安倍首相は就任1年の一昨日靖国神社を参拝し国内外に波紋が広がっていると報じられた。彼が参拝の理由として「国のために尊い命を犠牲にした英霊に哀悼の誠をささげ、尊崇の念を表し、冥福を祈る」との説明はどの国でも当然だと思う。我が国のマスコミは中韓両国の反発に焦点を当てるが、先ずは戦争で国の為に戦って亡くなった先祖の冥福を祈るところから始めるべきだと思う。
問題は靖国神社にA級先般が祀られていることで、中韓の非難は私も理解できる。300万人もの犠牲者が出た戦争責任を問うのは当然だ。A級戦犯が戦勝国の論理に基づくというなら、我が国自身が責任者を裁かなければならなかった。300万人も殺しておいて責任を誰もとらないなどあり得ない。自分で裁けないから日本は講和条約でA級戦犯(東京裁判)を受け入れたと私は理解している。300万人の命の償いは万死に値する。
組織的に誰が責任か不明確という日本の特殊事情はあるが言訳にはならない。それは戦前は「天皇陛下の軍隊」だったことと、いまだに伝統的に引き継がれている「責任を曖昧にする」日本文化が組み合わさっていると感じる。日本軍は国民の強い要求に基いて戦争を遂行していったと指摘する半藤氏等の歴史家の指摘はある部分納得する。その延長線上に戦前の新聞が国民を煽り戦争に導いていった、マスコミのその反省が十分あるか私はいまだに疑問だ。それが中韓に大きな犠牲をもたらし、今日まで尾を引いている。新聞もA級戦犯クラスの加担者だったと思う。
一方でマスコミが靖国参拝を非難する海外報道を鬼の首を取ったように報じているのはとても不快だ。昼のNHKニュースが「日本がアジアの問題にありつつある」とNYタイムズの記事を紹介するのを見て感情的な気分になった。私的には問題児は中国だ。国内では共産党独裁政権がチベットやウィグル民族を抑圧し、海外では一方的な防衛識別圏を設定し近隣諸国と摩擦を引き起こした。私の知る限りNYタイムズの記事は偏った情報に基づく内容であり、そのようなニュースを引用するのは不見識だ。
マスコミ経由で報じられた欧米の非難にもカチンとくるものがある。日本が防衛大綱で防衛力強化し特定秘密保護法を成立させたのが平和国家からの決別という決めつける一方で、自国が中国も含め新興国に兵器を売りまくり、日本に対しては安全保障にかかわる情報交換の為に秘密保持を強化せよと迫ったではないか。中国も含めとっくに自国でやっているのに、日本が同じことをやると非難している様に私には感じて、又も感情的になった。多分、官邸もだろう。
私は日本はもっと非難されても良い国になるべき、何もせず何も言わず大人しく隅に隠れている国から脱却すべきだと思う。非難を恐れるべきではない。何かに貢献するために前向きに何かをやれば摩擦が起こることもあり、それで非難されることもある。米英EU露中、これ等の国は何か極端なことをやり度々ニュースで非難されているが一々動じている様子はない。日本も国益優先しその結果非難されてもいいではないか。他国のマスコミが日本非難したと言って翻訳して報じるだけでは情けなくないか。
日本のマスコミ諸君、君たちも見識を持ってフランスの武器売却を取り上げ、米国の盗聴を言論の自由に対する挑戦と厳しく非難すべきだ。政府は抑え気味、メディアは厳しくというのが言葉の両輪だ。それが尊重されて他国で引用されて存在感を高めて欲しい。中国政府を代弁する新華社や、愛国主義に溢れる韓国メディアと同じになれとは言わないが、欧米メディアの報道から国益とは何かよく考えて欲しい。私は安倍首相の靖国参拝の判断には与しない、行くべきではなかった。だが、配慮した結果が中国の防衛識別圏と韓国の告げ口外交かと首相が失望する気持ちは理解できた。それを伝える無国籍報道を見て情けなく、又、寂しくなった。■
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