都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」 銀座三越ギャラリー
銀座三越8階ギャラリー
「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」
12/12~18

銀座三越8階ギャラリーで開催中の「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」へ行ってきました。
1980年代生まれの女性アーティスト4名によるグループ展。彫金に油画、日本画と多様に展開。まさに今にときめく才能を楽しめる展覧会になっています。

展示風景
もちろんお目当ては荒木愛さん。今年春に行われた銀座スルガ台画廊での個展の縁から、美術史家の山下裕二氏に『一目惚れ』され、「美術の窓」の隠し球コーナーにも取り上げられた若き日本画家です。
展示は日本画が10点弱ほど。メインはこのところ制作の多くを占める果物のシリーズです。

右:「柿-2012」 紙本着彩
まずは順番に新作の「柿-2012」から。私の拙い写真では全く伝わらないのですが、灰色の背景にはたらしこみの技が。しかも墨を混ぜあわせたことにもよるのか、どこか幽玄な味わいをも醸し出しています。
続いては同じく秋の味覚、梨を描いた「大きなまぼろしの梨」です。

左:「大きなまぼろしの梨」 紙本着彩
実は彼女はこれまで梨を描きつつも、結果に満足せず、あまり作品として発表することがなかったそうですが、こちらは会心作。まるで宇宙を思わせる暗がりと、対比的に鮮烈なまでの赤い空間を背景に、大きな梨が二つ、強い存在感を持ちながらも、それでいてこの果物特有の言ってみれば優しさ、また瑞々しさを表現することに成功しています。
ちなみにこの梨はかおりと呼ばれる珍しい品種だとか。ほぼ実寸大とのことでした。
さて先に私が『宇宙』と呼んだ暗がり、この「蜜柑」においても同じように背景に使われています。

右:「蜜柑-space」 紙本着彩
左:「はならび C-2」 紙本着彩
そしてこの暗がり、画面では分かりにいくいかもしれませんが、金粉が舞っているのもポイント。それが無数の星のように瞬き、深淵な空間を作り出します。蜜柑はまるで宇宙に浮かぶ恒星のようでした。
さて果物から少し離れてこの「はならび C-2」も魅惑的。日本画はおろか、おおよそ絵画においてモチーフとなりにくい歯を、文字通り『花』にもかけて美しく表現。桜吹雪ならぬ、春に乱れ散る花びらを連想しました。
最後に私の一推しの作品をあげましょう。それが三角にカットされたスイカを描いた一枚。ともかく何が美しいかと言えば、スイカの赤を驚くほどに引き立てる背景の白に他なりません。

「緋密」 紙本着彩
これは胡粉によるものだそうですが、表面の艶やかさと滑らかさは並々ならぬもの。例えればかの藤田の乳白色を思わせはしないでしょうか。白の説得力。彼女の作品には色、そのものの美しさにも大変な魅力がありますが、まさかそれを白で感じられるとは思いませんでした。
本個展は荒木さんにとって最近描き続けてきた果物シリーズの一つの集大成であるとか。以降はまた人や動物を描いていきたいとのお話も。次回展以降の新たな展開にも期待出来るのではないでしょうか。

展示風景
ご紹介が遅れて大変失礼しました。12月18日まで開催されています。(最終日は16時閉場。)
「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」 銀座三越8階ギャラリー
会期:12月12日(水)~12月18日(火)
休廊:会期中無休
時間:10:00~20:00 *最終日は16時閉場。
住所:中央区銀座4-6-16
交通:東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅より直結。都営浅草線東銀座駅より銀座駅方面地下通路経由徒歩約3分。
「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」
12/12~18

銀座三越8階ギャラリーで開催中の「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」へ行ってきました。
1980年代生まれの女性アーティスト4名によるグループ展。彫金に油画、日本画と多様に展開。まさに今にときめく才能を楽しめる展覧会になっています。

展示風景
もちろんお目当ては荒木愛さん。今年春に行われた銀座スルガ台画廊での個展の縁から、美術史家の山下裕二氏に『一目惚れ』され、「美術の窓」の隠し球コーナーにも取り上げられた若き日本画家です。
展示は日本画が10点弱ほど。メインはこのところ制作の多くを占める果物のシリーズです。

右:「柿-2012」 紙本着彩
まずは順番に新作の「柿-2012」から。私の拙い写真では全く伝わらないのですが、灰色の背景にはたらしこみの技が。しかも墨を混ぜあわせたことにもよるのか、どこか幽玄な味わいをも醸し出しています。
続いては同じく秋の味覚、梨を描いた「大きなまぼろしの梨」です。

左:「大きなまぼろしの梨」 紙本着彩
実は彼女はこれまで梨を描きつつも、結果に満足せず、あまり作品として発表することがなかったそうですが、こちらは会心作。まるで宇宙を思わせる暗がりと、対比的に鮮烈なまでの赤い空間を背景に、大きな梨が二つ、強い存在感を持ちながらも、それでいてこの果物特有の言ってみれば優しさ、また瑞々しさを表現することに成功しています。
ちなみにこの梨はかおりと呼ばれる珍しい品種だとか。ほぼ実寸大とのことでした。
さて先に私が『宇宙』と呼んだ暗がり、この「蜜柑」においても同じように背景に使われています。

右:「蜜柑-space」 紙本着彩
左:「はならび C-2」 紙本着彩
そしてこの暗がり、画面では分かりにいくいかもしれませんが、金粉が舞っているのもポイント。それが無数の星のように瞬き、深淵な空間を作り出します。蜜柑はまるで宇宙に浮かぶ恒星のようでした。
さて果物から少し離れてこの「はならび C-2」も魅惑的。日本画はおろか、おおよそ絵画においてモチーフとなりにくい歯を、文字通り『花』にもかけて美しく表現。桜吹雪ならぬ、春に乱れ散る花びらを連想しました。
最後に私の一推しの作品をあげましょう。それが三角にカットされたスイカを描いた一枚。ともかく何が美しいかと言えば、スイカの赤を驚くほどに引き立てる背景の白に他なりません。

「緋密」 紙本着彩
これは胡粉によるものだそうですが、表面の艶やかさと滑らかさは並々ならぬもの。例えればかの藤田の乳白色を思わせはしないでしょうか。白の説得力。彼女の作品には色、そのものの美しさにも大変な魅力がありますが、まさかそれを白で感じられるとは思いませんでした。
本個展は荒木さんにとって最近描き続けてきた果物シリーズの一つの集大成であるとか。以降はまた人や動物を描いていきたいとのお話も。次回展以降の新たな展開にも期待出来るのではないでしょうか。

展示風景
ご紹介が遅れて大変失礼しました。12月18日まで開催されています。(最終日は16時閉場。)
「Gift in Bloom vol.4 井上菜恵子×小林真理江×荒木愛×小方ゆり」 銀座三越8階ギャラリー
会期:12月12日(水)~12月18日(火)
休廊:会期中無休
時間:10:00~20:00 *最終日は16時閉場。
住所:中央区銀座4-6-16
交通:東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅より直結。都営浅草線東銀座駅より銀座駅方面地下通路経由徒歩約3分。
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