かぶれの世界(新)

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シリア爆撃の何故、トランプの変心か?

2017-04-08 21:27:08 | ニュース
世界が衝撃を受けた59発
米軍が地中海の艦船から巡航ミサイルを発射し、シリア空軍基地を攻撃したと報じられた。アサド政権が化学兵器を使ったのは人道的に容認できない、放置すれば米国民の安全を脅かす、というのが表向きの説明のようだ。「あれっ、世界の警察官役はやめたのじゃないの?」というのが最初の印象だった人は多いと思う。

日本のメディアは、「力の外交」の誇示、証拠がなく国連抜きの性急な決定、先行き処方箋のない劇薬、等々概して批判的な論評だった。その理由としてオバマケア改廃や7か国からの入国禁止等大統領令の失敗が続く内政の失地回復と強い大統領のアピールだと言われている。これを機に中東の混乱、難民問題、ISの活性化、北朝鮮が更に挑発的になる、等々の副作用が指摘されている。

中ロのやりたい放題を許した世界
だが、世界的な非難を呼び起こした化学兵器の使用について、もし今回米国が行動を起こさなかったら、多分何も起こらなかったろう。中ロが拒否権を発動して国連が機能しないことは目に見えている。オバマ大統領時代に米国の無策を見越してロシアはクリミヤ半島を強奪し、中国は南シナ海に軍事拠点を拡充したのは世界的な認識である。評価の高いオバマ氏もこの指摘は甘んじて受け入れなければならないと思う。

中ロのやりたい放題に対して、世界は何もできず見守るしかなかった。動機はともあれ米軍の攻撃が無ければ今回も同じ事になってしまったろう。必ずしも我が国だけではないが、日本のメディアの非現実主義はこの事態を世界的危機と捉えず傍観者に徹し、国内の目先の出来ごとを追いかける傾向が強い。今回もそういう視点で物を見て評価している様に感じた。異論もあるが、流れを変えたトランプ大統領は先ず評価されるべきだ。

でも、アメリカ第一主義が何故? 
ここまでは能書き、私の興味は別の所にある。シリアに武力介入しないと繰り返し言及したトランプ大統領が「何故変心したのか、どういう政策変更プロセスがあったのか、それによってこれからの政策決定プロセスにどういう変化が起こるのか」を是非知りたいと思った。そこから今後起きうる事態を予測できるはずだ。

ここからは、米国メディア報道を読み合わせ私の無責任かつ大胆仮説が始まる。ニュースを総合すると、今回の一連の政策決定は娘婿のクシュナー上級顧問の筋書きに沿ったものと考えられる。数日前に国家安全保障会議(NSC)の議長からバノン首席戦略補佐官が外れ、NSCはプロの軍人出身者で固められた。そこでマティス国防長官が提示した選択肢からターゲットを空軍基地に限定して巡航ミサイルを発射した訳だ。

黒幕は娘婿
私の推測ではクシュナー氏の優先順位はイデオロギーより大統領の支持率改善だと思う。バノン氏が大統領に進言した政策が頓挫し支持率を低下させたとみて、クシュナー氏の助言に従い軍人などの専門家からなる外交担当の閣僚・スタッフにNSCを任せた。外交・安全保障はプロに任せようと方針転換した。今の所、突然の強硬政策は成功だったようで、この意思決定プロセスが続けられるだろう。

メディアの注目はトランプ大統領の側近やスタッフ、閣僚の間での激しい忠誠心競争のようである。クシュナー氏の役割は特別で大統領の代弁者という例外的なものだ。ワシントンポスト紙はクシュナー氏を超責任(super responsibility)と呼び、その他の誰も安全ではないという。唯一安全なのは娘のイバンカだけだろうという。

危うい忠誠心競争
だが、明確な基準のない競争はその時その時の気分で政策が一貫せず、国民や世界から信頼されない恐れがある。また、今回の軍事行動が確たる証拠を提示せずに決定されたのは悪い予感がする。ブッシュ大統領が大量破壊兵器があると言い募ってイラク戦争を始め泥沼に陥ったのを思い出す。

その対策として外交(国務省)・安全保障(国防省)に始まり商務省や環境省まで政治任用される幹部数百人を採用し地道に政策を積み上げることだと思う。極端に言うと現在各省庁は社長と担当者しかいない状態で、トランプ大統領はそれでいいと思っている節がある。だが、それではいつか破たんする。当座は現実的な解を追求するクシュナーの手腕で乗り切れても幸運は続かない。これが私の信じる大胆仮説である。■

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