2018年10月に見たい展覧会~フェルメール・ルーベンス・MOTサテライト~

猛暑が終わったかと思えば、天候不順の日が続き、大型の台風が日本列島を襲いました。短時間ではありましたが、関東でも凄まじい風雨でした。皆さまのお住まいでも被害はありませんでしたでしょうか。


そうした中、京都では国立博物館で「京(みやこ)のかたな」展がはじまりました。昨今の刀剣ブームもあるのか、事前から相当に話題を集めていて、実際に初日には最大で2時間もの待ち時間が発生しました。その後の平日は落ち着いているようですが、ひょっとするとこの秋、最も混雑する展覧会となるかもしれません。

9月に見た展覧会では、可愛らしい花鳥画が目白押しだった「小原古邨展―花と鳥のエデン」(茅ヶ崎市美術館)、単に1968年の美術だけでなく、時代や社会の世相も抉り取っていた「1968年 激動の時代の芸術」(千葉市美術館)、オルセーの充実したコレクションにより、ボナールの色彩の魅力を味わえた「ピエール・ボナール展」(国立新美術館)、磯崎新のホワイトキューブに新たな世界を吹き込んだ「内藤礼―明るい地上には あなたの姿が見える」(水戸芸術館)などが印象に残りました。いずれの展覧会の感想もまだ書けていないので、追ってまとめたいと思います。

さて10月も盛りだくさんです。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」 21_21 DESIGN SIGHT(~10/14)
・「あざみ野コンテンポラリー vol.9 今もゆれている」 横浜市民ギャラリーあざみ野(~10/21)
・「没後160年記念 歌川広重」 太田記念美術館(~10/28)
・「キリシタン―日本とキリスト教の469年―」 國學院大學博物館(~10/28)
・「阿部展也ーあくなき越境者」 埼玉県立近代美術館(~11/4)
・「横山華山」 東京ステーションギャラリー(~11/11)
・「藝大コレクション展2018」 東京藝術大学大学美術館(10/2~11/11)
・「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅」 町田市立国際版画美術館(~11/18)
・「小倉遊亀展」 平塚市美術館(10/6~11/18)
・「MOTサテライト 2018秋 うごきだす物語」 清澄白河エリアの各所(10/20~11/18)
・「白磁」 日本民藝館(~11/23)
・「仏像の姿~微笑む・飾る・踊る~」 三井記念美術館(~11/25)
・「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」 神奈川県立近代美術館葉山(~11/25)
・「愛について アジアン・コンテンポラリー」 東京都写真美術館(10/2~11/25)
・「林原美術館所蔵 大名家の能装束と能面」 渋谷区立松濤美術館(10/6~11/25)
・「超えてゆく風景」 ワタリウム美術館(~12/2)
・「村上友晴展 ひかり、降りそそぐ」 目黒区美術館(10/13~12/6)
・「開館15周年 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」 パナソニック汐留ミュージアム(~12/9)
・「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」 東京国立博物館(10/2~12/9)
・「マルセル・デュシャンと日本美術」 東京国立博物館(10/2~12/9)
・「駒井哲郎―煌めく紙上の宇宙」 横浜美術館(10/13~12/16)
・「新・桃山の茶陶」 根津美術館(10/20~12/16)
・「カール・ラーションスウェーデンの暮らしを芸術に変えた画家」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~12/24)
・「アジアにめざめたら アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代」 東京国立近代美術館(10/10~12/24)
・「言語と美術―平出隆と美術家たち」 DIC川村記念美術館(10/6~2019/1/14)
・「エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し」 東京都庭園美術館(10/6~2019/1/14)
・「カタストロフと美術のちから展」 森美術館(10/6~2019/1/20)
・「ルーベンス展―バロックの誕生」 国立西洋美術館(10/16~2019/1/20)
・「ムンク展―共鳴する魂の叫び」 東京都美術館(10/27~2019/1/20)
・「フェルメール展」 上野の森美術館(10/5~2019/2/3)
・「フィリップス・コレクション」 三菱一号館美術館(10/17~2019/2/11)

ギャラリー

・「絵と、 vol.2 村瀬恭子」 ギャラリーαM(~10/27)
・「人・建築・都市を記憶する―レンズ付フィルムによる写真展 100人の本郷」 ギャラリーA4(10/5~10/29)
・「SHIMURAbros Seeing Is Believing 見ることは信じること」 ポーラ ミュージアム アネックス(10/5~11/4)
・「石田尚志 絵と窓の間」 タカ・イシイギャラリー東京(10/20~11/17)
・「日本のアートディレクション展 2018」 クリエイションギャラリーG8(10/29~11/22)
・「Art Direction Japan 2018展」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(10/29~11/22)
・「森淳一展 山影」 ミヅマアートギャラリー(10/24~11/24)
・「名和晃平 Biomatrix」 SCAI THE BATHHOUSE(10/10~12/8)
・「田根剛|未来の記憶」 TOTOギャラリー・間(10/18~12/23)
・「それを超えて美に参与する 福原信三の美学」 資生堂ギャラリー(10/16~2019/3/17)

10月は上野の西洋美術展に要注目です。上野の森美術館にて「フェルメール展」がはじまります。



「フェルメール展」@上野の森美術館(10/5~2019/2/3)

これはオランダの画家、フェルメールの絵画が、国内史上最多の9点来日する展覧会で、全てが「フェルメール・ルーム」と題した1室の展示室にて公開されます。またメツーやホーホなど、同時代の画家の絵画も50点ほどやって来ます。

それに「フェルメール展」は、入場に際し、「事前日時指定制」を採用していて、既にオンラインにて、10月、11月分のチケットが発売されています。


メディアなどの露出も多く、チケットも売れているのかと思いきや、実際のところ土日を含めてまだ余裕があります。チケット情報のサイトを改めて確認したところ、一部の時間帯で、予定枚数が終了していますが、全て売り切れている日は1日もありません。

よって、当日の日時指定券を求める方が多くなることが予想されます。当日券は前売券よりも+200円です。公式のTwitterアカウントで販売の案内があるそうですが、あらかじめ前売券を手配しておかれることをおすすめします。

ルーベンスとイタリアの関係を明らかにする骨太の展覧会となりそうです。国立西洋美術館で「ルーベンス展―バロックの誕生」が開催されます。



「ルーベンス展―バロックの誕生」@国立西洋美術館(10/16~2019/1/20)

スペイン領ネーデルランドに生まれたルーベンスは、イタリアへ渡り、古代やルネサンスの美術を咀嚼しつつ、当時の最先端の美術を身につけては、画家としての地位を確立しました。


そうしたイタリア美術の影響関係に焦点を当てたのが「ルーベンス展」で、ルーベンスの絵画だけでなく、先行した古代彫刻や16世紀のイタリアの芸術家の作品、さらに同時代以降のイタリア・バロックの芸術をも紹介します。このほかに上野では月末から「ムンク展」(東京都美術館。10月27日から。)もはじまります。ともかくチラシ表紙を飾る「叫び」の知名度が抜群なだけに、早々から多くの人で賑わいそうです。

最後は現代美術です。来年3月のリニューアル・オープンを控え、最後の館外でのアートプロジェクトになるかもしれません。清澄白河エリアにて「MOTサテライト2018秋 うごきだす物語」が行われます。



「MOTサテライト2018秋 うごきだす物語」@清澄白河エリアの各所(10/20~11/18)

「MOTサテライト」とは、長期休館中の東京都現代美術館が、美術館としての活動を館外へと展開するアートプロジェクトで、過去に2回開催されました。


会期中は、清澄白河の各所に作品が展示されます。清澄庭園や資料館通りの散策や、珈琲店巡りなど、町歩きの感覚で参加するのも楽しそうです。

「フェルメール会議 (双葉社スーパームック)」

最後にお知らせです。内容については改めてブログでご紹介する予定ですが、10月2日発売の「フェルメール会議」(青い日記帳・編/双葉社スーパームック)に、会議メンバーとして参加し、一部のテキストを担当しました。まずは書店で手にとってご覧いただければ嬉しいです。


9月もブログの更新が遅れましたが、当面はこのペースで更新していきたいと思います。

それではどうぞ宜しくお願いします。
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