2020年9月に見たい展覧会【大津絵/宮島達男/光―呼吸】

長く続いた酷暑も関東では少し落ち着いてきました。いわゆる秋の展覧会シーズンへと入りましたが、SOMPO美術館の「ゴッホと静物画」展が中止されるなど、新型コロナウイルス感染症による影響は続いています。その一方で長らく臨時休館していた根津美術館が、9月19日から「モノクロームの冒険 日本近世の水墨と白描」にて再開することが決まりました。

9月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「真珠-海からの贈りもの」 渋谷区立松濤美術館(6/2~9/22)
・「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」 東京都写真美術館(7/28~9/22)
・「東京モダン生活 東京都コレクションにみる1930年代」 東京都庭園美術館(6/1~9/27)
・「Re construction 再構築」 練馬区立美術館(7/8~9/27)
・「2020イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」 板橋区立美術館(8/22~9/27)
・「月岡芳年 血と妖艶」 太田記念美術館(8/1~10/4)
・「エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク」 東京都写真美術館(8/18~10/11)
・「都市への挿入 川俣正」 BankART Station、BankART Temporary、馬車道駅(9/11~10/11)
・「すみだ向島 EXPO 2020」 東京都墨田区曳舟エリア(9/12〜10/11)
・「隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生 - 石と木の超建築」 角川武蔵野ミュージアム(8/1~10/15)
・「田中信太郎展 風景は垂直にやってくる」 市原湖畔美術館(8/8~10/18)
・「ショーン・タンの世界展」 そごう美術館(9/5~10/18)
・「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」 国立新美術館(8/12~11/3)
・「モノクロームの冒険 日本近世の水墨と白描」 根津美術館(9/19~11/3)
・「敦煌写経と永樂陶磁」 三井記念美術館(9月12日~11月8日)
・「もうひとつの江戸絵画 大津絵」 東京ステーションギャラリー(9/19~11/8)
・「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」 山種美術館(9/19~11/15)
・「アイヌの美しき手仕事」 日本民藝館(9/15~11/23)
・「ふたつのまどか―コレクション×5人の作家たち」 DIC川村記念美術館(6/16~11/29)
・「国立公園―その自然には、物語がある」 国立科学博物館(8/25~11/29)
・「黄金町バザール2020 第1部」 京急線日ノ出町駅・⻩金町駅間の高架下スタジオ他(9/11~10/11)
・「宮島達男 クロニクル 1995-2020」 千葉市美術館(9/19~12/13)
・「生誕111年浜口陽三銅版画展 幸せな地平線」 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション(8/18~12/20)
・「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館(7/31~2021/1/3)
・「光―呼吸 時をすくう5人」 原美術館(9/19~2021/1/11)
・「生きている東京」 ワタリウム美術館(9/5~2021/1/31)

ギャラリー

・「菅木志雄 放たれた景空」 小山登美夫ギャラリー(8/21~9/26)
・「Echoes of Monologues」 ANOMALY(9/16~10/10)
・「中西敏貴写真展:Kamuy」 キヤノンギャラリーS(9/19~10/31)
・「ポーラ ミュージアム アネックス展2020 前期」 ポーラ ミュージアム アネックス(9/26~10/11)
・「JAGDA新人賞展2020 佐々木俊・田中せり・西川友美」 クリエイションギャラリーG8(9/8~10/15)
・「浜田浄 記憶の地層 -光と影-」 √K Contemporary(9/19~10/24)
・「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」 メゾンエルメス8階フォーラム(8/27~11/29)
・「オノデラユキ FROM Where」 THE GINZA SPACE(9/8~11/29)

まずは日本美術です。東京ステーションギャラリーにて「もうひとつの江戸絵画 大津絵」が開催されます。



「もうひとつの江戸絵画 大津絵」@東京ステーションギャラリー(9/19~11/8)

江戸時代初期より宿場だった大津周辺で描かれた大津絵は、旅人の手軽な土産物として人気を集め、全国へと広まりました。その大津絵の魅力を紹介するのが「もうひとつの江戸絵画 大津絵」で、全国屈指のコレクションを誇る日本民藝館や、洋画家・小絲源太郎が収集して笠間日動美術館に収められた作品などがまとめて公開されます。


近年、江戸絵画展などで見る機会も増えた大津絵ですが、美術館での本格的な展覧会は少ないため、また新たなムーブメントを起こすきっかけになるかもしれません。

続いては現代美術です。美術家、宮島達男の個展が千葉市美術館にて行われます。



「宮島達男 クロニクル 1995-2020」@千葉市美術館(9/19~12/13

1957年に東京で生まれ、1980年代よりLEDのデジタル・カウンターを使用した作品を制作してきた宮島達男は、国内で多くの展示を行うだけでなく、1999年の「第48回ヴェネツィア・ビエンナーレ」に参加するなど海外でも活動してきました。


今回の個展は、宮島の転換期とされる1995年から現在までの作品を俯瞰するもので、大型のインスタレーションを含めた約40点が公開されます。また今年の最新作をはじめ、千葉市美術館の所蔵する杉本博司、李禹煥、河原温らの作品とコラボレーションした「Changing Time / Changing Art」も発表されます。

実に関東では2008年に水戸芸術館で開かれた「宮島達男|Art in You」以来、約12年ぶりの大規模な個展でもあります。水戸の展示では仏塔をイメージした巨大なオブジェ「HOTO」に驚かされましたが、今後の活動を見据えるような内容になるのかもしれません。

ラストも現代美術です。原美術館にて「光―呼吸 時をすくう5人」が開催されます。



「光―呼吸 時をすくう5人」@原美術館(9/19~2021/1/11)

これは「自身の立ち位置から社会を省察する」(公式サイトより)今井智己、城戸保、佐藤時啓、佐藤雅晴、リー・キットの5名による作家の作品を紹介するもので、本展の終了をもって原美術館は建物の老朽化により閉館し、約40年の歴史に幕を下ろします。


2021年からは群馬県渋川市の「ハラ ミュージアム アーク」を「原美術館ARC」と改め、同地に拠点を集約して活動を続けますが、品川の地でのフィナーレを飾る展示だけに、見過ごせない内容となりそうです。

それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )