「ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」 アクセサリーミュージアム

アクセサリーミュージアム
「アメリカンドリーマー ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」
2018/11/13~2018/12/22、2019/1/17~2019/4/14



アクセサリーミュージアムで開催中の「アメリカンドリーマー ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」を特別鑑賞会に参加して来ました。

コスチューム・ジュエリーのトップブランドである「ミリアム・ハスケル」は、創設者のミリアム・ハスケルが、1924年にニューヨークで開いたセレクトショップにはじまりました。

そのミリアム・ハスケルのジュエリーを一堂に紹介したのが、「ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」で、ミリアム・ハスケルの研究で知られ、ジュエリーを30年近くに渡って収集し続けた渡辺マリ氏のコレクションが公開されていました。


「メタルリーフイエローデミパリュールセット」 1930年代

元々、ハスケルのショップでは、シャネルをはじめとしたフランスのジュエリーを輸入していましたが、次第に自身でもジュエリーを制作したいと考えるようになりました。


「ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」会場パネル

ハスケルのジュアリーは、1人のデザイナーとの協働によって生み出されました。名はフランク・ヘスで、1926年、ヘスのウィンドウディスプレイに惚れたハスケルは、デザイナーとしてスカウトし、自身はプロデューサーとして、ジュエリーを世に送り出しました。ハスケルは「人と同じものをつけさせない、つけない。」ことをモットーとしていて、一番美しいものを作るべく、手作業で、パーツの全てまでがオリジナルなジュエリーを作りました。


「スティックピン」 1940年代

ジュエリーの制作に際しては、極力、接着剤や溶接の技術を用いず、糸や針を、一つ一つ手で組み上げていて、修理やセミオーダー形式での手直しも可能としていました。それ故に、今も修理をすることが出来るそうです。


「メタルフラワーイエローネックレス」 1930年代

ハスケルの最大の魅力は、立体的なデザインを伴うことでした。ジュエリーは正面だけでなく、上下左右のどこから見ても、女性を引き立てるように作られました。またネックレスは複数の使い方が出来るようなっていて、その日の服装などに合わせ、ショートとロングの双方に対応するように工夫されました。


「黄金花束ブローチ」 1940年代

自分の名前を入れることに執着のなかったハスケルは、当初、ブランドサインを付けませんでした。ジュエリーは、主に植物をモチーフとしていて、木や貝などの自然の材料が多く使われました。またハスケルは、同じ作品を3つ作り、1つは見本、もう1つは店内ディスプレイ用、最後の1つは販売用とすることもありました。


「ソンメルソガラスネックレス」 1940年代

1930年頃から、客の求めによって、サインが入れられるようになりました。しかし人気の高まりゆえか、偽物も出回るようになったため、今度は名前の代わりに、亀や小鳥の金具を付けるようになりました。


「ウランガラス3連ネックレス」 1950年代

素材はベネツィアのガラスなども使われましたが、中にはガラスにウランを入れたネックレスもあり、照明を落として、ライトを当てると、緑色に光り出しました。


「シノワズリデミパリリュールセット」 1940年代〜1950年代

ハスケルの作品には、ランクに応じて、カジュアルのC、フォーマルのB、そしてスペシャルのAの3つのラインがありました。うちAラインは、パーティーなどの特別な場につけていくことを想定していて、ほかのラインに比べて、大ぶりで豪華でした。


「ターコイズパリュールセット」 1950年代

ハスケルは人気を博し、次々と店舗が増え、アメリカからヨーロッパへも拡大し、コスチュームジュエリーのクイーンと称されるほどになりました。しかし残念ながら、ハスケルの活躍は、必ずしも長く続きませんでした。1940年頃に鬱病を患うと、しばらくはフランクの助けもあって支えられるものの、1950年にはクリエイターとしての仕事が困難となり、会社を離れてしまいました。


「デザイン画」 ラリー・オースチン 1930年代〜1940年代

ジュエリー制作をやめたハスケルは、結果的に長い療養生活の末、1981年に亡くなりました。また現在も会社こそ存続しているものの、ハスケルの当時とは方針が変わり、大量生産方式を採用しているそうです。


「ドーム花パリュールセット」 1940年代〜1950年代

渡辺マリ氏のコレクションも、ハスケルとフランクの2人が制作したものにこだわっていて、主に1920年から50年代の作品でした。いずれのジュエリーもオリジナリティーに溢れていて、ハスケルが制作にかけた、創意工夫が感じられるのではないでしょうか。また単に美しい云々だけではなく、ハスケルとフランクの2人の作り手の熱意も伝わってくるかもしれません。


「グリーン花モチーフパリュール」 1940年代〜1950年代

最後に会期の情報です。年末年始を含む冬季休館日を挟み、前期と後期に分かれています。(一部に展示替えあり。)

「ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」
前期:2018年11月13日(火)~2018年12月22日(土)
後期:2019年1月17日(木)~2019年4月14日(日)

12月23日から1月16日までが冬季休館日です。年内は12月22日まで、年明けは1月17日からの開館となります。お出かけの際はご注意下さい。


「ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」会場風景

通常入館料で観覧可能です。ぐるっとパスにも対応しています。


「シルバーメタルチェーンラリエット」 1930年代

2019年4月14日まで開催されています。

「アメリカンドリーマー ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」 アクセサリーミュージアム@acce_museum
会期:2018年11月13日(火)~2018年12月22日(土)、2019年1月17日(木)~2019年4月14日(日)
休館:月曜・第4、5日曜日。
 *冬季休館(12月23日~1月16日)、及び8月休館(8/1~8/31)
時間:10:00~17:00
 *入館は16時半まで。
料金:一般1000円、学生(小学生以上)600円。ぐるっとパスでフリー。
住所:目黒区上目黒4-33-12
交通:東急東横線祐天寺駅中央改札口側西口1より徒歩7分。

注)写真は特別鑑賞会の際に美術館の許可を得て撮影しました。
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