『江戸の坂・東京の坂』その40。今回は早稲田周辺の坂道を巡る。
東京メトロ東西線早稲田駅を降りるとすぐ前に『夏目坂』通りが現れる。反対側に渡ると夏目漱石の生誕の地である碑がある。夏目漱石の父親である夏目小兵衞直克がこのあたりの名主で自分の名前を坂に付けたところ、周囲も夏目坂と呼ぶようになったと随筆集『硝子戸の中』(大正4年)に書かれている。
そして、元の早稲田通りに戻り、高田馬場方向に行くと穴八幡があるが、その参道が『高田八幡男坂・女坂』と名付けられている。年末年始は多くの参拝者が訪れるが、今日は殆ど人はいない。この辺りは江戸時代はミョウガの産地であったらしく、その碑が境内にある。
また、馬場下町交差点から早稲田通りは少し坂になっているが、これが『八幡坂』と呼ばれる。これはもちろん穴八幡(高田八幡)がその由来である。また、階段下には流鏑馬の銅像もある。
さらに真っ直ぐ行き、西早稲田の交差点を左折し、2本目の旧安倍球場の脇を通る坂が『グランド坂』である。今は早稲田大学総合技術センターとなってしまったが、1987年までは六大学野球の学生たちの練習する声が聞こえる球場があった。
今は早稲田大学にも大学生をはじめ、みんなが自由に出入りができるようになっており、小生が学生の頃はヘルメットと看板で埋め尽くされたキャンパスとは隔世の感がある。
早稲田周辺もホテルができるなど随分垢抜けた気がした。