壮平の「花泥棒」、または霞の中より川の流れや大地の広がりが浮かぶ園家誠二の「うつろい」、さらには屏風というよりもモザイク画のような瀧下和之の「龍虎図屏風」などが印象に残りました。率直なところ、各一点のみの展示では、作家の魅力に立ち入る前に終わってしまいますが、今後追い続ける良い機会にはなるのかもしれません。



今月14日まで開催されています。
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