都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「こがはくde国宝VR」で楽しむ「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言のため、会期途中で打ち切りとなった「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」を、オンラインの「こがはくde国宝VR」にて鑑賞することができます。
こがはくde国宝VR(画像:古河歴史博物館特設ウェブサイトより)
これは国立文化財機構文化財活用センターの「ぶんかつ」が、国立博物館が所蔵する文化財を全国各地のミュージアムに貸し出す「貸与促進事業」の一環として古河歴史博物館にて行った展覧会で、古河藩家老を描いた国宝「鷹見泉石像」(東京国立博物館蔵)や古河出身の河鍋暁斎の絵画など地域ゆかりの貴重な作品や資料が公開されました。
当初の会期は2020年10月17日から11月23日であったものの、政府の緊急事態宣言発出によって予定通りの開催が困難となり、改めて2021年1月9日から2月7日に変更されました。
そして展覧会は1月9日に無事開幕し、国宝「鷹見泉石像」の83年ぶりの里帰りなどで注目を集めましたが、1月17日に茨城県独自の緊急事態宣言発令によって、僅か8日間の会期にて閉幕しました。
再開や会期の延長を望む声が古河歴史博物館へと寄せられたものの、年間の展示計画や作品保存の観点からも調整が付かず、再開は事実上困難な状態にありました。しかしそれでも緊急事態宣言期間が短縮される可能性もあり、作品は当初の会期最終日まで陳列した状態で残されました。
撮影とデータ確認の様子
そこで「ぶんかつ」と古河歴史博物館では、一般財団法人VR革新機構のボランティア撮影の協力を得て、「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」を3Dビュー&VR映像で撮影し、誰もがオンラインにて無料で作品を鑑賞できる「こがはくde国宝VR」を公開しました。
使い方は至って簡単です。まず「こがはくde国宝VR」にアクセスし、博物館のエントランスより床面に表示される白い◎印に沿って進むと、順に館内の画像へと切り替わり、あたかも実際に博物館へ立ち入っているような体験を得ることができます。
3Dビュー+VR映像による展示室のドールハウス表示@古河歴史博物館
また画面左下には建物アイコンと平面図アイコンがあり、それぞれクリックするとドールハウスと建物を鳥瞰した平面フロア図が表示されます。そちらから直接、任意のスポットに行くことも可能です。
「こがはくde国宝VR」を撮影したのは、国立科学博物館の「おうちで体験!かはくVR」などを手掛けた一般社団法人VR革新機構でした。これまでに同機構では40もの施設で3D+VR映像を制作していて、今回はコロナ禍の博物館・美術館応援プロジェクトとして無償で撮影していただけたとのことです。
いくつかの作品にはキャプションの部分に青緑の◎があり、クリックすると作品の画像とともに、簡単な解説や制作年代などの情報が掲載された国立文化財機構所蔵品統合検索システム「ColBase」を閲覧することができました。
一通りの作品をオンラインで鑑賞して特に印象に深かったのは、鮮やかな色彩により花鳥を描いた河鍋暁斎の「花鳥図」と、蒔絵が目映いほどに美しい「若松桜蒔絵化粧道具」でした。また桜の咲き誇る墨田川を情緒豊かに表現した奥原晴湖の「墨堤春色図屏風」も魅惑的な作品ではないでしょうか。これほどの作品を集めながらも、会期早々に中止になってしまったのは残念でなりませんが、「こがはくde国宝VR」にて会場や作品の様子を臨場感をもって楽しめました。
また作品の細部までを目の当たりにするような高精細な画像を特徴としていますが、最新のAIの技術によって画像の歪みや色を補正なども行われたそうです。
そうした「こがはくde国宝VR」の撮影時の様子や「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」の展示内容については、文化財活用センターの「ぶんかつブログ」について詳細に記されています。こちらも是非ご覧ください。
古河歴史博物館「国宝参上。」展を振り返る
幻の展覧会「国宝参上。」展 VR制作の舞台裏(前編)
幻の展覧会「国宝参上。」展 VR制作の舞台裏(後編)
コロナ禍において、全国各地の展覧会が中止や延期に追い込まれることが少なくない中、美術館や博物館では様々なオンラインでの取り組みがなされています。
「ぶんかつブログ」に古河歴史博物館の学芸員である永用俊彦さんがコメントを寄せていますが、時間や場所を問わずに楽しめるのもオンライン鑑賞の大きな特徴です。
古河歴史博物館では「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」の図版目録の通信販売も行われています。図版目録を取り寄せながらオンラインにて内容を追っていくのも、コロナ禍においての新たな鑑賞のあり方なのかもしれません。
「こがはくde国宝VR」は2022年9月30日まで(予定)公開されています。
「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」 古河歴史博物館(@koga_city_m)
会期:2021年1月9日(土)~2月7日(日) *1月17日にて臨時休館に伴い展示中止。
休館:1月12日(火)、22日(金)
時間:9:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般400(300)円、小・中・高生100円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:茨城県古河市中央町3-10-56
交通:JR線古河駅より徒歩15分。東武日光線新古河駅より徒歩20分。
注)本エントリ内の画像は文化財活用センターの許可を得て同センターブログから転載したものです。
こがはくde国宝VR(画像:古河歴史博物館特設ウェブサイトより)
これは国立文化財機構文化財活用センターの「ぶんかつ」が、国立博物館が所蔵する文化財を全国各地のミュージアムに貸し出す「貸与促進事業」の一環として古河歴史博物館にて行った展覧会で、古河藩家老を描いた国宝「鷹見泉石像」(東京国立博物館蔵)や古河出身の河鍋暁斎の絵画など地域ゆかりの貴重な作品や資料が公開されました。
当初の会期は2020年10月17日から11月23日であったものの、政府の緊急事態宣言発出によって予定通りの開催が困難となり、改めて2021年1月9日から2月7日に変更されました。
そして展覧会は1月9日に無事開幕し、国宝「鷹見泉石像」の83年ぶりの里帰りなどで注目を集めましたが、1月17日に茨城県独自の緊急事態宣言発令によって、僅か8日間の会期にて閉幕しました。
再開や会期の延長を望む声が古河歴史博物館へと寄せられたものの、年間の展示計画や作品保存の観点からも調整が付かず、再開は事実上困難な状態にありました。しかしそれでも緊急事態宣言期間が短縮される可能性もあり、作品は当初の会期最終日まで陳列した状態で残されました。
撮影とデータ確認の様子
そこで「ぶんかつ」と古河歴史博物館では、一般財団法人VR革新機構のボランティア撮影の協力を得て、「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」を3Dビュー&VR映像で撮影し、誰もがオンラインにて無料で作品を鑑賞できる「こがはくde国宝VR」を公開しました。
使い方は至って簡単です。まず「こがはくde国宝VR」にアクセスし、博物館のエントランスより床面に表示される白い◎印に沿って進むと、順に館内の画像へと切り替わり、あたかも実際に博物館へ立ち入っているような体験を得ることができます。
3Dビュー+VR映像による展示室のドールハウス表示@古河歴史博物館
また画面左下には建物アイコンと平面図アイコンがあり、それぞれクリックするとドールハウスと建物を鳥瞰した平面フロア図が表示されます。そちらから直接、任意のスポットに行くことも可能です。
「こがはくde国宝VR」を撮影したのは、国立科学博物館の「おうちで体験!かはくVR」などを手掛けた一般社団法人VR革新機構でした。これまでに同機構では40もの施設で3D+VR映像を制作していて、今回はコロナ禍の博物館・美術館応援プロジェクトとして無償で撮影していただけたとのことです。
いくつかの作品にはキャプションの部分に青緑の◎があり、クリックすると作品の画像とともに、簡単な解説や制作年代などの情報が掲載された国立文化財機構所蔵品統合検索システム「ColBase」を閲覧することができました。
一通りの作品をオンラインで鑑賞して特に印象に深かったのは、鮮やかな色彩により花鳥を描いた河鍋暁斎の「花鳥図」と、蒔絵が目映いほどに美しい「若松桜蒔絵化粧道具」でした。また桜の咲き誇る墨田川を情緒豊かに表現した奥原晴湖の「墨堤春色図屏風」も魅惑的な作品ではないでしょうか。これほどの作品を集めながらも、会期早々に中止になってしまったのは残念でなりませんが、「こがはくde国宝VR」にて会場や作品の様子を臨場感をもって楽しめました。
また作品の細部までを目の当たりにするような高精細な画像を特徴としていますが、最新のAIの技術によって画像の歪みや色を補正なども行われたそうです。
そうした「こがはくde国宝VR」の撮影時の様子や「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」の展示内容については、文化財活用センターの「ぶんかつブログ」について詳細に記されています。こちらも是非ご覧ください。
古河歴史博物館「国宝参上。」展を振り返る
幻の展覧会「国宝参上。」展 VR制作の舞台裏(前編)
幻の展覧会「国宝参上。」展 VR制作の舞台裏(後編)
コロナ禍において、全国各地の展覧会が中止や延期に追い込まれることが少なくない中、美術館や博物館では様々なオンラインでの取り組みがなされています。
「ぶんかつブログ」に古河歴史博物館の学芸員である永用俊彦さんがコメントを寄せていますが、時間や場所を問わずに楽しめるのもオンライン鑑賞の大きな特徴です。
【#ぶんかつブログ 更新!】コロナ禍で中止となった展覧会を一人でも多くの方にご覧いただきたい!#国宝参上。展@#古河歴史博物館 をWEB上で観覧する試み。3Dビュー+VR映像「#こがはくde国宝VR」の制作 #舞台裏 をご紹介。#ぶんかつ #貸与促進 #おうちミュージアムhttps://t.co/u04KnexHEI
— ぶんかつ【文化財活用センター】 (@cpcp_nich) March 2, 2021
古河歴史博物館では「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」の図版目録の通信販売も行われています。図版目録を取り寄せながらオンラインにて内容を追っていくのも、コロナ禍においての新たな鑑賞のあり方なのかもしれません。
「こがはくde国宝VR」は2022年9月30日まで(予定)公開されています。
「国宝参上。-鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財-」 古河歴史博物館(@koga_city_m)
会期:2021年1月9日(土)~2月7日(日) *1月17日にて臨時休館に伴い展示中止。
休館:1月12日(火)、22日(金)
時間:9:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般400(300)円、小・中・高生100円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:茨城県古河市中央町3-10-56
交通:JR線古河駅より徒歩15分。東武日光線新古河駅より徒歩20分。
注)本エントリ内の画像は文化財活用センターの許可を得て同センターブログから転載したものです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )