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『江戸の坂・東京の坂』その38。今回から2回は田端駅付近の坂道を歩く。田端駅は小生が最も馴染みの薄い山手線の駅で、数少ない地下鉄や私鉄の乗り入れもない駅。強いて言えば山手線と京浜東北線の分岐駅である。
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駅の駒込寄りに出ると前には広い道、右に跨線橋があるが、左手すぐのL字に曲がった上り坂が『江戸坂』である。田端から下谷浅草方面に向かう道のため、この名前が付けられたようだ。ちょうどその坂の内側には田端文士村記念館がある。
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坂を上りきるとT字路になり、右に曲がる。少し行くと『サトーハチローの旧居跡』のプレートがある。正確には福士幸次郎(評論家、詩人)の自宅に大正9~11年に居候していたものであるが、現在は万栄寺となっている。
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その先を左に曲がり八幡神社を目指す。この辺りは道幅が狭くなったり、広くなったり。特に狭くなるとくねくねと曲がり、なかなか分かりにくいが、その先にある下り坂が『八幡坂』である。坂の下、右手に八幡神社があり、名前はそこからきたもの。前の通りは八幡坂通りと呼ばれている。
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なお、坂の下にある児童公園にはかつて紅葉館があり、堀辰雄が下宿していた。また、坂の近くには室生犀星、菊池寛、倉田白羊なども住んでいた。
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坂を下まで下り、左に曲がると日枝神社の参道があるが、その一つ先を左に曲がると『ポプラ坂』となる。坂の下から急に滑り止めの赤い塗装に変わり、それなりの急坂である。
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別にそばにポプラの木が咲いている訳でもなく、坂の説明板を読むと『田端保育園(児童館)はポプラ倶楽部の跡でポプラ坂はそれに因むもの。ポプラ倶楽部は明治41年に洋画家の小杉放庵が作ったテニスコートで田端に住む洋画家などの社交場だった。大正2年に田端に引越してきた芥川龍之介はポプラ倶楽部のことを手紙に書いている』とある。
とにかく、とても山手線の駅から歩いて10分くらいとは思えないほど静かで道幅も広くなったり 、狭くなったり。尾久とも雰囲気は違う田端の街歩きはなかなか面白い。
(以下次回)