「はじめての森山大道。」 ほぼ日曜日

ほぼ日曜日(渋谷PARCO8階)
「はじめての森山大道。」
2021/5/14~6/25



渋谷PARCO8階のほぼ日曜日にて開催中の「はじめての森山大道。」を見てきました。



今回の森山展では「知らなかった人にこそ見てほしい」をテーマとしていて、会場にはスナップショット60点をはじめ150冊以上の写真集、あるいは手書き原稿や愛用のカメラなどが所狭しと展示されていました。



まず会場入口にて出迎えてくれるのが、森山の代表作として知られる「三沢の犬」の大きなパネル写真でした。これは1971年に「アサヒカメラ」の連載「何かへの旅」へ掲載された作品で、森山が青森県の三沢に泊まった朝、旅館より外に出た時に目にした犬を写したとされています。



そしてこの「三沢の犬」にクローズアップしたのが「なぜ、この写真が有名なのか。」としたセクションでした。ここでは作品の解説とともに、森山や批評家らの言葉、さらには立体化したフィギュアからいわゆるグッズのクッションまで並んでいて、「三沢の犬」の魅力を様々な角度から知ることができました。



森山の作品を語る上で欠かせない「アレ・ブレ・ボケ」に関した展示も見逃せませんでした。1960年代に森山は従来の写真表現へ一石を投じるべく、「アレ」た粒子の画面、「ブレ」た被写体、そしてピントの合わない「ボケ」た写真を発表しては賛否を巻き起こしました。



多くのプリント作品が並ぶ中、一際興味深かったのが、初期作品「にっぽん劇場写真帖」のポジフィルムの展示でした。



横に長いライトボックスの上には一枚一枚のフィルムがずらりと置かれていて、ルーペにて拡大して見ることもできました。なおこうしたスライドの形で展示するのははじめてのことだそうです。



60年の活動の軌跡を豊富な資料にて辿った「森山大道の写真集。」も充実していたのではないでしょうか。1960年代より近年に至る写真集が壁一面にずらりと並んでいて、閲覧することは叶わないものの、長きにわたる旺盛な写真家としての活動を目の当たりにできました。



雑誌「記録」は1972年から始まった私家版写真誌で、翌年の5号発行後に一時休刊となったものの、後に続編の打診があって2006年に復活しました。その後は一年に3冊から4冊のペースで発行され、現在まで続いてきました。2021年3月に発行された最新の「記録46号」に寄せた直筆原稿も貴重な資料かもしれません。



このように写真のみならず、手紙や雑誌の色校正紙などの資料展示が充実しているのも、今回の森山展の魅力ではないでしょうか。



ほぼ日曜日の手狭なスペースでしたが、予想以上に密度の濃い展示でした。



「単なる通行人として、街区を擦過しつつ自ら路上のセンターとなって撮影しつづける、それがぼくの写真のありようであり、唯一のカメラワークである」 森山大道 *会場内パネルより



観覧料は600円でしたが、ショップ及び渋谷PARCO4階のほぼ日カルチャんで利用可能な100円の買い物チケットがついています。ビームスとのコラボなどグッズも豊富に揃っていました。


予約は不要です。撮影もできました。

会期延長されました。6月25日まで開催されています。

「はじめての森山大道。」 ほぼ日曜日@hobo_nichiyobi
会期:2021年5月14日(金)~6月25日(金) *会期延長
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:600円。小学生以下無料。
 *来場時に森山大道フィルム風しおりと100円分の買い物チケットをプレゼント。
住所:渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO8階
交通:JR線、東急東横線・田園都市線、京王井の頭線、東京メトロ銀座線・半蔵門線渋谷駅より徒歩5分。
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