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幸福度過小評価

2010-08-30 11:55:30 | 社会・経済

昨日久し振りに大阪に行き家内の姪の結婚式に出席した。式場は大阪駅のすぐ近くのホテルだったのだが、道に迷い37度の酷暑の中を30分もウロウロする羽目になった。それでも漸くホテルを探し当てて親族と旧交を温め、楽しい時間を過ごした。幸せな人達を見ると自分も幸せな気分になる。私個人は母の介護や子供の結婚や出産と色々あったが、まあまあ幸せにやっている。だが、世の中はどうだろう。

日本は不幸な国?

政治経済のこの数年は麻生首相の100年に一度の危機とか、今回の民主党代表選で通常ならざる国難の時だからこそと小沢氏を推す声がある。マスコミは年金や失業率から財政悪化、米国との関係悪化・日中逆転し存在感を失う我国など年がら年中危機を言い立てる。ホームレスの悲惨な状況や、若者の失業率高止まりと凶悪犯罪、高齢化が進む中熱中症で孤独死する老人達。

個人的にはとても幸福に感じた午後、一方で我国がドンドン悪くなっていくかのような報道、この相反する状況を考えると混乱する。先日テレビで世界の若者が参加するトーク番組を見た時、今でも日本は豊かで恵まれた国という途上国若者の発言が印象的だった。私は高度成長時代に働いたが、戦後の貧しかった時代も体験しているので、この青年の発言が良く理解できた。

最新号のニューズウィーク(/1号)は「世界成長力&幸福度ランキング」と題して特集を組み、政治・経済・教育・医療・社会保障など5つの分野で調査した結果を掲載していた。北欧やシンガポールなどを除いて人口が多い国の中で、日本は総合的に最も幸福な国にランクされていた。私は、これはニュースにならないと瞬時に思った。危機をいい続けるマスコミとそれに乗る政治には意に沿わない情報だからだ。だが、上記の青年の声のように日本を見る世界の目は違う。

新日本病

我国は「失われた10年とか20年」とか言って、未だにバブル崩壊前の日本と比較して元に戻らないと嘆いている。口ではバブル時は異常だったと言いながら、心ではまだバブル前の華やかな時代と座標軸が変っていない。今の日本は優れたところは評価せず悪いところを見つけ出して、この世の終わりのように嘆き、そこで思考停止になるいわば「新日本病」にかかったようだ。

このところ日本の停滞に比べ元気のいい韓国が良く引き合いに出される。だが、2000年前後に訪問したアジア危機直後の韓国は私の記憶では失業率が20-30%、海外の資本は引き揚げられ打ちのめされていた。今日の奇跡的急回復は国家と経済の改革に加えて、ウォン安に支えられた。メチャクチャになって後が無い所まで国家も国民も追い込まれたから出来たという所がある。

日本は敗戦以来そこまで追詰められたことがない。ドルショックや石油危機は見事に乗り越えた。今では評判の悪い政財官だが、当時世界一流の仕事をした訳だ。今回の世界同時不況でも国は破綻せず年金も減額も無く支払われ、円は安全資産として買われ円高になった。輸出に頼る日本経済にとって円高は確かに痛手だが、ただいま円は世界で最も強い通貨で、あの中国ですら日本国債を凄い勢いで買っている。それで不幸せはないだろうという世界の声も分からなくない。

良きものを評価できない

ニューズウィークの記事を読んで、日本は危機が好きである一方で、(良いものに対する)過小評価癖があると改めて思った。危機好きは決して悪いことではない。それだからこそ、上述のように過去何度も危機を乗り越えてきた。過小評価も慢心を抑える為には効果もある。だが、今の幸福度過小評価は質が良くない、我慢が出来なくなっているように感じる。結局これが停滞を招いている。それどころか我国の全体像を正しく把握して進むべき道を誤まらせる恐れがある。

子供連れで満員の帰りの新幹線の中、何でこうなるのかなと考えた結果到達した私なりの結論だ。幸福度過小評価ランキングのトップ争いを遠慮して「新日本病」を克服し、今こそ希望の未来に向かって足を踏み出そう。能天気といわれてもいいじゃないか。足りないところは優秀な官僚がカバーしてくれる。

蛇足ながら、新婦の両親は私と同じ団塊世代で、新婦は団塊ジュニアに当る。新郎は団塊ジュニアの前の世代だ。晩婚化が進んでこの1.5世代違いのカップルをよく見かける。団塊ジュニアはパラサイト化し出生率が低下、日本の危機を象徴する世代である(堺屋太一氏)。だが、彼等も自らの足で歩き始めている。どういうレッテルを貼ろうとこの世代が日本を支える時代がくる。■

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