◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「2度とそのムラにはいられない」って?

2018-02-25 11:08:40 | 言葉についてあれこれ
                                  1日2回だからね

 「一度口を開いたら、2度とそのムラにはいられない。だから、ほとんどの人は矛盾を感じていても口を噤むのです」という記事(2017/7/29 7:00配信 NEWSポストセブン)を見て、このごろの記者(ライター?)の書く力の低さを改めて感じました。「にどと」をどういう意味だと思っているのでしょうか、「にどと、いられない」なんてありえません。おまけに表記も変だし( ̄д ̄)!
 「にどと」は「二度と」という副詞ですから「2度と」と書くなんてどうかしています。「にどと」と入力して変換すれば「二度と」になりますよ。しかも、「一度口を開いたら」と書いたすぐ後になぜ「2度と」なんて書く? それに、口を開いた人は、ムラから出ていくところか、すでにムラの外にいるか、ですね、ということは、「もうそのムラにはいられない」もしくは「二度とそのムラには戻れない」のどちらかです。
 「報道STATION SUNDAY」で、「にどとこりごりですね」と一般の人が言い、テロップが「2度とコリゴリですね」だったことがありますが、「にどとこりごり」はおかしいですね、それを言うなら「もうこりごりですね」でしょ! テロップはその人が言ったとおりに書いただけですよね、はいはい、だとしても「2度と」ではなく「二度と」だから。
 「その迫力たるや空前絶後、一度目にしたら二度と忘れることはできない」は「開運!なんでも鑑定団」で聞いたナレーション。「二度と」なんて言ったら、一度は忘れちゃったということになります。でも、これは、一度見たら絶対に忘れないということですから「一度目にしたら忘れることはできない」で、「二度と」は不要です!
 そんなことも分かっていない人がナレーション原稿を書いて、またそれをそのまま言っちゃう駄目なナレーターがいる・・・、あ、ほかにもいた。「人の顔を一度見たら二度と忘れないという並外れた能力」は「シリーズ 人体 神秘の巨大ネットワーク 第5集“脳”」で聞いたナレーション、ナレーターは番組進行のアシスタントを務めるNHKアナウンサーの久保田祐佳。アナウンサーなのに気づかないのか <( ̄д ̄)>?
 「常連ではなく、2度と来ないような人なので」(2017/9/22 15:01配信 J-CASTニュース)も、2月1日放送の「科捜研の女」第17シリーズ#11(脚本 真部千晶)に出てきた脅迫文の文字「2度と京都にくるな」も、意味は問題ありませんが、「二度と」と書かないといけないんですってば! 「いちばん後ろ」「一番後ろ」と書くべきところで「1番後ろ」なんて書いちゃう人たちと同じだから( ̄д ̄)!
 「井上公造『2流以下です』」という見出しを見付けてクリック、「gooいまトピランキング」の要約(2017/1/28 07:56)は「『梨元さんみたいな野次馬精神もまったくなく、記者・レポーターとしては2流以下です』と切り捨てた」で、「TOCANA」の記事も同じ表記でしたが、「2流」ではなく「二流」と書かないといけないのですよ。「一流」「二流」という名詞であって、1だの2だの書くものではありません。
 「父はシングルファザーなのに家事1つできません」は一般の人の文章にあったのですが、「1つ」ではなく「家事一つできません」ですね。意味は、炊事や洗濯など家事に関しては一つもできないということ・・・だと思いますか? いいえ、「○○一つできない」は「○○さえできない」という意味ですから、「家事は一つもできない」ではなく「家事さえできない」、つまり、全く何もできないということになります。
 家事はもちろんのこと、家族が暮らしていくのに必要なあらゆることを全てできないということですが、書いた本人はそこまで言っているつもりではないでしょうから、違う書き方をしないといけません。「何一つできない」は、何もできない、一つもできないということで、「父はシングルファザーなのに家事は何一つできません」なら、「家事は一つもできない」という意味になります。日本語についてもっとまじめにならないと、意図をちゃんと表現できるようになりませんよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする