都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「荒木経惟 往生写集」 資生堂ギャラリー
資生堂ギャラリー
「荒木経惟 往生写集ー東ノ空・PARADISE」
10/22~12/25
資生堂ギャラリーで開催中の「荒木経惟 往生写集ー東ノ空・PARADISE」を見て来ました。
タイトルの「往生写集」とは平安期の僧、源信による「往生要集」から着想を得たというアラーキーの造語です。「往生要集」において源信は念仏を勧め、極楽浄土の国に往生すべきことを説いています。
いわゆる死生観ということで良いのでしょうか。アラーキー自身も癌摘出手術や愛猫の死、さらには東日本大震災を経験して死を意識するようになった。そうした彼の「現在の心境を捉えた」(ギャラリーサイトより)新作群が展示されています。
会場内、撮影が可能でした。
荒木経惟 「東ノ空」・「銀座」 2014年
まず目に飛び込んでくるのがモノクロームの風景。しかも合間に余白を挟んでの上下二段での展開です。上が「東ノ空」、下が「銀座」でした。
荒木経惟 「銀座」 2014年
いつもながらに何気ない日常の一コマです。特に銀座のシリーズは、まさに人々の行き交う街角の様子を有り体に捉えています。全く飾るところがありません。
撮影は今年の夏です。若きアラーキーが電通に入社した時、昼休みに出かけては銀座を写したことがあった。それを改めて撮りおろしています。一方で上空の空はどうでしょうか。「東の空」とありますが、写真だけでは場所が分かりません。上を見据え、視界を広く、さも光のある彼方を望もうとする構図、陽は限りなく高い。時に薄い雲が靡いています。
何でも自宅の屋上から見た空だそうです。また東とは方向を指す、つまり被災地の方向でもあります。かの震災で亡くなられた方への鎮魂を願っては撮り続けています。そしてこのシリーズがきっかけに本展が開催されることになりました。
「荒木経惟 往生写集」会場風景
「花は死の一歩手前が最も官能的」とはアラーキーの言葉です。むせ返るように咲く花々、実に鮮やかで、また儚くもあります。花の馨しさと表裏一体のエロスも見え隠れしています。
「荒木経惟 往生写集」会場風景
しかしながらこれらの花々、彼の言葉にもあるように既に死を間近にしたものばかり。つまり枯れる寸前の花なのです。そして添えられた人形も血を流していたりします。確かに死の気配も感じられました。
「往生写集」は豊田市美術館、新潟市美術館、それに資生堂ギャラリーの3館による合同企画展です。それぞれ「顔・空景・道」、「愛ノ旅」、「東ノ空・PARADISE」とテーマを変え、異なる出品作で構成されています。
「荒木経惟 往生写集」会場風景
会期最後となる本展では死から再生へと向けたメッセージもこめられているとか。ちょうど節目の年末です。人生はもちろん、一年を振り返ってどうだったのか。彼方に広がる「東の空」を見ながらそうしたことも思いました。
「荒木経惟 往生写集/平凡社」
12月25日まで開催されています。
「荒木経惟 往生写集ー東ノ空・PARADISE」 資生堂ギャラリー
会期:10月22日(水)~ 12月25日(木)
休館:月曜日。(月曜日が休日にあたる場合も休館)
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
「荒木経惟 往生写集ー東ノ空・PARADISE」
10/22~12/25
資生堂ギャラリーで開催中の「荒木経惟 往生写集ー東ノ空・PARADISE」を見て来ました。
タイトルの「往生写集」とは平安期の僧、源信による「往生要集」から着想を得たというアラーキーの造語です。「往生要集」において源信は念仏を勧め、極楽浄土の国に往生すべきことを説いています。
いわゆる死生観ということで良いのでしょうか。アラーキー自身も癌摘出手術や愛猫の死、さらには東日本大震災を経験して死を意識するようになった。そうした彼の「現在の心境を捉えた」(ギャラリーサイトより)新作群が展示されています。
会場内、撮影が可能でした。
荒木経惟 「東ノ空」・「銀座」 2014年
まず目に飛び込んでくるのがモノクロームの風景。しかも合間に余白を挟んでの上下二段での展開です。上が「東ノ空」、下が「銀座」でした。
荒木経惟 「銀座」 2014年
いつもながらに何気ない日常の一コマです。特に銀座のシリーズは、まさに人々の行き交う街角の様子を有り体に捉えています。全く飾るところがありません。
撮影は今年の夏です。若きアラーキーが電通に入社した時、昼休みに出かけては銀座を写したことがあった。それを改めて撮りおろしています。一方で上空の空はどうでしょうか。「東の空」とありますが、写真だけでは場所が分かりません。上を見据え、視界を広く、さも光のある彼方を望もうとする構図、陽は限りなく高い。時に薄い雲が靡いています。
何でも自宅の屋上から見た空だそうです。また東とは方向を指す、つまり被災地の方向でもあります。かの震災で亡くなられた方への鎮魂を願っては撮り続けています。そしてこのシリーズがきっかけに本展が開催されることになりました。
「荒木経惟 往生写集」会場風景
「花は死の一歩手前が最も官能的」とはアラーキーの言葉です。むせ返るように咲く花々、実に鮮やかで、また儚くもあります。花の馨しさと表裏一体のエロスも見え隠れしています。
「荒木経惟 往生写集」会場風景
しかしながらこれらの花々、彼の言葉にもあるように既に死を間近にしたものばかり。つまり枯れる寸前の花なのです。そして添えられた人形も血を流していたりします。確かに死の気配も感じられました。
「往生写集」は豊田市美術館、新潟市美術館、それに資生堂ギャラリーの3館による合同企画展です。それぞれ「顔・空景・道」、「愛ノ旅」、「東ノ空・PARADISE」とテーマを変え、異なる出品作で構成されています。
「荒木経惟 往生写集」会場風景
会期最後となる本展では死から再生へと向けたメッセージもこめられているとか。ちょうど節目の年末です。人生はもちろん、一年を振り返ってどうだったのか。彼方に広がる「東の空」を見ながらそうしたことも思いました。
「荒木経惟 往生写集/平凡社」
12月25日まで開催されています。
「荒木経惟 往生写集ー東ノ空・PARADISE」 資生堂ギャラリー
会期:10月22日(水)~ 12月25日(木)
休館:月曜日。(月曜日が休日にあたる場合も休館)
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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