◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「越されてきた○さん」って?

2015-11-15 11:45:24 | めちゃくちゃな敬語
                                  越していかれた

 「痛快TV スカッとジャパン」を見ていたら、再現VTRに出てきた人のセリフが「先週越されてきた○さん」で、台本にそう書いてあったのならディレクターの日本語がおかしいわけですが、「越されてきた」なんて書いて変だと感じないのでしょうか。「越す」に「きた」と続けるなら「越してこられた」でしょ。
 ニュースを見ていたら、事故現場の近くでマイクを向けられた一般の人が「ドクターヘリが来られて、顔から血を流されていた女性が運ばれて」と言ったのですが、何とも気持ち悪いじゃないですか、「血を流されていた」って何ですかねぇ、なぜそういう言い方をするのでしょうか、敬意とか関係ない・・・ですよね。
 以前、「けっこう顔を腫らされて帰ってきて」と言った人もいましたね。これは、殴られて顔が腫れた人のことを言っているわけですが、「腫れる」は現象ですからね、「帰ってきたとき、けっこう顔が腫れていて」と言えばよかったのですが、「けっこう顔を腫らして帰ってきて」と言ってもいいですよ。
 そうそう、「タクシーを使うお客様が減られている」と言った人もいます。「タクシーを使う客が減っている」も現象であり、誰かの行為ではありません。「お客様が」だから「減られている」と言ってしまった気持ちは分からなくもないのですが、「タクシーを使うお客様が減っている」と言えばいいのです。
 「○○を忘れられてこられたかたは」だの「△△が済まれておられるかたは」だの言う人もいます。どうやらこの人はいつもこういう言い方をしているようで、こうなると「れる/られる」依存ですね。果たして、「○○を忘れてこられたかたは」「△△が済んでおられるかたは」で十分だと気づく日は来るのでしょうか。
 いついかなるときも「れる/られる」の人、何でもかんでも「~てあげる」の人、何でもかんでも「ご(お)」を付ける人、何でもかんでも、いつも、誰が主語でも、「~ていただく」と言う人、それしか知らないから依存してしまっているのか、そうしないといけないと思い込み、とらわれてしまっているのか・・・。
 「林修の今でしょ!講座」に登場した栄養士さんたちは、「よく洗ってあげる」「日光を当ててあげる」「一緒に取ってあげる」「こまめに取ってあげる」「生で食べてあげる」「巻いてあげる」「コーティングしてあげる」「寝る前に取ってあげる」で、「あげる」依存症。加藤シルビアと田中みな実は、何でもかんでも「お写真」で、「ご(お)」依存症。
 そういえば、だいぶ前に「お肉は赤ワインソースでお召し上がっていただき」というのを聞いたことがあるのですが、「お肉」はまぁいいとして、「お召し上がっていただき」は何だか惜しいですね。「お」と言いたいのなら「お召し上がりいただき」ですし、「召し上がっていただき」なら「お」は不要です。
 「きょうの料理」の大原千鶴さんは、「~と思います」「~になります」「いただいて」をしつこく連発。「置いておきたいと思います」「切りたいと思います」「皮をむきたいと思います」「こちらになります」「1個分になります」「こちらのほう、盛り付けていきたいと思います」「入れていただいて」「混ぜていただいて」「焼いていただいて」ですから、連発って、かなりつらい。
 「イッピン」にはすごい人が出てきましたね。「掛けていただいて片方を普通に結んでいただいて、ちょっと長さを、胸元辺りまで持ってきていただいて、そこにこれを入れるだけ、ちょっとタイのような雰囲気になりますよね。ここもちょっと調節していただいて上に持ってきていただいて、例えばこうちょっとずらしていただいて、こんなふうにしていただくと一気にゴージャスになりますよね。次は、首に掛けていただいて片方を長めにしていただきます」でした。
 でも、生放送じゃないんだから、そのまま収録して放送してしまうスタッフってどういう神経? あまりにもひどい場合、ちょっと止めて、言い方を直してもらってもいいのではないですかね。しゃべるのが本業ではないとしても、講師としてテレビに出るからには聞くに堪えない話し方をしていていいわけがありません。まぁね、そもそもスタッフが気づかなければどうしようもないですけれど・・・。
コメント (2)
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