◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「笑顔にさせてくれる」って?

2012-09-23 09:20:23 | 気になる言葉、具体例
                                 笑顔ですってば

 8月19日の記事で、「一人にさせてもらいたい」は誤りで「一人にしてもらいたい」が正しいのだと書きましたが、その少し後、ローカル番組で「笑顔にさせてくれる」というのを聞いて、それが一般の人の書いた文章を読み上げているのだと分かったとき、もうすでに一般の人にも広まって定着しつつあるのだなぁと改めて感じました。
 そして、毎週土曜日のお楽しみ、「相棒」の再放送(北陸朝日放送)、9月15日に放送された「顔のない女神」を見ていたら、「おとなしくしてればローラ以上のスターにさせてあげたのに」というセリフが( ̄д ̄)! 調べてみたら、2008年11月に放送されたものでした。ま、まさか、言いだしっぺ?
 い~や、実は、もっと前からこういう言い方はありました。過去に書いた記事を調べたら、おかまタレントが言った「番組のレギュラーにさせていただいて」というのを2007年5月に、また、8月には「(我が子に)十分な教育をさせてあげられるのかなっていう(不安があります)」という一般の人の言葉を取り上げていました。
 これらは、文法がどうだとか言うまでもない、簡単なことです。「笑顔にさせてくれる」は誤りで、「笑顔にしてくれる」ですね。かわいいハムやんを見て笑顔になる、それは「ハムやんが私を笑顔にしてくれる」で、おいしい料理を食べて笑顔になる、それは「おいしい料理が私を笑顔にしてくれる」です。
 「~してもらう」「~してくれる」「~してあげる」が単純に「~させてもらう」「~させてくれる」「~させてあげる」になってしまうのですから、芸能人が「~せていただいて」をやたら連発するせいで一般人の脳にもすっかり染み付いてしまったようです。これは「~ていただく」症候群の症状が進んだ形と言えるでしょうか。
 「おとなしくしてればローラ以上のスターにさせてあげたのに」はラジオのプロデューサーのセリフです。プロデューサーだからこんなふうに言えるわけですが、自分が、若いDJを起用し、スターに育てるつもりだったのですから、「おとなしくしてればローラ以上のスターにしてあげたのに」です。
 「番組のレギュラーにさせていただいて」については、当時の記事には「番組のレギュラーにならせていただいて」だと書きましたが、それはあくまでも言った本人が主体になる言い方であり、起用してくれたプロデューサーを念頭に置いて言うなら「(プロデューサーにお願いして)番組のレギュラーにしていただいて」となります。もっと言えば「(プロデューサーが)番組のレギュラーにしてくださって」ですけどね。
 「十分な教育をさせてあげられるのかな」も、「十分な教育を受ける」ということで言えば「受けさせてあげられるのかな」ですが、親なのですから、単純に「十分な教育をしてあげられるのかな」と言ってもいいわけで、「十分な教育をさせてあげられるのかな」は、そのどちらでもない、明らかな誤りです。ちなみに、「教育する」は「教育にかかる費用を捻出する」という意味ですが。
 ところで、CMで「免許をとろう」と言っているのを聞いたのですが、あの事故隠蔽・免停タレント(ふだんから運転が荒く、免停になったのは予想どおりという話、しかも、「~ていただく」症候群のスーパースプレッダー)を相変わらず自社のCMに出している企業が「免許をとろう」って( ̄д ̄)?

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