都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
コスチューム・ジュエリーが一堂に。アクセサリーミュージアムへ行ってきました
貴金属や宝石などで作るジュエリーとは異なり、ファッション性を重視し、素材を問わずに作られた装身具であるコスチューム・ジュエリー。ファッションに関心のある方であれば、身近に触れる機会も少なくないかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/7c/f13c9287215144c5e7aa742df87dfa2d.jpg)
アクセサリーミュージアム
http://acce-museum.main.jp
コスチューム・ジュエリーを国内最大級のスケールで展示するミュージアムが、東京の目黒区上目黒にあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/0d/cc4579fe900c699374d2fb9ed8488380.jpg)
「アクセサリー・ミュージアム」入口。祐天寺の閑静な住宅地の中に位置します。
その名はアクセサリーミュージアムで、田中美晴、元子夫妻のコレクションを公開するため、個人の邸宅を改装し、2010年に開館しました。最寄りは東急東横線の祐天寺駅で、住宅街を経由し、細い路地を抜けた先に位置していました。駅からは歩いて10分もかかりませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/30/13243df59e87ea21afb5c24dad90d67a.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM1 アール・デコ)
受付の先にはアール・デコを模した展示室が広がり、1920年から30年代にかけ流行した、アール・デコのアクセサリーが展示されていました。この時代は、女性の社会進出や交通手段の発達により、シンプルな服装が求められ、幾何学的なデザインや、オリエンタルなモチーフをアレンジしたアクセサリーが好まれました。直線のモチーフや、色の対比などが、特徴としてあげられるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/30/fe6ad5ca0c482bdd2efc03f21a1bff39.jpg)
ペーストによるアクセサリー
宝石の代用品であった、ペーストのアクセサリーも目を引くかもしれません。ガラスをカットして作られていて、安価なジュアリーとして、アール・デコ以前から人気を博していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/9b/f84eebd2db9e7759d87e195f67f2e9d9.jpg)
「ペークライトブレスレット」 1920年〜1930年 フランス
合成樹脂の初期の形であるペークライトが登場したのもアール・デコの時代で、色々な形に成形しやすいこともあり、モダンなデザインのアクセサリーが生み出されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/7a/af0d37de11d23c7eec707189941f61c5.jpg)
「スコティッシュジュエリー」 ほか
最も古いコレクションは、1837年から1901年のヴィクトリア朝のアクセサリーでした。イギリスの貴族文化の価値観を重視し、荘厳でかつ華麗な装飾を特徴としていて、前期にはロマンテックなものや自然、後期には過去の文物やデザインを取り込んだモチーフが流行しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/1f/774e92530244a8f35c4e62b8cfd93830.jpg)
「モーニング(喪)・ブレスレット」
またヴィクトリア女王が、長く夫のアルバート公の喪に服したことから、黒が広く着用されました。さらに象牙も流行し、カメオも作られました。ケルトのデザインのアクセサリーも魅惑的かもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/67/ff8627d250b541e533e4f14d34214147.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM4 アール・ヌーボー)
19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーヴォーに関したアクセサリーも充実していました。イスラムや中国、日本の文化の影響を顕著に受けていて、動物や植物などの流動的な曲線を特徴としていました。さらに当時としては新しい素材であった、ガラスや鋼鉄も積極的に取り入れられました。
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「虫ブローチ」 1850年〜1900年 フランス
中には、本物のタマムシをブローチに仕立てた「虫ブローチ」もありました。またベルトを身につける習慣があり、バックルが多いのも特徴の1つでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/3f/9a1e2ca15c15d3be697211f44dfb18ff.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM4 オートクチュール)
ヴィクトリアン、アール・ヌーボー、アール・デコに続くのは、1940年から60年の間のオートクチュールの時代でした。1940年代は第二次世界大戦の影響でミリタリー風のファッションが流行しました。そして戦後にパリでオートクチュールが再開すると、1947年にディオールが最初のコレクションを発表して、世の中に衝撃を与えました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/b5/dc2159c737647b725a725309eab1462f.jpg)
「ブローチ」 1950年代 アメリカ ほか
1950年代には、正統派のクチュールと若者のファッションが対峙していていて、1960年代に入ると、オートクチュールメゾンにプレタポルテの波が押し寄せました。またヤングファッションも革命期を迎え、ジーンズやミリタリー、アイビー・ルックなど、新たなカルチャーを反映したファッションが生み出されました。一方のアクセサリーでは、自然の素材として、象牙などが好まれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/21/bf7a4257e746e8acdbc693e0c7a14412.jpg)
「ハートブローチ」 1970年代 フランス
1970年代に入ると、プレタポルテでは若いデザイナーが台頭し、豪華なクチュールのモードは一部の人のものとなりました。また同時にアンチモードへの時代でもあり、ヒッピーなどの文化もファッションに影響を与えました。ヤングアクセサリーのポップなモチーフも目を引くかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/6b/e5325548c8572afc55e9513aee569480.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM6 プレタポルテ)
時代の最先端をいくような前衛的なモチーフが好まれたのが、アヴァンギャルドの時代とされる1980年代でした。トレンドは目まぐるしく変化していく中、人々は自分の好きなスタイルでファッションを表現し、ファッションを楽しみました。日本ではバブル景気を反映し、派手で華美なコスチューム・ジュエリーが人気を博しました。いわゆる「デコ盛り」の先駆けとも言えるようなジュエリーも目立っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/26/063fe215bd4077c4e6a39a9c75316c5d.jpg)
シャネル・オートクチュール アクセサリー
あくまでも個人の邸宅であるため、スペースとしては必ずしも広くありませんが、地下1階、地上1階、2階の3層の建物には、合計9の展示室があり、いずれも所狭しとアクセサリーで埋め尽くされていて、総数は2000以上にも及び、想像以上に見応えがありました。サンローラン、ディオール、シャネルと、よく知られたブランドのアクセサリーも少なくありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/ae/8bf1806792334b80138678ee560559df.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM6 プレタポルテ)
一部では絵画の参照があったり、衣装のコレクションも目に付くなど、アクササリーを通じて、1850年から2000年へと至った、各時代の文化や風俗がよく伝わるような展示でした。アクササリーファンだけでなく、美術ファンにも見ておきたい内容と言えるかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/66/42c215ab949c1fa6507fc79f678171cc.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM6 プレタポルテ)
入館料は一般1000円ですが、ぐるっとパスを利用すると、フリーで入場出来ます。お得なパスの利用をおすすめします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/b2/75dca5b9da67708917ce575810aabc78.jpg)
ミュージアムショップ
ミュージアムショップも充実していました。ヴィンテージから現代のコスチューム・ジュエリーやアクセサリーパーツだけでなく、アクセサリーに関したカタログやグッズなどが数多く販売されていました。また横のスペースでは、少人数制のアクセサリー教室が開催されるほか、アクセサリークリニックとして、アクセサリーのアフターケアについての相談も受け付けていました。
館内では、「アメリカンドリーマー ミリアム・ハスケル」と題し、コスチューム・ジュエリーの創始者とも呼ばれる、ミリアム・ハスケルの企画展も開催されていました。そちらも次のエントリでご紹介したいと思います。
「アクセサリーミュージアム」(@acce_museum)
休館:月曜・第4、5日曜日。
*冬季休館(12月23日〜1月16日)、及び8月休館(8/1~8/31)
時間:10:00~17:00
*入館は16時半まで。
料金:一般1000円、学生(小学生以上)600円。ぐるっとパスでフリー。
住所:目黒区上目黒4-33-12
交通:東急東横線祐天寺駅中央改札口側西口1より徒歩7分。
注)写真は美術館の許可を得て撮影しました。
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アクセサリーミュージアム
http://acce-museum.main.jp
コスチューム・ジュエリーを国内最大級のスケールで展示するミュージアムが、東京の目黒区上目黒にあります。
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「アクセサリー・ミュージアム」入口。祐天寺の閑静な住宅地の中に位置します。
その名はアクセサリーミュージアムで、田中美晴、元子夫妻のコレクションを公開するため、個人の邸宅を改装し、2010年に開館しました。最寄りは東急東横線の祐天寺駅で、住宅街を経由し、細い路地を抜けた先に位置していました。駅からは歩いて10分もかかりませんでした。
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「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM1 アール・デコ)
受付の先にはアール・デコを模した展示室が広がり、1920年から30年代にかけ流行した、アール・デコのアクセサリーが展示されていました。この時代は、女性の社会進出や交通手段の発達により、シンプルな服装が求められ、幾何学的なデザインや、オリエンタルなモチーフをアレンジしたアクセサリーが好まれました。直線のモチーフや、色の対比などが、特徴としてあげられるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/30/fe6ad5ca0c482bdd2efc03f21a1bff39.jpg)
ペーストによるアクセサリー
宝石の代用品であった、ペーストのアクセサリーも目を引くかもしれません。ガラスをカットして作られていて、安価なジュアリーとして、アール・デコ以前から人気を博していました。
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「ペークライトブレスレット」 1920年〜1930年 フランス
合成樹脂の初期の形であるペークライトが登場したのもアール・デコの時代で、色々な形に成形しやすいこともあり、モダンなデザインのアクセサリーが生み出されました。
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「スコティッシュジュエリー」 ほか
最も古いコレクションは、1837年から1901年のヴィクトリア朝のアクセサリーでした。イギリスの貴族文化の価値観を重視し、荘厳でかつ華麗な装飾を特徴としていて、前期にはロマンテックなものや自然、後期には過去の文物やデザインを取り込んだモチーフが流行しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/1f/774e92530244a8f35c4e62b8cfd93830.jpg)
「モーニング(喪)・ブレスレット」
またヴィクトリア女王が、長く夫のアルバート公の喪に服したことから、黒が広く着用されました。さらに象牙も流行し、カメオも作られました。ケルトのデザインのアクセサリーも魅惑的かもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/67/ff8627d250b541e533e4f14d34214147.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM4 アール・ヌーボー)
19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーヴォーに関したアクセサリーも充実していました。イスラムや中国、日本の文化の影響を顕著に受けていて、動物や植物などの流動的な曲線を特徴としていました。さらに当時としては新しい素材であった、ガラスや鋼鉄も積極的に取り入れられました。
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「虫ブローチ」 1850年〜1900年 フランス
中には、本物のタマムシをブローチに仕立てた「虫ブローチ」もありました。またベルトを身につける習慣があり、バックルが多いのも特徴の1つでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/3f/9a1e2ca15c15d3be697211f44dfb18ff.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM4 オートクチュール)
ヴィクトリアン、アール・ヌーボー、アール・デコに続くのは、1940年から60年の間のオートクチュールの時代でした。1940年代は第二次世界大戦の影響でミリタリー風のファッションが流行しました。そして戦後にパリでオートクチュールが再開すると、1947年にディオールが最初のコレクションを発表して、世の中に衝撃を与えました。
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「ブローチ」 1950年代 アメリカ ほか
1950年代には、正統派のクチュールと若者のファッションが対峙していていて、1960年代に入ると、オートクチュールメゾンにプレタポルテの波が押し寄せました。またヤングファッションも革命期を迎え、ジーンズやミリタリー、アイビー・ルックなど、新たなカルチャーを反映したファッションが生み出されました。一方のアクセサリーでは、自然の素材として、象牙などが好まれました。
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「ハートブローチ」 1970年代 フランス
1970年代に入ると、プレタポルテでは若いデザイナーが台頭し、豪華なクチュールのモードは一部の人のものとなりました。また同時にアンチモードへの時代でもあり、ヒッピーなどの文化もファッションに影響を与えました。ヤングアクセサリーのポップなモチーフも目を引くかもしれません。
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「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM6 プレタポルテ)
時代の最先端をいくような前衛的なモチーフが好まれたのが、アヴァンギャルドの時代とされる1980年代でした。トレンドは目まぐるしく変化していく中、人々は自分の好きなスタイルでファッションを表現し、ファッションを楽しみました。日本ではバブル景気を反映し、派手で華美なコスチューム・ジュエリーが人気を博しました。いわゆる「デコ盛り」の先駆けとも言えるようなジュエリーも目立っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/26/063fe215bd4077c4e6a39a9c75316c5d.jpg)
シャネル・オートクチュール アクセサリー
あくまでも個人の邸宅であるため、スペースとしては必ずしも広くありませんが、地下1階、地上1階、2階の3層の建物には、合計9の展示室があり、いずれも所狭しとアクセサリーで埋め尽くされていて、総数は2000以上にも及び、想像以上に見応えがありました。サンローラン、ディオール、シャネルと、よく知られたブランドのアクセサリーも少なくありません。
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「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM6 プレタポルテ)
一部では絵画の参照があったり、衣装のコレクションも目に付くなど、アクササリーを通じて、1850年から2000年へと至った、各時代の文化や風俗がよく伝わるような展示でした。アクササリーファンだけでなく、美術ファンにも見ておきたい内容と言えるかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/66/42c215ab949c1fa6507fc79f678171cc.jpg)
「アクセサリーミュージアム」展示風景(ROOM6 プレタポルテ)
入館料は一般1000円ですが、ぐるっとパスを利用すると、フリーで入場出来ます。お得なパスの利用をおすすめします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/b2/75dca5b9da67708917ce575810aabc78.jpg)
ミュージアムショップ
ミュージアムショップも充実していました。ヴィンテージから現代のコスチューム・ジュエリーやアクセサリーパーツだけでなく、アクセサリーに関したカタログやグッズなどが数多く販売されていました。また横のスペースでは、少人数制のアクセサリー教室が開催されるほか、アクセサリークリニックとして、アクセサリーのアフターケアについての相談も受け付けていました。
【所蔵品で #AMクリスマス 】1900年代 #アールヌーボー の #ネックレス 。 #シルバー に #カルセドニー を使った可愛い #クロス のモチーフで、当館の学芸スタッフもつけたいと話していました。(H) #クリスマス #アドベントカレンダー #19日 pic.twitter.com/m67WFk84te
— アクセサリーミュージアム (@acce_museum) 2018年12月19日
館内では、「アメリカンドリーマー ミリアム・ハスケル」と題し、コスチューム・ジュエリーの創始者とも呼ばれる、ミリアム・ハスケルの企画展も開催されていました。そちらも次のエントリでご紹介したいと思います。
「アクセサリーミュージアム」(@acce_museum)
休館:月曜・第4、5日曜日。
*冬季休館(12月23日〜1月16日)、及び8月休館(8/1~8/31)
時間:10:00~17:00
*入館は16時半まで。
料金:一般1000円、学生(小学生以上)600円。ぐるっとパスでフリー。
住所:目黒区上目黒4-33-12
交通:東急東横線祐天寺駅中央改札口側西口1より徒歩7分。
注)写真は美術館の許可を得て撮影しました。
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