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『江戸の坂・東京の坂』その41。今回は王子駅周辺の坂道を歩く。
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王子駅前から飛鳥山に向かって歩くと道が左手に大きく曲がっており、都電荒川線も通る坂道があるが、これが『飛鳥大坂』。その名前の由来はもちろん飛鳥山である。この坂道は都内でも有数の難所であり、戦前までは荷車の後を押して手間賃を稼ぐ人もいた。また、将軍家の日光御社参りの行列もここを通っていた。
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坂の頂上あたりを右に鋭角に曲がると音無橋、下には清流が流れている。さらに次を右に曲がると王子神社の前に出る。この神社がこの地名『王子』の由来であり、明治以前は王子権現社と言った。創建は分からないが、1322年に領主豊島氏が熊野新宮の浜王子より若一王子宮を勧請したものとのこと。
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王子神社は江戸時代には王子権現社と言ったため、鳥居から右に下る坂を『権現坂』と名付けられた。
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権現坂を下り、次の信号を左手に行くと『王子大坂』になる。この道は岩槻街道、或いは将軍家が日光社参の道で日光御成街道と呼ばれた。昔は登り口に子育て地蔵があったため、地蔵坂の別名もある。
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王子大坂を上りきり、右手に行くと小学校の前に出るが、校門前を右に行く細い急坂がある。この中腹に王子稲荷神社があるのでこの坂道は『王子稲荷の坂』と言われる。ちなみに稲荷社のお使いは狐がすると言われるが、落語に『王子の狐』という話があり、王子に実際にあった料亭の扇屋の話が出てくる。
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この話はこの辺りの狐がよく人を騙すと聞いた男が王子で美女に出会うが、これはきっと狐だろうと思うも、大胆にも声を掛ける。一方、カモを見つけたと思った狐のお玉は騙そうとこれに合わせてきた。そして、扇屋の2階に上がり、天ぷらなどを頼み、差しつ差されつしているうちに隙があったのか、女に化けた狐は眠り込む。その隙に男は店には土産に卵焼きを包ませて、勘定は女が払うと言って逃げ出してしまう。お玉ちゃんは店の者に起こされ、男が帰ったことを聞かされて驚いた。そのあまり。耳はピンと立ち、尻尾が出てしまい、狐であることがばれてしまう。そのため、お玉ちゃんは店の者に追い掛け回され、危ないところを何とか逃げおうせた。一方、男はこの話を自慢したところ、周りから『狐は執念深いから謝ったほうが良い。』と言われ、翌日に手土産を持って王子に謝りに行く。巣穴と思しきあたりで子狐に土産を言付けるが、それを聞いた親ぎつね、土産のぼた餅を食べたいと子狐が言うと一言。『食べちゃいけないよ。馬糞かもしれない。』という話である。
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ではその扇屋だが、料亭は現在はやっていないが、王子駅前で今も卵焼きを売っている。小生はもちろん求めたが、甘くて美味しい卵焼きである。王子に行かれた節には是非お買い求めをお勧めする。ただ、店が小さく、見過ごししまいそうだが。