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高校野球と過労死問題の二枚舌

2018-08-26 16:30:02 | ニュース
100回目を迎えた全国高校野球選手権大会は全国の野球ファンを興奮に巻き込み成功裡に幕を閉じた。最も注目をひいたのは二度の春夏連続優勝を達成した大阪桐蔭より、秋田県の金足農の吉田投手の快投だった。決勝まで5試合54イニング、地方予選を含め1517球を投げ抜いたという。

本大会の2試合を勝ち抜いた頃から吉田投手は負けるまで全試合を投げ抜くだろう、彼が優秀であればある程勝ち進み、続く限り酷使され、体を傷める恐れがあると私は懸念した。彼にはそうなる力があると。同時に昨年頃から社会的問題になり大々的に報じられた「働き過ぎ問題」を連想した。

甲子園で戦う高校野球選手はいわば選ばれた人であり、それを望み覚悟してプレーする特別の人だという主張もある。一方で、彼等はまだ15-18歳の判断力も十分とは言えないいたいけな少年達だ。更に、本大会の裾野には県予選などで同じように酷使して体を壊した少年たちがゴマンといる。

大会後、吉田投手の投げ過ぎを懸念する声がインターネットで流れていた。素人から専門家まで多数の心配する声を見かけた。又、米国では年令別に科学的に厳密な投球数の制限が適用されており、吉田投手の様な投球数過多を強いるのは犯罪になるとまで指摘する声があった。

日本の高校野球も一昔と比べれば高校生の身体を考慮した制度変更が取り入れてきたが、子供達の健康を考えれば依然として異常なほどに体を酷使させている。体が出来上がっている大人のプロ野球でも絶対にあり得ない連投を平気でさせている。プロ球団にとって選手の健康は「お金」で計算される財産だが、高校野球の選手の健康は使い捨ての様だ。

私が気になるのはこの実態を高校野球大会の主催者の一つである朝日新聞社がだんまりを決め込んでいることだ。過労死した電通社員の問題をあれ程熱心に報じた同社が、高校野球選手の酷使については責任放棄している様に感じる。NHKを含む他のメディアも又しかり。

電通社員社員は自分で考えることが出来る「大人」の働き過ぎ、片や吉田投手は自ら申し出たとしてもまだ未熟な未成年、大人が守ってやるべきなのはどっちだろうか。私にはメディアの二律背反(二枚舌)、特に朝日新聞社は自ら主宰する大会の利益を優先した判断のように感じる。

テーマによって判断基準が揺れ動くのはメディアにあってはならないことだ。だがよく見かける。万が一、吉田投手に身体的な不具合が生じ彼の将来に影響する事態になったら監督のせいで済ませる積りか?今からでも遅くない。早急に高野連に問題提起すべきだ。■

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