小沢民主党代表が辞任表明後、間髪を入れず今週土曜日に代表選を実施し、後任を決めるやり方は理解しがたい。次期首相を決めることになるかもしれない民主党代表選は、予備選から始めて候補者の資質や政策を過去の政治活動まで遡って明らかにし、政策論議を通じて党員の判断を仰ぐ代表選出プロセスにすべきだ。
代表選は民主党が政権政党として国民にアピールする場であり、特に今回は衆院選直前であり合法的に事前運動できる千載一遇の機会といえる。それを何故3日間で決着をつけようとするのだろうか。新首相が選ばれるたびに支持率を回復したではないか。国会開催中とはいえ、今ならテレビ・新聞などのメディアはトップで扱ってくれる。こんなチャンスはまたとない。
この短期決着戦は結果として、新聞はともかくテレビは、小沢氏が影響力を残して院政をしくかどうかの戦いという単純な構図に矮小化する方向に押しやった。このままでは民主党自体が小沢なるものの体質を持っているという、やればやるほど国民の支持を失う恐れがある。まるで自らネガティブ・キャンペーンでもやっているようなものではないだろうか。
西松政治献金事件が、政権交代の可能性が現実のものになってきたのを嫌った官の陰謀だという説がある。真偽の程は分からないが、仮に違法でないとしても小沢的手法が国民の支持を得ておらず、民主党として政権交代を果す為に克服しなければならないと理解すべきである。
与党にも同じ体質があり、今まで摘発を受けてないのに何故小沢だけやられたか。東北地方の公共工事が小沢氏への献金の額で決まっていく、という検察の一方的リークをメディアが疑いも無く報じたという批判はある。
しかし、その情報が誤りだと証明されない限り、裁判や選挙のたびに繰り返し議論され、国民の疑いは晴れず民主党の体質として認識されていくだろう。どちらが先か分からないが、今までのところ報道も世論も、政策より小沢氏との距離ばかりに焦点を当てるのは止むを得ない側面がある。
民主党が危機を好機に転換させる為、予備選を経て国民(実際は党員だが)に判断させ、党として小沢なるものを克服し政権政党に相応しいことを示すべきであった。いずれにしろ国会議員の選挙に結果は委ねられる。今回、政策に大きな差がないということもあるが、誰が勝つかよりどんなプロセスで代表を選んだかが国民の支持を受ける為に重要な場合もある。■