「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」 パナソニック汐留美術館

パナソニック汐留美術館
「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」
2020/7/18~9/22



「工芸美」を探究する12名の現代作家を紹介する展覧会が、パナソニック汐留美術館にて行われています。

それが「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」で、いずれも1970年以降に生まれた安達大悟、池田晃将、桑田卓郎、坂井直樹、佐合道子、髙橋賢悟、舘鼻則孝、新里明士、橋本千毅、深堀隆介、見附正康、山本茜の各作品が公開されていました。


舘鼻則孝 展示風景

まず冒頭で目を引いたのは、花魁の高下駄をモチーフにした靴を制作し、レディー・ガガが愛用したことで知られる舘鼻則孝でした。


舘鼻則孝 展示風景

ここではまるで宝石のような輝きを放つ靴とともに、花魁の簪をモチーフにした作品や、鎌倉の覚園寺の庭に着想を得たとする椿の花を敷き詰めたインスタレーションなどが展示されていました。舘鼻といえば、昨年冬のポーラミュージアムアネックスでの個展の記憶も新しいところですが、また新たな魅力に親しむことができました。


深堀隆介 「四つの桶」 2009年 *部分

まるで生きているような金魚の作品で知られる深堀隆介も人気を集めるかもしれません。会場には丸い木桶に金魚が泳ぐ光景を表した「四つの桶」をはじめ、金魚すくいをイメージした「百舟」などが並んでいて、それこそ本物と見間違うような姿に目を見張りました。


深堀隆介 「百舟」 2018年

これらはいずれも透明のエポキシ樹脂の表面にアクリル絵具で金魚を描いていて、層状に重ねていくことで、水中で泳ぐような金魚の姿を表現していました。


深堀隆介 「百舟」 2018年 *部分

この技法を作家自身「積層絵画」と呼んでいるそうですが、写真でも明らかなように、何度目を凝らしてもおおよそ絵画には見えませんでした。


山本茜「截金硝子長方皿 流衍」 2014年

ガラスとガラスの間に截金を施し、窯で融着させた山本茜の截金ガラスにも魅了されました。青や水色、赤などの皿や香合には、実に繊細な截金が三次元的に埋め込まれていて、キラキラとした美しい光をまとっていました。


山本茜「源氏物語シリーズ第十九帖 薄雲(雪明り)」 2011年

五角柱のオブジェ「源氏物語シリーズ第十九帖 薄雲」は、作家が憧れたとする源氏物語の明石の君と姫君も母子の別れの場面を題材にしていて、雪の降り積もるような光景が示されていました。詩的でかつ叙情性にも満ちているのではないでしょうか。


山本茜 展示風景

山本は上村松園に憧れて日本画を志し、後に独学で截金を学んでは、截金ガラスの技法を確立したそうです。それこそ松園画のような気高さを感じる作品と言えるかもしれません。


新里明士 展示風景

淡い乳白色の光をたたえた新里明士の「光器」にも心を奪われました。透光性のある文様が施された磁器である蛍手の器で、表面には粒状の紋様が一面に広がっていました。


安達大悟「つながる、とぎれる、くりかえす」 2020年

また新里の作品と同じ展示室に並んだ坂井直樹の鉄の器や、絞り染めの技法を用いた安達大悟のテキスタイルも魅惑的で、それぞれの作品同士が引き立っているかのようでした。


橋本千毅「螺鈿 鸚鵡」 2018年

お気に入りの作品を探しながら見て歩くのも面白いかもしれません。会場内もルオーギャラリー(常設展)を除いて撮影が可能でした。


桑田卓郎 展示風景

新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクの着用、手指の消毒の他、検温が行われています。私が出向いた時は空いていましたが、混雑時は展示室内の入館人数を制限するそうです。お出かけの際はご注意下さい。


9月22日まで開催されています。おすすめします。

「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」(@wakozekka_ten) パナソニック汐留美術館
会期:2020年7月18日(土)~9月22日(火・祝)
休館:7月22日(水)、8月12日(水)~14日(金)、8月19日(水)、9月9日(水)、9月16日(水)。
時間:10:00~18:00 
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料。
 *65歳以上900円、20名以上の団体は各100円引。
 *ホームページ割引あり
住所:港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
交通:JR線新橋駅銀座口より徒歩5分、東京メトロ銀座線新橋駅2番出口より徒歩3分、都営浅草線新橋駅改札より徒歩3分、都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩1分
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