ロシア南部、北オセチア共和国で起こった学校占拠事件の犠牲者は、今朝方の報道では500人以上に登るという見通しになった。そのうち大半が子供という悲惨な結末を迎えた。 9.11やイラク戦争などテロは既に日常化してしまった。 ブッシュ大統領をリーダとしてテロとの戦いを始めたが、事態はむしろ悪化しているように見える。 このところ私は悲惨な事件が起こるたびに、人は何故テロを起こすのかという基本的な疑問が毎日のように湧いてきていた。 今日現在の結論を言うと、グローバリゼーションの進行速度の地域的な偏りによる地球規模での富の再配分と敗者救済の仕組欠如が原因であると考える。
テロとは暴力や恐怖によって政治上の主張を通す事で、反対する政治家の暗殺や国民を強権で脅す事により目的を達しようとする。塩野七生さんの大著「ローマ人の物語」では、「テロ行為とは、文明が未熟だから起こるのではない。選挙による落選という手段が奪われているから、やむを得ずテロに走るというのでもない。権力が一人に集中しており、その一人を殺せば政治が変わると思えるから起こるのである。」と言っている。 最近の事件を見聞きするにこの定義では説明しきれない事態になっていると思われる。
テロは昔からあった。 紀元前のシーザからケネディまで政治権力者の暗殺や、日本でも戦前の2.26などの要人暗殺、戦後の浅沼書記長暗殺、連合赤軍やオーム真理教のテロ等連綿と続いている。 特に9.11以降テロのグローバリゼーションが鮮明になってきた。 今回のロシアの学校占拠事件でもアラブ人が加わっており、国際テロリストネットワークとしてのアルカイダの関与が注目を集めている。 これらは塩野さんの定義を大きく逸脱している。 現状が絶望的なまでに変えられない状況において、原理主義を貫き通してあるべき姿の実現を全てに優先して追求するという組合せがテロの発生する必要条件となっている。 しかし十分条件ではない。 例えばユダヤ教は極めて厳格で原理主義的であるが、悲惨で困難な状況でもテロを生まなかった。 かといってイスラム教徒だけがテロを起こしているわけでもない。 アイルランド独立テロは基本的には民族及びキリスト教徒の宗派間の紛争において弱者の戦いの手段であった。
冷戦集結後、急激なグローバリゼーションの進行は冷戦時の構造を大きく変化させ、世界規模で新しいルール(基本的には公平で自由な競争による金儲けのルール)のもとで経済競争を行い富の再配分が進んだ。 結果はアメリカの一人勝ちといわれているが、マクロで見ると欧米やアジア諸国が配分を増やしたといってよい。 この競争の勝組みが彼等の論理で政治もしくは経済的に圧倒的に強い仕組を作り、その仕組みの中で富の偏在が嘗てないほどに進み、かつ負け組みに富が配分されず彼等の論理から見て許容出来ないほどに理不尽で非寛容であった場合にテロが起こっていると思考する。
先進国では敗者に対する生活を保障する仕組があり全体としてバランスをとりながら経済成長していくよう国家運営がなされるが、地球規模で見ると金儲けのルールのグローバリゼーション化だけが先行し、敗者に対する救済が決定的に遅れておりそのギャップは益々大きくなってきた。 しかも勝ち組みだけが富を得ているという情報は、勝ち負けに関わらず平等に世界中に瞬時にリアルタイムで共有される。 政治家は国内なら定期的に選挙があり負け組みの(既得権益を守る)票は必須であるから、富の配分には非常に敏感に反応してしかるべき政策を遅滞なく立案実行するが、世界規模でタイムリーになされる仕組などないに等しい。 殊に技術の進化による情報認識の速度が飛躍的に高まった現代、情報と実行の時間の遅れは相対的に益々大きくなり事態はとめどなく悪化しているという絶望的な捉え方をしても不思議ではない。
パンドラの箱は既に開けられた。 ブッシュ大統領やケリー大統領候補にこのような認識はない。 これから数年事態はもっとひどくなるというのが私の予想である。 軍事的に抑えても、今回のロシアのように別の弱い所からもぐら叩きのようにテロが出て来るだろう。 プーチン大統領は国家に対する戦争であると宣言したが、更なる困難なテロが起こるのを恐れないではいられない。 底流に流れる本質の正確な把握と冷静な対応のみが問題の解決に繋がる。 先にアジアカップ(続)で述べたが、中国が一国内に経済成長の巨大な偏在を抱え、かつ独立志向の強いチベット民族等を抱えた多民族国家であり、その舵取りが注目される。 しかし、基本的に船頭は一人でやり易いが、地球規模の舵取り不在の難しさに例えることは出来ない。 残念ながら悲観的にならざるをえない。
テロとは暴力や恐怖によって政治上の主張を通す事で、反対する政治家の暗殺や国民を強権で脅す事により目的を達しようとする。塩野七生さんの大著「ローマ人の物語」では、「テロ行為とは、文明が未熟だから起こるのではない。選挙による落選という手段が奪われているから、やむを得ずテロに走るというのでもない。権力が一人に集中しており、その一人を殺せば政治が変わると思えるから起こるのである。」と言っている。 最近の事件を見聞きするにこの定義では説明しきれない事態になっていると思われる。
テロは昔からあった。 紀元前のシーザからケネディまで政治権力者の暗殺や、日本でも戦前の2.26などの要人暗殺、戦後の浅沼書記長暗殺、連合赤軍やオーム真理教のテロ等連綿と続いている。 特に9.11以降テロのグローバリゼーションが鮮明になってきた。 今回のロシアの学校占拠事件でもアラブ人が加わっており、国際テロリストネットワークとしてのアルカイダの関与が注目を集めている。 これらは塩野さんの定義を大きく逸脱している。 現状が絶望的なまでに変えられない状況において、原理主義を貫き通してあるべき姿の実現を全てに優先して追求するという組合せがテロの発生する必要条件となっている。 しかし十分条件ではない。 例えばユダヤ教は極めて厳格で原理主義的であるが、悲惨で困難な状況でもテロを生まなかった。 かといってイスラム教徒だけがテロを起こしているわけでもない。 アイルランド独立テロは基本的には民族及びキリスト教徒の宗派間の紛争において弱者の戦いの手段であった。
冷戦集結後、急激なグローバリゼーションの進行は冷戦時の構造を大きく変化させ、世界規模で新しいルール(基本的には公平で自由な競争による金儲けのルール)のもとで経済競争を行い富の再配分が進んだ。 結果はアメリカの一人勝ちといわれているが、マクロで見ると欧米やアジア諸国が配分を増やしたといってよい。 この競争の勝組みが彼等の論理で政治もしくは経済的に圧倒的に強い仕組を作り、その仕組みの中で富の偏在が嘗てないほどに進み、かつ負け組みに富が配分されず彼等の論理から見て許容出来ないほどに理不尽で非寛容であった場合にテロが起こっていると思考する。
先進国では敗者に対する生活を保障する仕組があり全体としてバランスをとりながら経済成長していくよう国家運営がなされるが、地球規模で見ると金儲けのルールのグローバリゼーション化だけが先行し、敗者に対する救済が決定的に遅れておりそのギャップは益々大きくなってきた。 しかも勝ち組みだけが富を得ているという情報は、勝ち負けに関わらず平等に世界中に瞬時にリアルタイムで共有される。 政治家は国内なら定期的に選挙があり負け組みの(既得権益を守る)票は必須であるから、富の配分には非常に敏感に反応してしかるべき政策を遅滞なく立案実行するが、世界規模でタイムリーになされる仕組などないに等しい。 殊に技術の進化による情報認識の速度が飛躍的に高まった現代、情報と実行の時間の遅れは相対的に益々大きくなり事態はとめどなく悪化しているという絶望的な捉え方をしても不思議ではない。
パンドラの箱は既に開けられた。 ブッシュ大統領やケリー大統領候補にこのような認識はない。 これから数年事態はもっとひどくなるというのが私の予想である。 軍事的に抑えても、今回のロシアのように別の弱い所からもぐら叩きのようにテロが出て来るだろう。 プーチン大統領は国家に対する戦争であると宣言したが、更なる困難なテロが起こるのを恐れないではいられない。 底流に流れる本質の正確な把握と冷静な対応のみが問題の解決に繋がる。 先にアジアカップ(続)で述べたが、中国が一国内に経済成長の巨大な偏在を抱え、かつ独立志向の強いチベット民族等を抱えた多民族国家であり、その舵取りが注目される。 しかし、基本的に船頭は一人でやり易いが、地球規模の舵取り不在の難しさに例えることは出来ない。 残念ながら悲観的にならざるをえない。