灰色の世界。
前回の引きから考えて中二病から卒業した六花の心象のようにも映るけど、
見終わってみるとむしろ姉の心象だったんじゃないかと思えるシーンでもあったのかな、と。
登校中の2人は新しい関係を、やりとりを築こうとしていて、
今までと変わらない日常がまだあると安心できるシーン。
今回気になったのは電車とか自動車なんかの扱い方。
姉ちゃんのところでは普段3Dやってる車を手描きで描いたり、
電車が走っているだけの長回しなんかを入れたり、
くみん先輩が車から声をかけてきたりと交通手段になるものをやたら見せるような、と。
図書館。
温かみを感じられる日の入り方が印象的でホッとさせれるような。
手前の黄色の花の存在感がまたインパクトあって何を見せられるんだろうと思ってしまう。
これが恋人同士の2人だったらまた絵になるシーンでもあったのかもしれないけど、
2人は似たもの同士での、六花の変化を受けてのシーンっていう引っ掛かり。
図書館での本の整理っていうのが物語の整理、
閉まってるってのを考えるともう終わりに向かうようなイメージもあり。
ただモリサマーさんの言葉で笑顔だった勇太はまた考えてしまう。
そして良い方向に向かっていたと思っていたら、
次のシーンで凸森の悲痛な叫びでまた雰囲気が一転する。
凸森を慰めるモリサマーさんの図。
勇太の笑顔などに比べるとモリサマーさんの笑顔は心から相手を迎える用意がある、
慈愛心が感じられるようなニュアンスになっていてグッときたかな。
この一連、最後の足の引きまでに何回か切り返しで見せたり、
凸森がどこに逃げようとしても捕まえて放さないようにしてるモリサマーさんがいるんですよね。
引きのシーンで勇太が誰も繋ぎ止めず、
凸森だけでなく六花も繋ぎ止めずにいることを考えると、
そういう勇太との対比としてのモリサマーさん、
っていうシリーズでの位置づけが発揮されてるシーンかもなーと思ったり。
またモリサマーさんの中二病との折り合いの付け方が一つの道として示されていたり。
別に中二病をやめても凸森とは遊べてるわけですし。それはそれ、コレはコレ。
不可視境界線。
美しい風景も言い換えればそう、ただの車のヘッドライトの光。
キャラクターが見る風景の話っていうのは何度か触れてますけど、
涼宮ハルヒの溜息 Ⅳ を語る
今回みたいに六花が冷めた目線で世界を見るのは、
中二病をやめることとはまた違う寂しさが感じられて、
そこが焦点になってくるような気がしたかな。
まるで~みたいだ、なんて言葉があるように、
美しい風景をファンタジーの世界のように捉えることもできるのが人間の感受性ってやつで。
そうしたファンタジーが現実を見つめた先にあることが感動ととしてあるわけで、
その延長として不可視境界線の存在を見つめてもいいのかな、という気がしますし。
宗教みたいなものでしょうか。
中二病的なことをやめても、可能性を見つめるロマンを捨てるのはまた違う話なのではないかというか。
電車が通り過ぎる長回し。
長考して時間が立つのを待ってから六花に振り返す
そういう間が六花を遠くへと追いやっていくという、
勇太の気持ちとの離れ方が印象的なシーンだったように思います。
六花の荷物と勇太が片付けた荷物が重なるように、
勇太が六花を捨てたように見せるようなところなんかもちょっと引っかかる感じ。
小指も片付けられるものとして、別れのやり取りと見えるシーンでもあり印象的だったな。
凸森の泣き顔は久々に見る京アニ泣きだったような。
そんなもんないんだよ!
勇太が泣いちゃうっていうのは個人的には結構グッと来る感じだったかな。
図書館のシーンで世界には本があり、
また物語があるように連想させられるような部分を作りながら、
そういう物語に一切触れないところなんかを見るとある意味まどか☆マギカ的な作品かもな、と。
まどマギも魔女という存在を童話の中で登場するキャラクターとして捉える場面が一切無く、
ただのモンスターの言い直し、魔法少女の成長した姿という説明以外の背景がなかったし。
この作品も中二病を誘発させるようなトリガー、物語がどのようなものだったのか、
っていうイメージに触れられないところがやっぱり引っかかるところですし。
中二病でも恋がしたい! 1話 を語る
個人の中の幻想、物語、あるいは夢をどう捉えていくのか。
言うなれば希望というものは何なのか。
不可視境界線がある、という希望はどのようなかたちで定着させられるものなのか、
っていうのはつまりはそういうことなのではないかと思うので。
中二病をやめること、現実を見ることは大いに結構だけども、
持ち続けていいものは、物語は存在するんじゃないかという、
そういう作品になっていくのかなーと。
六花が片付けた方がいいものとそうじゃないものの違いがわからないと言っていたけど、
それは心象のあり方も同様だったのかもなー、と。
というのはまあどうでもいい話ですが、
最終的にどう決着させるのかっていうのがやっぱり最大の見せ場になると思うので、
どう落とすのか楽しみです。
脚本:花田十輝
絵コンテ:小川太一
演出:河浪栄作
作画監督:引山佳代
若手で演出作監に入った方々の気合の入った回になってて驚かされました。
小川さんは氷菓でコンテ演出デビューして話が以前から一転するような、
キャラの見せ方が今までと一味違っていた回を担当されていたので、
今回みたいな回を担当されるのは納得かなー、みたいな。
氷菓 12話 を語る
氷菓 19話 を語る
河浪さんは逆に1話の演出なんかもされてたので、
作品の基盤を作ってきてる方だったりもするのでそういう方々の合流があっての仕上がり、だったのかな。
こういう語り方はしてはいけない気がするけども。
六花の問題がどう解決されていくのかっていうのが気になるところだけど、
一応恋愛モノなタイトルなのでその辺の落とし所も気にしていきたいというかそっちが本命か。
とりあえずまた次回を楽しみ待ちたいところです。
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