古刹を巡る その5。(鉄道シリーズ51の続き)ケーブルを降りるとすぐに多宝塔、その横の坂を上る。
しばらくして開けた場所に出るが、ここからの見晴らしがいい。右手に転法輪堂、中には転法輪と仏様が祀られている。さらに階段を上がると金堂が姿を現す。建物は新しく、中はやや薄暗いが奥に仏像の姿がうっすら見える。また、右は千手観音、左に護法魔王尊が配置されているが、いずれも秘仏で、お前立ちの護法魔王尊とのこと。金堂の前には六芒星があり、最近はやりのパワースポットらしい。
金堂を出て、右手に向かうと奥の院への道となる。ここが山路のスタート、階段を登ると霊宝殿がある。200円払って入館、博物館仕様で1階は鞍馬山の自然、2階は義経などのコーナー、そして3階には仏像が並べられている。
3階奥には国宝が3体、中央が毘沙門天、左側が吉祥天、右側が善に師童子。特にかつて本尊であった毘沙門天は平安後期の作と言われ、威風堂々とした体型で迫力、毘沙門天は多宝塔を持っていることが多いがこの像は持っておらず、左手は額の上にかざし、遠くを眺めている。
元々鞍馬寺は770年に鑑真和上の高弟・鑑禎が開創したもので、源義経が天狗に武術を習ったという伝説が残されている古刹で天台宗を改宗、現在は鞍馬弘教の総本山である。
ここには他にも毘沙門天が並んでおり、特に目を引いたのは兜祓毘沙門天立像(とばつびしょもんてん)邪鬼の間に天女がいて異彩を放つ。この毘沙門天は西域の兜祓国に出今から10年以上前に京都に現れたと言われ、王城鎮護のため、さらに門に安置して羅城門におかれていた。
霊宝殿を出て右手に、山路の登りが続き、500m行くと、背比べ石や僧正が谷不動堂に到着。大声で経を詠む人がいたが、その迫力に驚く。ここまでが上り坂、下りに少しホッとしたが、木の根道と言われる歩きにくい急坂が続き、雪解けの影響もあり、脚に力を込めるため、くたびれる。ようやく、奥の院に到着、さらに20分くらい行くと川を渡り、ようやく舗装路に出た。川沿いの道を右折すると100mで貴船神社本宮に到着する。
貴船神社は歴史は古く反正天皇の時代つまり約1600年前に遡る。社伝では神武天皇の母である玉依姫命が黄色い船にのり、この地に上陸して水神を祀ったとされる。まあ、とにかく古く、また、縁結びの神として有名で『水占おみくじ』を若い女性が競ってやっていた。丁度、参拝した際に結婚式を挙げている一組がいた。
しっとりしてよい神社ながら、すでに山歩きのため、くたくたでお詣りを済ます。少し川沿いの夏は床になるような建物に沿って貴船まで歩くと貴船口行きのバスが止まっており、何とか間に合った。
また、叡山電鉄に乗りつぎ、四条京阪に無事帰り着いたのは13時。もう寒さなど何処へやら、汗が出てくるほど。そういえば、もう半月以内には桜も楽しめるほどの時期で、暖かさが暑さに変わっていた。