
古刹を巡る その6。京都の古刹の中で人に一つ勧めるとすれば、小生は躊躇なく通称『東寺』、正しくは教王護国寺を選ぶ。初めて訪ねたのは意外に新しくまだ10年にならない。しかし、その時の感動はなかなか忘れられない。近いのは京都駅から近鉄奈良線で一駅、歩いてもしれたもので、ただ、敷地が広く、有名な東寺の塔は見えども中々そばまでたどり着かない。京都では弘法さんとよばれ、親しまれている。

入口は講堂横にあり、拝観料は800円と高目?とは思わないが、値段より自動販売機の導入を急いで欲しい位人が並ぶ。入ると左前に五重塔、右手前から講堂、金堂と続く。


まず、手前の講堂から、この講堂自体も1491年に造られた2代目のもので重文である。中に入ると直ぐに菩薩部、真ん中が如来部、奥が明王部となり、21の仏像による立体曼荼羅を構成している。そして6隅を手前から多聞天、梵天、持国天。

1番奥が広目天、帝釈天、増長天と並んでおり、全て国宝。特に人気が高いのが帝釈天、象に乗り端正な顔立ち、梵天はガチョウ4羽に乗り、こちらも涼しげな目鼻立ち。

手前の金剛波羅蜜菩薩ら菩薩部は中尊を除き、全て国宝。真ん中の大日如来の神々しさ、奥の不動明王の激しさにはいつも新たな感動がある。

個人的には明王部に配置されている大威徳明王、手が6本、脚が6本、首が3本、牛に乗り、今にも走りそうな風格には魅せられる。(明王部も全て国宝)

ついで金堂へ、金堂自体は1603年に豊臣秀頼の寄進で再建されたもので国宝。御本尊は江戸前期の作の大きな薬師三尊像、日光・月光両菩薩と共に静かな祈りに満ちている。また、台座の下には十二神将が配されている。

最後に五重塔に赴く。京都のシンボルといっても過言でなく、今の塔は1644年に徳川家光の寄進により建てられたもので国宝。今の時期だけ、中に入ることができ、東西南北に三尊像が4組祀られ、周りには両界曼荼羅や真言八祖像が描かれている。

いつもこの寺に来ると最初の講堂で時間を使いすぎ、後は流してしまう傾向があるが、これはいつも変わらない。それにしても素晴らしい立体曼荼羅である。折角、京都に来たら是非見てもらいたいお寺である。
