「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」 
1/23~2/22



クリエイションギャラリーG8で開催中の「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」を見てきました。

1953年に創刊された世界のデザイン誌「アイデア」は、現在も季刊で刊行され続け、昨年の12月に第380号を数えるに至りました。

その「アイデア」を手掛かりに、日本のグラフィックデザイン史を振り返るのが、「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」展です。現在も第一線で活動するデザイナーのリサーチ活動をはじめ、「アイデア」誌のアーカイブ、さらには「来るべきグラフィックデザインの図書室」と題し、今後の展開を見定めるための書籍などが紹介されていました。



展示は、RoomC、A、Bの順の三部構成でした。冒頭が「RoomC」、つまり「来るべきグラフィックデザインの図書室」で、47組のデザイナーが、「グラフィックデザインは、どのようにアップデートされうるのか。」をテーマに、手がかりと考える書物を提示していました。



各デザイナーは5冊選出し、うち1冊を閲覧用として公開しました。つまり展示書物数は、全部で47冊でした。



また展示室内の柱には歴代の「アイデア」も並び、壁にはデザイン史の年譜も事細かに記載されていました。かつての「アイデア」のロゴデザインは、かの亀倉雄策が担当していました。なお書物はいずれも閲覧可能で、奥のベンチに座って読むことも出来ました。



続くのが「RoomA」、「これまでのグラフィックデザインから考える13の断章」と題したコーナーでした。ここでは20世紀のデザイン史のコンテクストを検証すべく、13名の気鋭のグラフィックデザイナーが様々なリサーチを行っています。



これがいずれも労作でした。例えば、デザイナーで、ブランドイメージの設計や運用も行う大西隆介は、デザインの領域には、「土着的、根源的イメージが地霊のように現れる。」(解説より)と考え、その諸相をピックアップしました。うち野球ファンとして目を引いたのが、「近鉄バッファローズ球団マーク」でした。1959年、当時の監督の千葉茂の親友だった岡本太郎がデザインし、球団が解散されるまで使われ続けました。猛牛をモチーフとしたロゴで、私も目をしたことは一度や二度ではありません。



雑誌や書籍の装丁を手がける川名潤は、ブックデザインを、年表の形をとりながら、分類していました。さらに言葉や文字の知覚を探るプロジェクトで知られる大原大次郎は、デザインの線、特に曲線を取り上げ、線を引く行為から、「線の機微」(解説より)に目を向けようと試みていました。いずれのデザイナーの視点もユニークでかつ専門的で、レポートのテキストも細かく、かなり読ませました。



ラストRoomB、「アイデアの全アーカイブズ」でした。まさに一目瞭然、展示室内の書棚には、「アイデア」の全バックナンバーがずらりと並んでいました。



元々、「アイデア」は、戦前に刊行された広告の唯一の全国誌、「廣告界」を継承して創刊されました。いずれも手に取ることも可能でしたが、大変なボリュームで、とても1日で閲覧出来るものではありません。60年以上も続いて来た、歴史の重みも感じられるのではないでしょうか。


2月22日まで開催されています。

「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:1月23日(火)~2月22日(土)
休館:日・祝日。
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
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