hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

圓成寺

2016-08-20 05:00:05 | 日記

滋賀・京都・奈良の古刹巡りも奈良県に入った。奈良好き、運慶好きの小生が見逃していたお寺の一つ、圓成寺にようやく行くことができた。 この寺は756年聖武・孝謙天皇の勅願により開創されたと伝えられてはいるが、史実としては1126年に命禅(みょうぜん)上人が十一面観世音を祀ったのが最初。応仁の乱で主要な伽藍は焼けたが、再興され江戸時代には修行道場として栄えた。廃仏棄釈の影響で現在の境内と建物のみとなってしまった。

場所は奈良市内から柳生に抜ける柳生街道沿いにあり、道路から少し入ると庭園の池の前に出る。この庭園は平安時代まっきに寛遍僧正が築いたものと言われ、池越しに楼門が見える風景は美しい。


池を半周すると受付があり、拝観料を支払い中に入る。右手には多宝塔が見えるが、まずは本堂にお参りする。この本堂は室町時代のもので重文に指定されている。

風格のある寺としてはやや変わった寝殿造で本尊阿弥陀如来像(重文)が中心に置かれている。

定朝様の穏やかなお顔の阿弥陀様で須弥壇の周りには四天王像が配され、阿弥陀様を守っている。ほかにも聖徳太子の二歳像など多くの仏像があるが、目を引くのは本堂の柱に書かれた来迎図らしきもの。時代が経ち、一部しか見られないが、その彩色の美しさ、絵の技術の高さを感じる。

さらに本堂左には護摩堂。本堂の左には春日堂・白山堂があるが、この二つは国宝に指定されている。というのはこれら社は1228年春日大社ご造営の際に旧社殿の寄進を受けたものだが、全国で最も古い春日造社殿とのことである。

最後に多宝塔を訪れる。多宝塔自体は昭和後期に建て直されたものだが、中には大日如来坐像が置かれている。これは運慶25歳の頃の作で修理の際に台座天板裏面から運慶真筆の墨書が発見され、注目を浴びた。現在は国宝に指定されているが、ガラスの向こうにある。

しかし、寺の工夫で箱メガネ風の双眼鏡が備え付けられ、これでみると凛々しいお姿がよく見える。かつて某宗教団体がニューヨークで落札した大日如来坐像に姿はよく似ている。

そして、朱印帳を受け取りに受付に行き、寺の女性と話をするが、本堂の柱に書かれた絵の話をするとその技術のレベルはかなりのものとのこと。

もちろん、運慶作の大日如来坐像も素晴らしいが、コンパクトにまとまり、これだけのものが見られるのに、参詣者は小生以外は2グループのみ。少し不便かもしれないが、見逃すには勿体無いお寺である。