百姓の息子ながら農業の「の」の字も分かってない私が、ちょっと真面目に農業を考えてみました。
先週初めに農業委員会で畑の売却を認可されなかった後、市街地を抜けて実家に歩いて戻った。今はすっかり商店街になってしまった国道沿いの表通りから、車を避けて路地裏の道を通ると田畑が飛び飛びに駐車場に転用されていた。農業委員会が許可しなかった根拠が、買主が農振地に許可なく駐車場に転地したことだった。だが、現実は農業委員会の目指す目標を遥かに飛び越えている実態を実感した。
更に歩いて行くと野菜畑から収穫が終わった田んぼに風景が変わった。昔と変わったのは商店街の裏側から山の裾野に広がる区画整理された長方形の田畑だったが、この1,2年で奇妙な変化が起こった。昔なら一斉に稲刈りされたはずなのに時期外れに刈り取りされたり、取り残されたままの田んぼが目立つようになった。補助金目当ての飼料用米だ。素人の私には分かりにくいが、飼料用米田は手入れされた様子が一切ない。
飼料用米に転作した農家は知る限り高齢化で稲作出来なくなった農家の人達だ。かといって私の様に農地バンク経由で貸すこともしてない様子だ。全然刈り取りされないのはどういうことか、農地の持ち主は老婆で誰に依頼すればいいか分からないのか、或いはそれすら面倒で放置しているのではないだろうかと思う。もしかしたら認知症の疑いもある。転作された飼料用米の田んぼを見るたびに、背景を想像して少し胸が痛む。
申し訳ないけど皮肉っぽく言えば、この地の農業委員会の人達は多分実情は承知しているが、無力感を胸に秘め自分の職を守る為に忠実に法を守って仕事をしている。だが、いくつか抜け道がある。今日の午後、例の不動産屋さんから認可されなかった不動産売買を「仮登記」することによって前に進められると連絡があった。農振地指定が変わるまで待ち、最悪でも20年間買主の実質所有が続けば法的に所有主が変わることを前提にするのだという。20年も経てば私も買主も不動産屋も先ず死んでいる。私には危険な臭いがした。
今まで母の気持ちを考えて渋ったが、畑の一部を売却したのは買い手がいたからだとも言える。不動産屋さんによると一般的に農地を買い手はいないという。売れたのは幸運だったとも考えられる。5年前に売却した畑と課税標準価格はほぼ同じなのだが、取引価格の実態は半分以下だという。その畑も買主が亡くなり今その息子は遊ばせている。毎日その畑の横を通って散歩する時、かすかに胸がチクッとする。■
先週初めに農業委員会で畑の売却を認可されなかった後、市街地を抜けて実家に歩いて戻った。今はすっかり商店街になってしまった国道沿いの表通りから、車を避けて路地裏の道を通ると田畑が飛び飛びに駐車場に転用されていた。農業委員会が許可しなかった根拠が、買主が農振地に許可なく駐車場に転地したことだった。だが、現実は農業委員会の目指す目標を遥かに飛び越えている実態を実感した。
更に歩いて行くと野菜畑から収穫が終わった田んぼに風景が変わった。昔と変わったのは商店街の裏側から山の裾野に広がる区画整理された長方形の田畑だったが、この1,2年で奇妙な変化が起こった。昔なら一斉に稲刈りされたはずなのに時期外れに刈り取りされたり、取り残されたままの田んぼが目立つようになった。補助金目当ての飼料用米だ。素人の私には分かりにくいが、飼料用米田は手入れされた様子が一切ない。
飼料用米に転作した農家は知る限り高齢化で稲作出来なくなった農家の人達だ。かといって私の様に農地バンク経由で貸すこともしてない様子だ。全然刈り取りされないのはどういうことか、農地の持ち主は老婆で誰に依頼すればいいか分からないのか、或いはそれすら面倒で放置しているのではないだろうかと思う。もしかしたら認知症の疑いもある。転作された飼料用米の田んぼを見るたびに、背景を想像して少し胸が痛む。
申し訳ないけど皮肉っぽく言えば、この地の農業委員会の人達は多分実情は承知しているが、無力感を胸に秘め自分の職を守る為に忠実に法を守って仕事をしている。だが、いくつか抜け道がある。今日の午後、例の不動産屋さんから認可されなかった不動産売買を「仮登記」することによって前に進められると連絡があった。農振地指定が変わるまで待ち、最悪でも20年間買主の実質所有が続けば法的に所有主が変わることを前提にするのだという。20年も経てば私も買主も不動産屋も先ず死んでいる。私には危険な臭いがした。
今まで母の気持ちを考えて渋ったが、畑の一部を売却したのは買い手がいたからだとも言える。不動産屋さんによると一般的に農地を買い手はいないという。売れたのは幸運だったとも考えられる。5年前に売却した畑と課税標準価格はほぼ同じなのだが、取引価格の実態は半分以下だという。その畑も買主が亡くなり今その息子は遊ばせている。毎日その畑の横を通って散歩する時、かすかに胸がチクッとする。■