私の第一のニュースソースは食事時のテレビだ。第二のソースはテレビを見て気になったニュースについて、少し時間をかけて読む新聞だ。更に詳細に知りたいことをネット経由か新聞のコラムで確認する、そんなプロセスで自分の考えを纏める。かつて時間に余裕が無い時はニュースソースはテレビだけに偏っていた。
退職後時間に余裕が出来て、第ニ、第三のニュースソースをしっかりチェックするようになり、次第にテレビニュース報道に批判的になった。多分報道姿勢が変わったのではなく、私が変わったのだと思う。具体的には、昔からずっと見て来た日曜朝のニュースバラエティ「サンデーモーニング」が、ここ数年で許しがたく酷いニュース番組だと感じるようになった。
その理由は、番組司会の関口氏の考え(或いは番組に責任のある局の考え)で事件を安っぽく一方的に決め付け、ほぼ毎回同じ顔ぶれの所謂識者連中がその趣旨に沿って金太郎飴みたいなコメントをする。色々な見方があって国論が割れているようなテーマであっても、金太郎飴のコメントが出て来る。
見ていてまるでヤラセのように同じ意見が出て来る。が、ネット情報によればそういう人達しか出演させないというのが本当のところのようだ。最近の典型的な例が大飯原発再稼動の問題についてだった。大雑把に言えば原発再稼動の決定は賛否が拮抗していたが、サンデーモーニングは全員反対意見を述べ、住民の半数が何故賛成若しくは許容したのかまともな議論がなかった。
橋下大阪市長や嘉田滋賀県知事が最初あれほど強硬に反対したのに、途中から腰砕けになった理由を番組はろくに調べもしなかった。許容論の背景には理想論だけでは片付けられない現実があり、それをどう乗り越えるかというレベルで議論しなければ将来の電力事業のあり方が見えてこない。しかし、番組のやったことは安易に政府決定を批判しただけ、これじゃニュース番組とはいえない。
この番組の方針は、スポーツコーナーを見れば容易に理解できる。そこではメジャーリーグの凡プレイやエラー・シーンを見せ、コメンテーターの張本氏がメジャーリーグは劣っているとこき下ろす。しかし、日本のトップの選手でもメジャーでは通用するのは極めて稀、野球ファンなら誰でもメジャーのレベルの高さを知っている。嘘だと分っていて笑って楽しむコーナーなのか。
出演している他のコメンテーター連中は、こんな不公平なやり方と非常識な意見を聞いても、ニヤニヤ笑っているだけ。同じニュース番組に出ていて明らかな誤りと思われる発言に対し何も言わないのは、異なる分野とはいえ識者として不誠実で自らの信頼を貶めることになる。彼等は平気なのだろうか、それとも金か。間違いないのは、これが番組制作側の方針なのだろう。
これはニュース番組ではない、ニュース番組っぽく作った娯楽番組だといわれれば私は反論できない。こんな風に政治を馬鹿にし笑いものにする酷い番組は他にもある。だが、ニュース番組の蓑を被って高尚な顔で一方的な能書きを垂れられると、思わず汚い言葉が出てきて飯が不味くなる。君らが政治を悪くしている張本人だと気付かないのかと。そしてメジャーリーグ中継にチャンネンルを切り替える。
ところで、サンデーモーニングは日曜朝の時間帯としては異例に高い視聴率を誇る番組だという。他のニュース番組も金太郎飴評論家を揃える所まではやらないが同じ傾向があるように感じる。どうも私の批評はかなりの小数派意見のようだ。残り半分の主張もまな板に載せ、しっかり善悪・損得等々の議論をせよと言ってるだけなんだけどなー。視聴者が反乱しない限り変わらないだろう。そう言いながら来週も同じ番組を見そうだ、他に無いからね。■
象徴的な出来事として、田中さんがノーベル賞を受賞した時、授賞式に芸能レポートまがいの取材で世界に恥を曝したのが忘れられません。我国のメディアの原点みたいに感じます。悲しいことに全てのテレビメディアが幼稚で馬鹿だと証明しました。