「MAMコレクション002:存在と空間ース・ドホ+ポー・ポー」 森美術館

森美術館
「MAMコレクション002:存在と空間ース・ドホ+ポー・ポー」
7/25-10/12

森美術館で開催中の「MAMコレクション002:存在と空間ース・ドホ+ポー・ポー」を見てきました。

1962年生まれの韓国人アーティスト、ス・ドホ。半透明の布地を用いた建築的な作品でもお馴染みです。作品は東京都現代美術館に所蔵されているほか、2012年には広島市現代美術館などでも大規模な個展を開催しました。一方のポー・ポーは1957年生まれのミャンマー人アーティストです。2005年の横浜トリエンナーレにも参加しています。

スの作品は一点、「因果関係」です。ただし今回は布地ではありません。素材はアクリル樹脂やアルミ板です。天井付近から釣り下がるインスタレーション。かなり大型です。対するポー・ポーは5点の油彩を展示。オレンジや黄の色彩も鮮やかです。何層にも連なる円や三角などの幾何学的な図像を描いています。

 
ス・ドホ「因果関係」 2007年 アクリル樹脂、アルミニウム板、ステンレススチール・フレームほか

さてスの「因果関係」、一見するところシャンデリア風。ゆえに華やかにも映りますが、近づいて見るとご覧の通り、一つ一つが小さな人形で構成されていました。

何でもこれらは仏教の概念の一つ、「業」に着想を得たものだそうです。過去と現在、現世と来世、はたまた行為と結果といった因果の関係が、人体というパーツを基盤に、さも一つの全体を経て宇宙へと広がるかのように作られています。

ポーの油彩も同じく仏教の観点に基づくものでした。軍事政権下のミャンマーにおいて独学で哲学やアートを会得したポー。背景にあるのは「アビダルマ」。言わばブッダの説いた法や真理を解釈し、作り上げられた仏教の思想体系です。

 
ポー・ポー「風(動きの要素)」 1985年 油彩、カンヴァス

ここに宇宙にある四大要素の地、水、火、風を、それぞれ四角、半円、三角、円形に対応させています。スーの人体とポーの幾何学的図像。モチーフは異なるようでも、通底には仏教の教えがあります。その意味でもまとまった展示だという印象を受けました。

 
「MAMコレクション002:存在と空間ース・ドホ+ポー・ポー」会場風景

なお「MAMコレクション」は森美術館の収蔵品をテーマに沿って紹介していくシリーズ展です。2回目にあたる本展は「ディン・Q・レ」展と同時開催中。観覧に際しては「ディン・Q・レ」展のチケットを購入する必要があります。

10月12日まで開催されています。

「MAMコレクション002:存在と空間ース・ドホ+ポー・ポー」 森美術館@mori_art_museum
会期:7月25日(土)~10月12日(月・祝)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *ただし火曜日は17時で閉館。(9/22は22時まで。) 
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、大学・高校生1200円、中学生以下(4歳まで)600円。
 *「ディン・Q・レ展」、「MAMスクリーン」、「MAMリサーチ」と共通チケット。
 *入館料で展望台「東京シティビュー」にも入場可。
場所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。

注)掲載写真はいずれも「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。
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