都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「中川エリカ展 JOY in Architecture」 TOTOギャラリー・間
TOTOギャラリー・間
「中川エリカ展 JOY in Architecture」
2021/1/21~3/21
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1983年に東京で生まれた建築家の中川エリカは、「ヨコハマアパートメント」 (西田司/オンデザインと共同設計)」や「桃山ハウス」で賞を受賞するなどして活躍してきました。
その中川の制作を辿るのが「中川エリカ展 JOY in Architecture」で、国内外の建築模型をはじめ、チリの6都市で行われた野外什器に関するプロジェクトが紹介されていました。
まず最初のGallery1では2014年以降、中川の手がけた建築の模型やドローイングが展示されていて、いずれもが実際の設計現場で使われたものでした。
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「桃山ハウス」
「桃山ハウス」は中川が西田司のオンデザインより独立してから初めて設計したデビュー作で、20分の1模型をはじめ、断面図、それに実寸大の柱の模型などが並んでいました。
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「高柳邸」
このほか高柳邸や丘端の家などの住宅の模型や資料も目立っていて、建築最初期の段ボール模型や基礎まわりの模型、さらには実物のサンプルを用いた模型など、実に様々な資料が展示されていました。それこそ1つの建築が作られるプロセスを追いかけつつ、その背景にあるアイデアまでも詳らかにしているかのようでした。
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「蘇州のヴィラ」
私が一連の模型で特に惹かれたのは中国・蘇州のヴィラでした。ここでは美しい曲線を描いた屋根のある建物が印象的で、風情ある水路とともに現地の街並みへと迷い込んだような雰囲気も感じられました。
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「TOTOギャラリー・間」
今回の個展に際して制作したギャラリー・間の20分の1模型なども並んでいて、ギャラリーを象ったスペースの中には小さな展示物の模型までが配置されていました。これは空間の密度を検討するために作った模型とのことでしたが、模型を配置するために模型を作る取り組みそのものも興味深いのではないでしょうか。
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「冬の庭」展示風景
戸外の「冬の庭」と題した展示スペースでは、スケールや材料を統一した模型が並んでいて、上には光や風をコントロールする縄屋根が吊られていました。またこれらは今回の展示に際して新たに作られた模型で、春一番などの大風に耐えるために縄屋根の強度も計算されました。
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「都市スタディのオルタナティブ」展示風景
ラストの階上のGallery2で行われていたのは、チリの6都市において行われた野外什器に関するリサーチプロジェクトで、サンティアゴなどにあったジュース屋や物売り荷車、露天商の屋台などの什器模型が展示されていました。
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これらは人々における居場所のあり方を検討すべく、都市の最小単位である野外什器に着目したもので、中川エリカとスタッフが2020年3月から11泊13日の日程でチリに渡って実施されました。
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バーベキュー用の屋外キッチンや電柱に取り付けられた立ち飲み席、それに花壇から水飲み、さらにベンチやゴミ箱まで網羅していて、さながらチリの野外什器の見本市のような様相を呈していました。ありとあらゆる什器を集めて用途などを考察していく、考現学的な視点も垣間見えるかもしれません。
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なおそのリサーチを踏まえ、国内では人工透析のクリニックのプロジェクトも進行中していて、50分の1模型が公開されていました。中川はチリにて「ひとつでありながら群、群でありながらひとつ」というアイデアを見出し、「群をつなぎながら分設する廊下の魅力を再評価したコロナ時代のクリニック」を考案しました。*「」内は解説より。
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「クリニックのスタディ」
公式サイトに「中川氏が考える建築の『よろこび(JOY)』が躍動感いっぱいに展示されます。」と記されていましたが、所狭しと並ぶ建築模型を鑑賞していくと、不思議と大勢の人々で賑わう縁日を歩いているのような楽しさが感じられました。
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「蘇州のヴィラ」
新型コロナウイルス感染症対策に伴い、事前予約制が導入されました。オンラインでの専用予約フォームより、入場日時(15分単位)を指定しておく必要があります。
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「桃山ハウス」
緊急事態宣言下において閉館時間は17時までと短縮されました。よって最終予約時間は16時半になります。
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撮影が可能です。3月21日まで開催されています。
「中川エリカ展 JOY in Architecture」 TOTOギャラリー・間
会期:2021年1月21日(木)~3月21日(日)
休館:月曜日。祝日。但し3月20日(土・祝)は開館
時間:11:00~18:00
*緊急事態宣言下においては、開館時間を17時までに変更。
料金:無料。
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分。都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅7番出口徒歩6分。
「中川エリカ展 JOY in Architecture」
2021/1/21~3/21
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1983年に東京で生まれた建築家の中川エリカは、「ヨコハマアパートメント」 (西田司/オンデザインと共同設計)」や「桃山ハウス」で賞を受賞するなどして活躍してきました。
その中川の制作を辿るのが「中川エリカ展 JOY in Architecture」で、国内外の建築模型をはじめ、チリの6都市で行われた野外什器に関するプロジェクトが紹介されていました。
まず最初のGallery1では2014年以降、中川の手がけた建築の模型やドローイングが展示されていて、いずれもが実際の設計現場で使われたものでした。
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「桃山ハウス」
「桃山ハウス」は中川が西田司のオンデザインより独立してから初めて設計したデビュー作で、20分の1模型をはじめ、断面図、それに実寸大の柱の模型などが並んでいました。
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「高柳邸」
このほか高柳邸や丘端の家などの住宅の模型や資料も目立っていて、建築最初期の段ボール模型や基礎まわりの模型、さらには実物のサンプルを用いた模型など、実に様々な資料が展示されていました。それこそ1つの建築が作られるプロセスを追いかけつつ、その背景にあるアイデアまでも詳らかにしているかのようでした。
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「蘇州のヴィラ」
私が一連の模型で特に惹かれたのは中国・蘇州のヴィラでした。ここでは美しい曲線を描いた屋根のある建物が印象的で、風情ある水路とともに現地の街並みへと迷い込んだような雰囲気も感じられました。
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「TOTOギャラリー・間」
今回の個展に際して制作したギャラリー・間の20分の1模型なども並んでいて、ギャラリーを象ったスペースの中には小さな展示物の模型までが配置されていました。これは空間の密度を検討するために作った模型とのことでしたが、模型を配置するために模型を作る取り組みそのものも興味深いのではないでしょうか。
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「冬の庭」展示風景
戸外の「冬の庭」と題した展示スペースでは、スケールや材料を統一した模型が並んでいて、上には光や風をコントロールする縄屋根が吊られていました。またこれらは今回の展示に際して新たに作られた模型で、春一番などの大風に耐えるために縄屋根の強度も計算されました。
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「都市スタディのオルタナティブ」展示風景
ラストの階上のGallery2で行われていたのは、チリの6都市において行われた野外什器に関するリサーチプロジェクトで、サンティアゴなどにあったジュース屋や物売り荷車、露天商の屋台などの什器模型が展示されていました。
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これらは人々における居場所のあり方を検討すべく、都市の最小単位である野外什器に着目したもので、中川エリカとスタッフが2020年3月から11泊13日の日程でチリに渡って実施されました。
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バーベキュー用の屋外キッチンや電柱に取り付けられた立ち飲み席、それに花壇から水飲み、さらにベンチやゴミ箱まで網羅していて、さながらチリの野外什器の見本市のような様相を呈していました。ありとあらゆる什器を集めて用途などを考察していく、考現学的な視点も垣間見えるかもしれません。
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なおそのリサーチを踏まえ、国内では人工透析のクリニックのプロジェクトも進行中していて、50分の1模型が公開されていました。中川はチリにて「ひとつでありながら群、群でありながらひとつ」というアイデアを見出し、「群をつなぎながら分設する廊下の魅力を再評価したコロナ時代のクリニック」を考案しました。*「」内は解説より。
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「クリニックのスタディ」
公式サイトに「中川氏が考える建築の『よろこび(JOY)』が躍動感いっぱいに展示されます。」と記されていましたが、所狭しと並ぶ建築模型を鑑賞していくと、不思議と大勢の人々で賑わう縁日を歩いているのような楽しさが感じられました。
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「蘇州のヴィラ」
新型コロナウイルス感染症対策に伴い、事前予約制が導入されました。オンラインでの専用予約フォームより、入場日時(15分単位)を指定しておく必要があります。
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「桃山ハウス」
緊急事態宣言下において閉館時間は17時までと短縮されました。よって最終予約時間は16時半になります。
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撮影が可能です。3月21日まで開催されています。
「中川エリカ展 JOY in Architecture」 TOTOギャラリー・間
会期:2021年1月21日(木)~3月21日(日)
休館:月曜日。祝日。但し3月20日(土・祝)は開館
時間:11:00~18:00
*緊急事態宣言下においては、開館時間を17時までに変更。
料金:無料。
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分。都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅7番出口徒歩6分。
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